
厚生労働省が実施している患者調査によると、平成23年の鬱病患者数は約70万人、患者数は年々増加傾向にあります。
また、鬱病の一歩手前の状態のことを「仮面うつ病」と呼ぶことがあり、心が不安定になり、頭痛・肩凝り・胃痛などの体の症状も現れることも。
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自分や家族の不調が「仮面うつ病」だとしたら、家族はどのように対応したらよいのでしょうか。
今回は家族問題カウンセラーの山脇由貴子先生にお話を伺いました。
【鬱病の原因】うつ病になりやすいのはどんな人?どの時期が要注意?

このような方はうつ病になりやすい傾向にあるように思います。
特に中年の男性は「うつ病なんて恥ずかしい。」と思ってしまう世代です。
気分の問題だ!
うつ病なんて人間としてダメ!
評価が下がってしまう!
精神科に行くなんてとんでもない!
という意識があるので、心が病んできても、体調が悪くても鬱であることに気付かないし、自分で気が付けないので。
家族にも理解してもらえず、苦しんでいる人はたくさん居ます。
うつ病増加の背景にはネットの影響もある?

うつ病が年々増加している背景にはネット社会の影響もあるように思います。
昔より、人の評価や人からどう見られるか、などを気にする社会になってきていますよね。
本音が言えない環境になりつつあるな、と感じています。
いいね!の数やフォロワー数を競う。
インスタ映えを気にする。
グループLINEも本当は面倒なのに、ずっとやりとりする。
結局、人からどう見られたいかを常に気にしている方が本当に多いです。
果たして皆さんは誰かに自分の本音を話せているのでしょうか。
大人も子どもも最近ではネット世界で輪を広げてしまうので、悩み相談を出来るのはネットの中の人にだけ。
現実世界での関係性の希薄さというのが、昔よりも顕著に出ているなと感じています。
長い休み明けと環境変化が大きくある時期は要注意!

うつ病の引き金となるのは、大きなライフイベントや環境の変化が関係していることが多いです。
例えば、誰かが亡くなった、会社で異動があった、離婚など。
厚生労働省「自殺死亡統計について 月別にみた自殺」のデータによると特に3月~5月にかけては毎年自殺が増加する傾向にあります。
3月は会社の異動や体制変更や転勤など、環境変化が大きくある時期でもあり、新しい環境に耐えられず、うつ病の症状が出てしまう方もいます。

また、4月に新年度が始まり、5月のGWのような長い連休が明け途端、会社に行けなくなる方もいます。
現実がみえてきた頃、張りつめていたものがプツンと切れる、といった感じでしょうか。
子ども場合は長い連休明けと、夏休み明けが要注意です。
【家族と鬱病】帰宅恐怖症の男性が増加中!?家庭環境が劣悪だとうつ病の引き金に

あなたの家族全員が「早く家に帰りたいな」と思える家でしょうか。
例えば、家に帰るといつも美味しいご飯が用意されている。それだけでも元気になりませんか?
夫婦や家族が顔を合わせて同じものを食べていれば、体調の変化にも気が付きやすいですよね。
帰宅恐怖症の男性が増加中

最近は帰宅恐怖症の男性が増えていることをご存知でしょうか。
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奥さんが怖いから家に帰りたくない。仕事は終わっているのに、家に帰るのが怖くて2,3時間ぶらぶらする。
お金もないから、ウィンドウショッピングをする、公園で時間をつぶす。
仕事で辛いことがあって、家にも帰りたくない、となると…死にたくなっちゃう人もいるかもしれないですよね。
お父さんが家に帰りたくない家なんて、子どもだって帰りたくないですよ。

もし、旦那さんの帰りが遅ければ、「居心地の良い家庭かどうか」を客観的に見つめ直してみてください。
家族の変化に気がつけていますか?

先ほど家族の体調の変化に気がつけるように、と述べましたが、旦那さんや子ども、奥さんの変化に気がつけているでしょうか。
以前と比べて、
意識してみてあげてください。
うつは朝が一番傾向として出やすいので、朝起きられないという変化に気がつけるようにしましょう。
夜になると「明日がくるのが怖い。」と眠れず、結局寝る時間が遅くなり、そして朝になると、「きっと今日も良くないことが起こるだろう。朝が来なきゃいいのに。」という気持ちになり、体が動かない。
まずは朝の様子をみて、食欲が落ちているようであれば、小さなおにぎりやパンなど、食べやすいものを用意しておいてあげて、「少しでも良いからこれ食べて」と気にかけてあげてください。
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体調不良の原因は人間関係やトラウマなど、その時によって様々だと思います。
徹底的な原因探しをするよりも、改善できることを探してください。
その為には家族のサポートが必要不可欠です。
心を元気にするための環境を、治療環境と呼んでいるのですが、まず 「毎日が楽しい!」「辛いことは起こらない!」と思える環境を家族が作ってあげる。
心の元気を取り戻すことを最優先に考えて、何か出来ることはないか考えてみてあげてください。
本人の大好物を作ってあげる、大好きな映画を観る、気晴らしに旅行に行くなど、とにかく提案してみましょう。
家庭を一番居心地の良い環境に整えてあげることが大切です。
【鬱病と正しく向き合う】自分が「もしかしてうつ病かな?」と思ったら

人には言いたくないかもしれないし、認めたくないかもしれませんが、まずはパートナーに相談を!!
家族やパートナーにSOSを出して!

