失敗した人必見! 簡単に実践できる「早起き」のコツ

投稿日:2020-08-21 更新日:

「朝、早起きができない」。そんな悩みをお持ちではありませんか。ここでは、早起きにまつわる誤解を解きながら、明日から実践できる早起きのためのコツや、睡眠についての正しい考え方を解説します。

 

早起きを成功させるコツとは

「朝の行動」を変えてみる

誰しもチャレンジしたことがあるはずの「早起き」。早起きするために、無理やり布団に入ったり、睡眠時間をしっかり確保しようと試みたりした経験がおありかと思いますが、実はこれらはすべて逆効果なのです。今回は、簡単に実践できる早起きのコツや睡眠の正しい考え方について、医師の尾西芳子さんに聞きました。

まず、すっきり目覚める上で大切な「朝の行動」は以下の通りです。

【日光を取り入れる】
朝、寝起きにカーテンを開けて日光を取り入れることで体の睡眠・覚醒リズムが形成されますが、これは単に「まぶしさで目を覚ます」という単純なものではありません。

夜間、脳からはメラトニンというホルモンが分泌されます。メラトニンは、体温を下げたり、リラックスした状態を作ったりする副交感神経を優位にし、睡眠を促すものですが、このメラトニンの分泌をストップさせるのが日光。朝、日光を浴びることでメラトニンの分泌が止まり、体が睡眠から覚醒へと切り替わります。逆に夜、電気をつけたまま寝るとメラトニンの分泌周期が乱れ、朝と夜の区別がつきにくい体になってしまいます。

ここで注意したいのが、睡眠中に部屋を真っ暗にするのは逆効果だということ。電気を消して真っ暗にした方が深い眠りにつけそうですが、実は、真っ暗な状態は精神を不安定にしてしまいます。これは、狩猟時代の人々が夜に火をたき、月明かりや星明かりとともに夜を過ごしていたことに由来するもの。真っ暗な状態は本来、人間にとって不自然な環境なのです。

【二度寝は15分以内に】
起床時に強い眠気が残っている場合、10分前後の二度寝は効果的とされますが、15分以上二度寝をすると夜にメラトニンが分泌される時間がずれて、うまく寝付けなくなってしまいます。

「夜の行動」を変えてみる

毎朝、起きるのがつらい方は前日の「夜の行動」を見直してみるのも有効です。

【寝る前の刺激物は避ける】
コーヒーや栄養ドリンクなどに含まれるカフェインや、たばこに含まれるニコチンなどの刺激物は交感神経に作用し、体を興奮状態へと変化させます。このため、全身に血液が巡るように心拍数や血圧が上昇し、瞳孔が開いてしまいます。交感神経が優位になると、スムーズな入眠が妨げられてしまうため寝る前の刺激物は控えるべきです。

【寝る前にリラックスする】
良質な睡眠のためには、体をリラックスさせる副交感神経を活性化させることが大切。音楽を聴く、ぬるま湯に浸かる、アロマをたく、軽いストレッチをするなど、自分なりのリラックス方法を見つけて実践してみましょう。特に熱すぎないお風呂や軽いストレッチなどで体を適度に温めると、体温の低下とともに代謝を落ち着かせることができ、睡眠に適した状態ができやすくなります。

【早くから布団に入るのはNG】
「早く起きられるように早く布団に入ろう」という考え方は、実はNG。早く寝るから早く起きられるのではなく、「早く起きるから早く寝られる」というのが正解です。眠くないうちに布団に入ると、寝なければというプレッシャーで余計に覚醒し、それを繰り返すうちに「布団に入る=眠れない」という条件付けがなされてしまいます。「眠くなってから布団に入る」が基本です。

【無理に寝ようとしない】
一般に、睡眠時間は8時間が最適とされていますが、これはあくまでも平均値にすぎず、適切な睡眠時間は一人一人違うものです。3時間寝てすっきりと目覚める人もいれば、9時間寝ても足りないと感じる人もいます。熟睡感は、布団で過ごす時間が長ければ長いほど減少するため、無理に8時間睡眠にこだわる必要はありません。むしろ、無理やり寝ようとして逆に睡眠の質が下がる可能性も。寝ているはずなのにすっきりしない時は、思い切って睡眠時間を減らすことも有効かもしれません。

「日常生活」で意識すべきこと

朝と夜以外でも、日常生活の中で意識すべきポイントはたくさんあります。

【3度の食事をしっかり取る】
早起きを習慣づけるためのポイントは体にリズムを覚えさせること。生活リズムを作る上で特に重要なのが、1日3回の食事です。朝食を抜くなどの不安定な食生活は禁物。また、寝る前に食事をすると体温が上昇して入眠が妨げられるため夜食も厳禁です。どうしてもおなかが減って眠れない時はゼリーやスープ、ヨーグルトなど、消化の良いものを選んで少量食べましょう。消化に時間のかかる炭水化物や糖分、脂っこいものはNG。

