マンガで読む!大人の発達障害ADHDうっかり女子 第7話:じっとしていられないナイ!(最終話)

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大人の発達障害マンガじっとしていられない
私、じっとしていられない女なんです。

ADHDってひとくくりに言っても、いろんな人がいるわけですが、それをざっくり3分類にしたのが、以前もご紹介した

不注意優勢型」「多動性・衝動性優勢型」「混合型」というもの。

私は不注意優勢型、昔の診断名で言うとADDですね、と医師からも言われています。

注意力散漫、うっかりで忘れん坊。w ですが、この連載で再三書いてきたように頭の中は衝動的なんです。

授業中座っていられないとか、常にもぞもぞ動いているとか、そういう感じではないんですが、頭の中では常にいろんなことを思いついているんですね。

やってみたいことであふれている。で、「それやっちゃお!」となる。

人間って、というか生物って、習慣化されていないこと、新しいことに取り組むときには不安を感じるようにできているそうです。

誰も入ったことのない新しい道をどんどん選んでいったら、それだけ外敵に襲われる確率が高くなるわけですから。

それでも、その誰も通ったことのない道に「行ってみたい!」と進んでいった人がいるからこそ、地球上のあらゆる場所に人間が生息しているんですよね。
ADHDじっとしていられない
ADHDタイプの人って、新しいことへの抵抗が少なくて、むしろ「なになに!?」と飛び込んで行っちゃうような脳タイプの人達だと思うんです。「じっとしていられない」というのは、そういう意味でのこと。

振り返ってみると、私の子どもの頃の夢は、「〇〇になりたい」というより、「OLになりたくない」でした。

みんなと同じことをやるなんてつまんないって思ったんですね。
もちろん組織の仕事も会社によって全然違うものなのですが、当時はそんな風に思っていました。
ADHD子どもの頃
そんなわけで、親から「教員免許を取れ!」と言われて教育大に進んだ私は、免許は取りましたよ~と取っただけで満足し、全く経験もなかった吹きガラスの工房へ吹きガラス職人として就職しました。

周りの人がやっていないようなことを仕事にしたかったんです。

そこで3年勤務した後、お金を貯めようと生まれ育った札幌を出て、神奈川で教員をはじめました。

そして現在は個人事業主として講座をしたり、ライターとして取材や記事を書いたり、経営コンサルティングの会社のスタッフをしたりしています。

「いろんなことしてるねー!」と良く言われます。(=゜ω゜)ノ
自分でもそう思います。w
発達障害仕事職種
そうやって、いろんなことに興味が移る自分を、以前の私は「私って根気がないなぁ。」「長続きしないなぁ。」などと責めていました。

その考えが変わったのは、長男ハルが生まれてから。

ハルは2歳の時に自閉スペクトラム症と診断されました。発達障害のひとつに区分される障害です。

ひとくくりに自閉といっても、言葉の表出がない方、逆に言語発達が突出している方、本当に様々なのですが

「こだわりがある」というのは共通して言われていて。

例えばハルはドアがピシっとしまっていないとダメなんです。気になる、というのを通り越して、そうなっていないと受け入れられない、という感じなんですね。

特定の道順でないとイヤ、という方や、特定の食べ物でないと食べられない、という方や、こだわりの出る部分というのは人によって違っていて、同じ人でも年齢と共に変わってくる場合もあります。
(※そういった様子がみられる=自閉症 ではありません。)

ハルは他にも、「音楽に合わせて人と体を動かす」ということが本当にイヤなようで

療育(発達に偏りのあるお子さんがうける、発達を促すための治療+教育。)で、みんなで音楽に合わせて体を動かすようなシーンがあると、毎回断固拒否。

それをね、私は何とかやらせようとして必死だったの。みんなと同じようにできることが彼にとっての成長だと信じていたんですね。

自閉症スペクトラム療育拒否
でもそんなとき、先生に言われたんです。

「お母さん、いやならね、やらなくてもいいのよ。ハル君はよく音楽を聞いているね。リズムをとっているね。そういう楽しみ方もある。

この時間は、『コミュニケーションって楽しい!』を感じてもらうためのもの。音楽を通して非言語コミュニケーションの発達を促す場だけど、それぞれの楽しみ方で参加してもらってもいいのよ。見ている、その場にいるという参加の仕方だってあるよ。」

