私、話が聞けない女なんです。
子どもの頃、授業中はだいたい教科書やノートに落書きをしていました。
先生の話を聞けない子どもだったんですね。
いえ、まったく聞いてないわけじゃないんです。
興味のあるところはバッチリ聞いていて、未だに鮮明に覚えています。
だけど、そうでないことには途端に聞くスイッチが切れてしまっていました。
話を聞いているうちに脳内連想ゲームがマジカルバナナ的に始まったりして。
(昭和の人しかわかんないネタでごめんなさい笑)
例えば、先生がアサガオの苗の育て方について説明したとします。
すると話を聞いているうちに、
アサガオのツユを絞って絵を描いたら楽しいんだよなー
↓
絵を描くって楽しいよなー。
そういえば次の図工は何やるんだっけ?
↓
あ、そうそう。
木でパズルを作るって言ってたな。
↓
この間おじいちゃんと完成させてパズルは難しかったなぁ。
今度はもう少し簡単なのを買おう。
みたいにどんどんアサガオからは遠のいていき、マイワールドへ突入。
先生の説明には脳内シャッターが降りて、まったく耳に入ってこない状態にorz
ADHDな私は、色々なところに注意が向きやすいんですね。
その結果「話を聞く」ことより別のところに関心が向いてしまうという展開になり、結果として話を聞いていないように見える(もしくは本当に聞いていない)場合が私はよくあります。
いえ、実はぼーっとして見えて、さっきみたいな一人連想ゲームになってたり、いろんなところの情報をキャッチしたりして、頭の中は忙しいんですけどね。w
さらに、ADHDのある人は、「ワーキングメモリー」と呼ばれる脳の短期記憶の働きがうまく機能しない場合も多いそうです。
耳からの情報のみで多くの指示や話題を投げかけられても処理できないので、結果的に「聞いていない」「聞き取れていない」という事態になってしまうことも。
そんな感じで耳滑り人生を歩んできたわたくしなのですが、2年前から傾聴に特化したカウンセリングの勉強を始めました。
何か高尚な志があって始めたわけでは全くなく、「なんかちょっと面白そうだなー」という感じで、とあるNPO団体の講座に通い始めたんです。
半年ほど勉強し、カウンセラーの認定をいただいた後、教員の傍らボランティアでカウンセリングを始めました。
ボランティアを始めてから現在までに120名以上の方のお話をお聞きしてきました。
人の話が聞けない私が、人の話を聞く仕事をするという驚きの展開!www
もちろん今までと同じように、日常の中では相手の話途中で離脱してしまったり、耳だけの指示を聞けなかったりはするんですよ。
だけど、カウンセリングではもちろんですが、それ以外の時でも、相手の話を聞けることが本当に増えたなぁと思います。
では、私はどんなところを意識した結果、人の話が聞けるようになったのか。
今回はそのポイントをお伝えしたいと思います。
「人の話を聞くのが苦手!」という方や、お子様の話を聞く場合などの参考になれば幸いです。^^
カウンセラーな私がお伝えする「聞く」ための5つのポイント
ポイント1:スイッチを入れる
これは ADHDかどうかに関わらず言えることだと思いますが、いつでもどこでも人の話を聞ける人なんて存在しないんじゃないかなーって思います。
なので、「ここは聞く!」という大事な局面では、まず自分で「今から聞くぞ!」とスイッチを入れるように意識しています。
何か作業をしていたり、考え事をしていたりする場合は、一旦全て手を止めて、相手の方に体を向けて、ていねいに聞くように心がけています。
ポイント:2 時間を区切る
スイッチを入れたとは言っても、そんなに簡単にその姿勢を持続できるわけではありませんw
人って、誰かの話を聞いているうちに、「そうそう、私もそういえば・・・」と自然に自分のことへ頭がシフトしてしまいがちです。
「相手の話をじっくり聞く」というのを意識してやってみるのって、意外に難しいものなんですよね。
なので、1日にほんの数分からでもいいので、時間を決めて取り組むことは有効です。
まずは3分、意識を集中して、相手の話を聞いてみてください。
できたら、その時間を少しずつ伸ばしていきます。
ポイント:3 場所を選ぶ
ADHDのある人は、視覚からの情報に敏感な方も多いんです。
私は以前小学校で働いていたのですが、学校では子どもたちの気が散らないように、なるべく黒板の周りに掲示物は貼らないようにしたり、棚のものが見えないように布をかけたりしていました。
子どもたちが授業に集中出来る環境作りを心がけていたんですね。
なので、サザエさんでカツオがお説教されるときは波平の和室で、というように(笑)、ここはしっかり聞く、という場合は、落ち着ける環境を選ぶことも大事かなと思います。
同じお部屋の中でも、ちょっと場所を移動したり、テレビを消したり、スマホやPCなどを片付けたり。
ちょっとの工夫で全然違ってくると感じています。
環境を意識することは、「聞く」スイッチを入れることにもつながります。
ポイント4: 批判をしない
話を聞く中で、「それは違う!」と思うことってあると思います。
ですが、そう思った時点で相手の話を聞くよりも、自分の考えはどうなのかに意識が変わってしまいます。
会議やディスカッションなど、自分の意見を持って相手に伝えることが必要な場であっても、まずはフラットな気持ちで相手の話を聞くということが大切です。
ですので、「違う!」という気持ちが自分の中から出てきた時は、「あ、私は違うと思っているんだな~」ぐらいにして、ひとまず心の中から流し、「まずは相手がどう思っているかを聞こう」とスイッチを入れなおしてみてください。
ポイント:5 話し手の気持ちに注意を向ける
この5番目のポイントが、私にとっては一番大きい部分だと思っています。
私たちは普段話をする時に、具体的な出来事を語りながら、その中で「あれは悲しかった」とか「腹が立った」とか「うれしかった」とか、気持ちについて話しています。
そう言った単語がでない場合でも、口調や表情などの非言語コミュニケーションの部分から感情が読み取れることもありますよね。
「具体的な出来事を落とさず聞く」を意識するよりも、「相手の気持ちがどこにあるのか」ということを意識すると、出来事の方も記憶に残ってくるから不思議です。
以上、「聞く」のポイントを5つご紹介いたしました。
その他にも、耳からの情報だけでなく、相手に紙に書いてもらうとか、例えば職場でのことなら、「聞くことに不得手があるので指示は一つずつお願いします」と相手に伝えておくとか、いろんな工夫が考えられると思います。
5つのポイントを踏まえながら、ご自分に合った工夫を試してみてくださいね。^^
余談。
子どもって、「お母さん聞いてー!!見てー!!」って毎日のように言ってきませんか?
その都度、家事やら何やらの手を止めてじっくり向き合って話を聞く、というのは難しいと思います。
私はそうです。
ですが、1日のうち、ほんの数分だけでもこのポイントを意識して「聞く」ことで、子どもの中に聞いてもらえた満足感が残るのではないかな、と思っています。
そして、どんなに意識しても聞き逃してしまうことって、誰でもあると思うんです。
そんな時は聞いていたふりをせずに、素直に「ごめん、今聞き逃しちゃった。もう一回教えてくれる?」と聞き直すことも大事かなって思います。
できないことがあっても、あなたはダメじゃない。
そんな時は、謝ればいい。その根底はいつも大切にしてもらえたらと思っています。^^
※1)参考文献:「図解よくわかるADHD」榊原洋一著/ナツメ社