いま自分の中で何が一番負担なのか、不満なのか、苦痛なのか、パートナーに協力してほしいことをストレートに言ってみましょう。
相談しても最初は「気のせいじゃない?」など言われてしまうかもしれませんが、本当にきついということ相手に理解してもらうところから始めるのです。
少なくても、内緒にして一人で通院することは避けた方がいいと思います。
内緒で通院して一人で解決しようとしても、家に帰った後の負担が全然減っていきません。
また、処方された薬が合わないと、眠気がすごくて寝すぎてしまう場合もあります。

それも家族の理解がないと、「いつもごろごろして」とか「ごはんが手抜きじゃないか」など文句を言われたりしてしまう。
“やらないのではなく、どうしても出来ない。”という事を家族にわかってもらう必要があります。
もし通院するならパートナーと一緒に行き、病状もしっかり聞いてもらうことが大切です。
そして、うつ病で一番怖いのは、治りかけの時です。
わりと体も動くようになるので、周りも普通に接してくるようになります。
その負担がどんどん積み重なってしまい、周りに「SOS」を伝えられないことがあるので注意が必要です。
【子どもの鬱病】GWや夏休み明けなど、長い休み明けは要注意!

例えば新学期、新しい先生やクラスになって、新しい環境への不安がストレスで学校に行こうとすると腹痛、頭痛、嘔吐などの症状が出てくる子もいます。
そんなとき、親としては、どうすればよいでしょうか。
親の愛情が子どもを救う

まず、「なんともないだろう」と思っていても、一旦病院に行ってください。
それは、“あなたの事を心配しているよ”というメッセージでもあるのです。
「それくらい平気でしょ!」と無理矢理学校に送り出さないで、「心配だから一緒に病院に行こう!」というように声かけをしてあげてください。
それでも行き渋りが直らないようであれば、学校や担任の先生に相談し、子どもと先生との関係性をつくってもらいましょう。
子どもに対して、「お父さんやお母さんは、心配しているよ」という姿を見せるだけで子どもの気持ちは変わっていきます。
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親子で楽しめることを積極的に

勉強をやらなくなって、ゲームしかしない子は、家族で楽しめることをやってみましょう。
トランプ、一緒に料理をするなど何でもいいのです。特別なことではなく、生活の中で出来ることを一緒にやりましょう。
こどもの場合は特に、大好きだったことをやらなくなったら要注意です。
例えば大好きだったゲームに一切手をつけなくなった、とか。
親から見たら一見、いい子になったように見えますが、それは相当注意が必要で、それだけエネルギーが低下しているということ。
また、子どもの症状は大人に比べるとわかりやすく、食欲がなくなることが多いです。
【生い立ちと鬱病】過去は変えられない、だから今を大切に

幼少期の経験や過ごし方が以外にもうつ病に関係してることもあります。
しかし過去は変えられない。一体どうすれば良いのでしょうか。
躾か虐待か。厳しい親に育てられた子はどうなるか。

小さい頃に「これは嫌だ」、「自分はこれをやりたい!」など親に反発できず、そのまま大人になってしまった人は、やはり大人になっても「NO」と言えず、それがストレスでうつになる人もいます。
特に厳しく育てられた人は自発性がなく、言われたことしか出来ない、自由に行動してよいという気持ちが持てなかったりします。
今の30代以上の世代は親に厳しくされた幼少期を過ごしてきたと思います。
叩かれたり、押入れに閉じ込められたりが普通だった方も多いでしょう。
当時は躾と認識されて、それが虐待とはならなかった。

家庭内暴力、夫婦間暴力、が今ほどには問題視されていなかった時代です。
それを我慢してきて、「苦しかったよね」と言ってもらえなった人が圧倒的に多く、それが大人になってトラウマとして残り続けている人もいます。
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実家と関わると具合が悪くなる、親と話をするだけで気分が落ち込む人もいます。

うつは生い立ちに関係があるかもしれない。だからこそ現家庭を幸せにしないといけないのです。
過去は変えられないから。
現家庭を子どもやパートナーが「今日学校でさ~」、「今日仕事でさ~、」など自分のことを話せるような環境にしてあげてください。
話を聞いてあげる体制を整えてください。
夫婦仲が子どもの人生を大きく左右する

生い立ちがその後の人生を左右すると言いましたが、夫婦仲が悪ければ子どもは幸せになりません。
もちろん、夫婦仲はどちらか一方の努力だけでは無理ですよね。
どうしたらお互いが不快にならないか、気持ちよく過ごせるか、ということを夫婦で考え続けるしかないのです。

「これ言ったら嫌がるかな」、「これをやったら機嫌悪くなるかな」とか気を遣うのではなく、心遣いです。
それは自然に子どもにも伝わりますから、親の言動がお手本になってくるわけです。
人間は思っている以上に、すごく繊細です。
外で辛いこと、苦しいこと、嫌なことがたくさんあっても、安心できる家庭があり、温かい家族のひとことがあれば、どんなことにも乗り越えられると思います。
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監修:山脇由貴子(やまわきゆきこ)
女性の生き方アドバイザー
家族問題カウンセラー
東京都内の児童相談所に心理の専門家として19年間勤務。子どもの問題を扱ううちに見えてきた家族の問題、そして女性のあらゆる悩みを解決すべく、個人の心理オフィスを開設。子育てや夫婦関係、仕事や婚活などの悩みを始め、毎日の中の「なんとなく満ち足りない」といった思いの解消まで、幅広くサポート。
新聞、雑誌、TVなど多くのメディアにも出演。日本全国で精力的に講演会も実施。いじめ問題などテーマにした著書も多数。
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