【睡眠のリズムを作る】
人間の体内時計は約25時間を1周期としています。外界の周期である1日24時間のリズムに合わせるため、起床する時間や仕事をする時間、布団に入る時間などの生活リズムによって体内時計を毎日1時間ずつリセットしています。つまり、不規則な生活を続けていると体内時計が毎日1時間ずつずれてしまうのです。

体にリズムを刻むには、決まった時間に決まった行動を取り、それを継続することが大切です。休日だからとお昼過ぎまで寝たり、翌日が休みだからと夜更かししたりするのはNG。決まった時間に起床して食事を取り、布団に入る、という毎日の心掛けが規則的なリズムを作るための重要なポイントです。

【休み時間を有効に活用する】
短時間の睡眠で熟睡感を得るためには、体が適度に疲れていることが大切。日中だらだら過ごすのではなく、休み時間であっても頭や体を使い続けることが有効です。

たとえば、布団に入る直前まで仕事をしていると、体が覚醒し交感神経から副交感神経へのスイッチの切り替えが適切に行われません。その結果、入眠までに時間がかかり、睡眠の質が下がります。これを避けるには、日中の時間を有効活用することが重要です。数十分~1時間程度の休み時間でもだらだらせずに区切りをつけ、その後の睡眠時間の確保に努めましょう。

休み時間に昼寝をする場合、20~30分がよいとされており、これ以上の昼寝はかえって頭の動きを鈍らせてしまいます。また、午後3時以降の昼寝は夜の睡眠を妨げる原因に。昼寝をして頭をすっきりさせた分、夜の睡眠のために、心身ともに適度な疲労感が残るように午後の作業に励むようにします。

 

朝起きられないのは体の不調が原因?

日中の眠気が強い、集中力がない、朝起きた時点ですでに疲れている。このような場合、もしかしたら病気が隠れているかもしれません。日中に眠気をきたす病気として最も多いのが「睡眠時無呼吸症候群」。舌がのどの奥の方へと肥大することで気道がふさがれ、呼吸が止まってしまう病気です。肥満の方に多く見られる病気ですが、アルコールの飲み過ぎでも、のど周辺がむくんで気道が狭くなるため大酒飲みの方は要注意。

低酸素状態になると、全身の臓器が酸欠になるだけでなく「息ができない」という危機を察知した体に強いストレスがかかり、交感神経が活性化します。つまり、寝ているつもりでも体は活動している状態になってしまうのです。いびきを指摘されたり、寝汗をかいたりする場合、特にこの病気が疑われます。

ほかに睡眠障害を引き起こす病気としては、脳にある睡眠・覚醒中枢の機能障害によって日中強い眠気を感じる「ナルコレプシー」、夜になると脚に不快感が生じてなかなか寝付けなくなる「むずむず脚症候群」、統合失調症やうつ病などの精神疾患があります。また膠原病(こうげんびょう)や薬の副作用によって睡眠障害が起きる可能性も。

早起きの基本は「睡眠の質」

朝起きられないことに悩んでいるのであれば、まずは良い睡眠を取ることを目標に生活を見直すことが大切です。ポイントは「体にリズムを覚えさせること」「日中、心身ともに適度に疲労を与えること」。

「1日3度の食事を習慣づけ、日光の力を利用して日中は頭と体をしっかり動かしましょう。寝る前はリラックスを心がけ、交感神経を刺激するようなものは控えてください。また、睡眠時間を無理に確保する必要はありません。必要なのは、8時間寝ることではなく、適切な環境で体が欲する分の睡眠を取ること。『布団に入る=良質な睡眠を取る』という条件付けができるように、まずは休日から生活を見直しましょう」(尾西さん)

(オトナンサー編集部)


ライター:尾西芳子(おにし・よしこ)
産婦人科医(日本産科婦人科学会会員、日本女性医学学会会員、日本産婦人科乳腺学会会員)

2005年神戸大学国際文化学部卒業、山口大学医学部学士編入学。2009年山口大学医学部卒業。東京慈恵会医科大学附属病院研修医、日本赤十字社医療センター産婦人科、済生会中津病院産婦人科などを経て、現在は高輪台レディースクリニック副医院長。「どんな小さな不調でも相談に来てほしい」と、女性のすべての悩みに答えられるかかりつけ医を目指している。産科・婦人科医の立場から、働く女性や管理職の男性に向けた企業研修を行っているほか、モデル経験があり、美と健康に関する知識も豊富。オフィシャルブログ(http://ameblo.jp/yoshiko-onishi/)。

 

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