そして、気持ちが向いたらいつでも参加できるようにしておくというのが大切なのだとお話くださいました。

例えば散歩していても、2歳ごろのハルは絶対遊具では遊びませんでした。遊具を見上げて、そこからこぼれ出る日の光を飽きることなく眺めていました。

でも、滑り台で滑ることしかしちゃいけないって誰が決めたのだろう?

下から眺める、そこから見える景色を楽しむ

大多数の人とは違っていても、そんな視点もあっていい。

どれも、ダメじゃない。

ダメは、ひとつもない。

そう思ったらね、ひとところに留まれない、ひとつのことにじっくり取り組めない、飽きっぽくて続かない自分をダメな人間だと思っていた見方も変わりました。

新しいことに臆せず取り組めること、初めて会った人とも楽しく関係性を築けること、いろんな場所でいろんな人と繋がれること、それは自分の弱みではなく強みにもなるんだって思ったんです。

堀江貴文さんの著書「多動力」(幻冬舎)には、こんな一説があります。

「僕は物心ついたときから、『ハマっては飽きる』『ハマっては飽きる』を繰り返して、それが今でも続いている。

 スティーブジョブズは『点と点をつなげていくと、いつの間にか線ができる』と言ったが、あちこちハマっていくうちに、網の目のように散らばった点と点とが思わぬところでつながるのだ。」
参考/引用:多動力 堀江貴文 著

「多動力」が今注目されているのは、それが今までの日本で賞賛されてきた「ひとつのことをやりとげる、石の上にも3年」という価値観の逆を行っているからだと私は思うんです。

それでね。じゃあ今度は「多動力」が人類最強かっていうと、そうじゃないんですよ。

それは、どんなやり方も〇ってことなの。じっくり取り組む人も、じっとしていられず次々新しいことにトライする人も、どっちも花丸ってことなんです。

どんな特性にも善悪はない。ダメはない。
みんながみんな、自分なりのやり方でやりたいことやりたいようにやればいい。

ダイバーシティ※1って、そーゆーことなんだと思うんです。
(※1多様な人材を積極的に活用しようという考え方のこと。 )
多様性こそが人間の強み。一人ひとりが既成概念にとらわれず、クリエイティブに生きて行くこと。それがこれからの世界には必要なんだって思います。

私の10年後。まったく何やってるか予想もつきません。5年後だってわかりません。わかるのは、そのときそのときの自分に正直に、生きたいように生きているだろうなってこと。

今回でこの連載はおしまいになります。お読みくださった方にとって、ひとつでも何かヒントになるところがあれば幸いです。


うっかり女子でも大丈夫

と、言うかね。

しっかり女子でも、
ちゃっかり女子でも、
へっぽこ女子でも。

女子でも男子でもトランスジェンダーでも!

あなたがあなたらしくあれば、すべては大丈夫!と私は思っています。
一緒に自分らしく、生きていきましょう!

◆バックナンバー一覧◆

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この記事を書いたライター
雨野千晴(あめのちはれ)
1981年北海道生まれ、神奈川県厚木市在住。
公立小学校教員として10年勤務した後、2017年春に退職。 ADHD不注意優勢型と診断される。 現在フリーランスでライター、インタビュアー、PRサポート、発信コンサルタントなど、複数の肩書で多動力を活かして活動中。2018年より障害の有無に関わらず楽しめるお祭り「あつぎごちゃまぜフェス」を主催、メディアにも取り上げられる。実践障害児教育にてコラム連載中。ブログ「 うっかり女子でもちゃっかり生きる」では、うっかりネタや自閉症の長男、お調子者の次男との日常等を綴っている。インクルーシブ教育『学び合い』神奈川の会事務局。

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