「休み明けは会社に行きたくない」投稿が話題に、出社を嫌がる心理とその対処法とは?

投稿日:2023-05-10 更新日:

連休明けに「会社に行きたくない」と感じてしまう人は多いようです。その心理的原因やモチベーションの上げ方について、心理カウンセラーに聞きました。

連休明けでやる気が出ない時の対処法とは?

「休み明けは会社に行きたくない」。このような趣旨の投稿が先日、ネット上で話題になりました。長期休暇のみならず、2~3日の連休後も「だるい」「やる気がしない」「体が重い」などと感じ、出社や仕事に対するモチベーションが急激に下がるのを感じたことがある人は多いようです。これについて、「だるいに決まってる」「明日から仕事って考えると気が重くなります」「休みが長くなるほど、切り替え方がわからなくなる」など、さまざまな体験談が寄せられています。

休み明けに「出社したくない」と感じてしまう心理的要因や対処法について、心理カウンセラーの小松原幸恵さんに聞きました。

緊張状態への心理的抵抗

Q.そもそも、なぜ休み明けに「出社したくない」と感じてしまうのでしょうか。

小松原さん「休み明けに『出社したくない』と感じる方は、休みでない時も、仕事の内容や人間関係にストレスを感じている方でしょう。仕事のストレスは、知識や能力に見合わない不適切な仕事の要求や圧力、また、高い能力を要求される困難な仕事内容などからも引き起こされます。

仕事に対してストレスを感じながらも、何とか“頑張って”仕事を続けている状態であり、休みの間に仕事から解放されて緊張状態が解けているため、もう一度、緊張状態(いわゆる『仕事モード』)に入ることに心理的抵抗を感じているのです」

Q.休み明けに「出社したくない」と感じやすい人/感じにくい人の違いとは。

小松原さん「まじめで完璧主義の人は『出社したくない』と感じやすい傾向があります。仕事を完璧にこなさなければならないというプレッシャーが大きく、また、少しのミスでも重大に捉えてしまい、ささいなことで自信を喪失してしまうため、『仕事をする』ということのハードルを高くしてしまいます。

実際にカウンセリングをしていても、休み明けに仕事に行けなくなる人は、『我慢するのは当たり前』『仕事はつらいもの』『どうすることもできない』と思ってしまっている方が多い印象です。そして、無理を続けた結果、体調不良が続いたり、うつ状態になってしまったりするケースもあります。

一方で、リラックスして仕事を楽しめている人や、あまり気負わずに仕事に取り組める性格の人は、休み明けでも出社したくないと感じずに仕事に取り組めます」

Q.休日モードから仕事モードに気持ちを切り替えるコツはありますか。

小松原さん「上手な気持ちの切り替え方は、性格によっても変わります。例えば、きっちりと仕事をしたいタイプの人なら、出勤する前日に次の日の仕事の予定を組み立ててみたり、営業トークの練習をしたりするなどして、早めに『仕事モード』に切り替えることで、スムーズに休み明けの仕事をスタートすることができます。

また、完璧主義であるものの、もう少しリラックスして仕事に取り組めた方がよいと感じている人であれば、まず『なぜ完璧でなければならないと感じているのか』を探求してみるとよいでしょう。例えば、『完璧でなければ自分には価値がない』と考えているのであれば、『完璧でなくても大丈夫』と思えるように深層心理の緊張を解きほぐしてあげると、もっと気分が楽な状態で働けるようになります」

会社に行きたくない気持ちの克服法とは

Q.「出社したくない」気分を払拭(ふっしょく)するための具体的な方法を教えてください。

小松原さん「現在の仕事が嫌だと感じているのであれば、『どのような点が』『なぜ嫌なのか』を紙に書き出してみるとよいでしょう。思いつくままに書き出すことで、自分自身でも気付いていなかった気持ちが明確になり、それだけでスッキリとした気分になる人も多いです。

また、紙に書き出すことで状況を客観的に把握できるようになり、友人や上司にアドバイスを求めたり、自分自身で対処法を考えついたりできます。自由に書き出すのが難しい場合、仕事のストレスに関する項目(記事末)で、該当するものをチェックしてみましょう。自分の悩みや不満が可視化され、整理できます。

