新型コロナで注目の「免疫力」、高低を知ることはできる? 高める方法は?

投稿日:2020-06-01 更新日:

新型コロナウイルスの感染が広がり、「免疫力」が注目されていますが、そもそも、現在の自分自身の免疫力はどれくらいなのか、知ることはできるのでしょうか。

(免疫力は自分で分かる?)

新型コロナウイルスの感染が広がり、(1)換気の悪い密閉空間に多人数でとどまらない(2)人が密集した場所を避ける(3)近距離での会話や発声をできるだけしない――などと盛んに言われ、個人ができることとして、手洗いの励行などと同時に「バランスのよい食事と規則正しい生活で免疫力を上げましょう」と呼びかけられています。

確かに「免疫力が高いと病気になりにくい」とはよく言われますが、現在の自分の免疫力が高いのか低いのか理解している人は、ほとんどいないのではないでしょうか。自らの免疫力を何らかの数値などで知ることはできるのか、内科医の市原由美江さんに聞きました。

免疫力は自己防衛システム

Q.そもそも「免疫力」とは何ですか。また「免疫力を高める」とは、どういうことでしょうか。

市原さん「免疫力とは、体内で発生したがん細胞や体の外から侵入してくる細菌、ウイルスなどの病原体を常に監視して攻撃する、健康を保つための自己防衛システムです。バランスのよい食事と規則正しい生活で免疫力が高まり、病原体などに対抗する防御力がパワーアップし、より病気にかかりにくくなります」

Q.新型コロナウイルスによる感染症を重症化させないためには、免疫力が大切だといわれますが、自らの免疫力がどれくらいなのか理解している人はほとんどいないと思います。免疫力を知ることは可能なのでしょうか。

市原さん「自分の免疫力を具体的に知ることは難しいと思います。例えば、自分が風邪にかかりやすい、あるいはかかりにくいと思っているとしても、それはあくまで自分の印象であって客観性がないからです。免疫力の指標となり得るものがないため、客観性がなく、評価は難しいでしょう」

Q.免疫力を何らかの数値で知ることはできない、ということでしょうか。

市原さん「一部の医療機関で、免疫力を測る検査が自由診療(健康保険が適用されない診療)で行われています。しかし、それは一般的ではなく、あくまで参考程度と考えるべきでしょう。

ただ、客観的な数字で表すことはできないものの、あくまで『自分の印象』にはなりますが、過去の自分と比較することはできます。『前よりも風邪をひきやすくなった』『ひきにくくなった』などと、免疫力の変化を感じることはできると思います」

Q.「免疫力を高めるため」の方法や食べ物の情報が世の中にあふれていますが、情報が多いことで逆にどれを信じればよいのか、分からなくなっている人も多いと思います。

市原さん「不規則な生活や肉体的・精神的ストレスで自律神経が乱れることによって、免疫力は下がります。そのため、規則正しい生活をしてストレスをなるべく与えないようにすることで免疫力の低下を防げます。東洋医学では冷えが免疫力を下げると言われており、冷えにも注意が必要です。

また、体の中の免疫細胞の約60%が腸の中に存在するため、腸内環境を整えることで免疫力は上がります。そのためには、先述の規則正しい生活に加えて、乳酸菌やビフィズス菌と一緒に食物繊維をたくさん摂取することも大切です。

『免疫力を上げてウイルスなどの感染を予防できる』とうたうサプリメントや特定の食品、グッズなどが販売されているようですが、現在のところ、直接的な効果が実証されているものは存在しません。そのような情報に振り回されず、基本的なことを徹底するしかありません」

Q.結局、免疫力を高められる確実な方法は「バランスのよい食事と規則正しい生活」に尽きるということでしょうか。

市原さん「その通りです」

(オトナンサー編集部)


市原由美江(いちはら・ゆみえ)
医師(内科・糖尿病専門医)

横浜鶴ヶ峰病院付属予防医療クリニック副院長。自身が11歳の時に1型糖尿病(年間10万人に約2人が発症)を発症したことをきっかけに糖尿病専門医に。病気のことを周囲に理解してもらえず苦しんだ子ども時代の経験から、1型糖尿病の正しい理解の普及・啓発のために患者会や企業での講演活動を行っている。また、医師と患者両方の立場から患者の気持ちに寄り添い、「病気を個性として前向きに付き合ってほしい」との思いで日々診療している。糖尿病専門医として、患者としての経験から、ダイエットや食事療法、糖質管理などの食に関する知識が豊富。1児の母として子育てをしながら仕事や家事をパワフルにこなしている。オフィシャルブログ(https://ameblo.jp/yumie6822/)。

 

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