「疲れたときには甘いものを食べるとよい」は本当なのか

投稿日:2019-12-13 更新日:

「疲れたときには甘いものを食べるとよい」という言説やイメージがありますが、本当なのでしょうか。管理栄養士に聞きました。

「疲れたときに甘いもの」は間違い?

一般的に「疲れたときには甘いものを食べるとよい」といわれますが、ネット上には、この考えが「間違いなのでは」とする声もあります。甘いものを食べることで、逆に低血糖症を招いてイライラしたり、気分が落ち込みやすくなったりすることがあるそうです。「疲れたときに甘いもの」は正しいのか、管理栄養士の川村郁子さんに聞きました。

血糖値の大きな変動は疲労につながる

Q.疲れたときには甘いものを食べるとよい、という考えは間違いですか。

川村さん「疲れたときに甘いものが欲しくなる気持ちは分かります。脳の栄養素なので適度に食べるのはよいですが、大量に食べることはお勧めしません。

甘いものをたくさん食べると、血糖値が急激に上がります。血糖値が急激に上がると、すい臓からインスリンという、血糖を下げる体内ホルモンが分泌され、低血糖状態になります。こうして、血糖値の大きな変動が起き、さらに疲れやすくなるからです」

Q.甘いものにはブドウ糖が含まれ、脳の栄養素になると聞きますが。

川村さん「確かに、『甘いもの=ブドウ糖』は脳の栄養素となりますが、急激な血糖値の上昇は体にとってよくありません。また、甘いものをエネルギーに変換するときには、多くのビタミン類が必要となります。必要以上に甘いものを食べると、ビタミン類を無駄遣いすることになるため、かえって疲労回復の邪魔をすることになるのです」

Q.どのような栄養素を摂取すると、疲れが取れやすいのでしょうか。

川村さん「一番大事なのは、タンパク質、脂質、炭水化物、無機質、ビタミンの5大栄養素をきちんとバランス良く取ることですが、特に意識してほしいのが『ビタミンB1』『タウリン』『マグネシウム』です。ビタミンB1は水溶性ビタミンの一種で、体の代謝に関与しています。不足すると、疲労が代謝できず、だるさの原因になります。

タウリンはアミノ酸の一種で、コレステロールや中性脂肪を下げたり、視力の衰えを防いだり、肝臓の解毒力を強化したりするなどの働きがあります。栄養ドリンクに含まれていますが、食品からも十分に摂取できます。

マグネシウムは生体の機能維持に欠かせない栄養素の一つで、糖質や脂質の代謝、エネルギーの産生に関わっています。そのため、不足すると代謝がうまくできず、疲労の原因になることもあります」

Q.疲れが取れる栄養素は、どのような食品に多く含まれていますか。どれくらいの量を目安に摂取すれば効果的でしょうか。

川村さん「ビタミンB1は豚肉やレバーです。また、お米を食べるなら白米よりも胚芽米や玄米、雑穀米の方がよいでしょう。ニンニク、豆類、ナッツ類にも含まれています。豚肉のメニューを選ぶ、定食屋さんでは雑穀米を選ぶ、ご飯にすりごまをたっぷりかけて食べるなど、簡単に取るコツはあります。

タウリンはイカやタコ、貝類などに多く含まれています。しっかり、よくかんで食べましょう。マグネシウムは豆類、野菜類などに多く含まれています。朝ご飯に納豆を食べるようにしたり、おやつにナッツ類を食べるようにしたりするとよいでしょう」

Q.ドラマ「ドクターX」で主人公が手術後、大量のガムシロップを飲み干す場面があります。ガムシロップは疲労回復に効果的なのでしょうか。

川村さん「運動直後の糖質は疲労回復に効果的ですが、大量のガムシロップは血糖値が急激に上昇するためお勧めしません。ガムシロップはせいぜい1個が適量でしょう。それより、豆乳や牛乳、トマトジュースなどを飲んだ方が疲労回復に必要なビタミン類も摂取できるのでお勧めです」

(オトナンサー編集部)

川村郁子(かわむら・いくこ)
管理栄養士、元気ごはん研究家

福岡県出身。自身が太っていたことからダイエットに興味を持ち管理栄養士の道へ。病院管理栄養士を経験した後、2012年に独立。服部栄養専門学校講師、発酵食の研究、飲食店のメニュー監修、ラジオパーソナリティーなどを行いながら、忙しい現代人向けの「カンタンにできる元気ご飯」を提案している。メディアには、自身の名前を一部使った“食育子(しょくいくこ)”として出演。公式ブログ(http://shokuikuko.net/)。

 

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