行動面からのアプローチも有効です。まず、『家を出る』『歩く』『席に座る』など、『何も考えずに体を動かす』ことをするとよいと思います。ポイントは、単純な作業から仕事を始めること。単純作業をしているうちに、だんだんと意識が仕事に向いてきて、気が付いたら自然と仕事ができている、という状態を作ってあげるとよいでしょう」

Q.休み明けの仕事に対するモチベーション低下を防ぐために、休暇中や出社当日は、どのように過ごせばよいのでしょうか。

小松原さん「仕事に対して積極的に『こうしたい』『ああしたい』という希望があると、モチベーションは自然と低下しません。10年後、5年後、1年後、3カ月後、どのような仕事や働き方をしていたいかというビジョンを自分で持つことを意識してみることが効果的です。

想像するだけでわくわくするようなビジョンを描き、休暇中もその『理想の未来』に意識を向けるとよいでしょう。ビジョンが明確にでき、わくわくした状態で働くことができれば、出社当日も自然と仕事をすることができます。

ビジョンを描くことは難しい、仕事が嫌で仕方がないという場合は、ストレスに関する項目(記事末)を参考に、『何が嫌なのか』を把握した上で、『どうしたいのか』を書き出し、少しでもわくわくできること、仕事のここが好きだと思えることを意識するとよいと思います。そして、出社当日はまず簡単で頭を使わない作業から始め、少しずつ仕事に移行させていくことを意識してみましょう」

仕事のストレスに関する項目チェックリスト

【仕事の内容】
□単調で刺激がなく、意味が感じられない
□多様性が欠如している
□やりたい仕事ではない
□仕事内容に対して嫌悪感がある

【作業量と職場】
□作業量が多すぎる、もしくは少なすぎる
□時間制限がある

【労働時間】
□仕事のスケジュールが厳格で固定的だ
□長くて非社会的な時間だと感じる
□労働時間が予測できない
□シフト制度の組み方が下手だ

【参加と管理】
□意思決定に関与できない
□管理が欠如している(例:過度な労働手段、職場、労働時間、職場環境)

【出世、地位、賃金】
□不安定な仕事である
□昇進の可能性が欠如している
□昇進しない、もしくは昇進しすぎる
□社会的価値の低い仕事だと感じる
□賃金支払いの相場が低い
□評価制度が不透明で不公平だ
□仕事に対して熟練しすぎ、もしくは未熟練である

【組織の中での役割】
□役割が不明確である
□同じ仕事なのに役割が矛盾している
□人に対する責任が重い
□他人、もしくは他人の問題を常に扱う

【人間関係】
□監督が不十分、不親切、もしくは非協力的だ
□同僚との付き合いが乏しい
□嫌がらせや暴力がある
□孤立している、もしくは孤独な仕事だと感じる
□問題や苦情に対処する手順が明確でない

【組織の文化】
□連絡が乏しい
□指導者が乏しい
□組織の目的や構成が不透明だ

【家庭と職場の境界】
□家庭と職場における要求が矛盾している
□職場での家庭問題に対する支援が不足している
□家庭での職場問題に対する支援が不足している

(ライフスタイルチーム)


小松原幸恵(こまつばら・ゆきえ)
心理カウンセラー(ヒプノセラピスト)

米国催眠療法協会(ABH)認定ヒプノセラピスト、国際催眠連盟(IHF)認定ヒプノセラピスト、国際セラピートレーニング協会(ITTO)認定ヒプノセラピスト。ワイスインスティテュート(米国)前世療法プロフェッショナルトレーニング修了。日本レイキセラピスト教会認定レイキティーチャー。「Efficacy Japan」認定夢実現化コーチ。高倍率を勝ち抜いて公務員になるも、人生の方向性への迷いからヒプノセラピーによる心理カウンセリングを受け「人生は自分で切り開いていくもの」というメッセージを潜在意識から受け取り、人生を見つめ直す。心理カンセラー(ヒプノセラピスト)として活躍中。2013年に第1子を出産。リラクゼーションで痛みのない出産ができることを自ら実証し、その経験を元に「ココロと体の自由」を主軸にした「幸せ出産学」「ヒプノ出産学」のセミナーを開催し「子供がいることでさらに自由が拡大していくママ」の育成を目指している。和気あいあいとした雰囲気でクライアントの気持ちに寄り添ったセミナーは強い支持を得る。

 

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