全国各地で真夏日となるなど、今年も夏の足音が少しずつ近づいていますが、暑い季節に欠かせないのが「アイスクリーム」ですね。
しかし、ひと口にアイスクリームと言っても、その食品表示を見ると「アイスクリーム」「アイスミルク」「ラクトアイス」「氷菓」とさまざまな種類があります。それらには一体、どのような違いがあるのでしょうか。
オトナンサー編集部では、日本アイスクリーム協会の小林景さんに聞きました。
「アイスクリーム」は4種類ある
そもそも、アイスクリームは牛乳や乳製品、糖類を主原料とし、必要に応じて安定剤や乳化剤、香料などの添加物を加えて作られるもの。牛乳の水分以外の部分を「乳固形分」といいますが、この中に、アイスクリームの風味や組織を左右する「乳脂肪分」が含まれます。「乳脂肪分の含有量が適度に高いほど、粘りと硬さのバランスが調和し、コクのあるまろやかな風味と滑らかな口当たりのアイスクリームになるのです」(小林さん)。
一般に「アイスクリーム」と呼ばれるものは、食品衛生法に基づく「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」と「食品、添加物等の規格基準」によって、以下の4種類に分類されます。
まず「アイスクリーム(種類別アイスクリーム、以下同じ)」は乳固形分を15.0%以上、うち乳脂肪分を8.0%以上含んでおり、ミルクの風味とコクが豊かに感じられます。
次に「アイスミルク」は乳固形分10.0%以上、うち乳脂肪分を3.0%以上含んでいます。アイスクリームに比べると“ミルク感”はやや劣りますが、牛乳と同程度の乳成分を含んでおり、植物油脂が使われることもあります。
「ラクトアイス」は乳固形分3.0%以上のものです。ラクトとはラテン語で「乳」を意味しますが、アイスミルクよりも乳固形分が少なく、ミルク感は少なめです。さっぱりとした口当たりが特徴で、植物油脂が使われることも。
最後の「氷菓」は上記3つ以外のもので、乳成分はほとんどありません。アイスキャンディーやかき氷などがこれに該当します。
なおアイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイスは、一定以上の乳成分の規定を満たすことから、法的には「乳製品」に、氷菓は乳成分をほとんど含まないため「一般食品」に分類されます。
いわゆる「ソフトクリーム」とは
ちなみに、イベントや観光地の売店でおなじみの「ソフトクリーム」は法的に分類されるものではなく、アイスクリームの工程上における呼び名のこと。「アイスクリームは通常、フリージング後に充てん・包装され、マイナス30度以下でさらに凍結してから出荷されますが、ソフトクリームはフリージング直後の『出来たて』の状態を指します」。
最近、コンビニエンスストアなどで見かけるようになった「プレミアムアイスクリーム」に法律上の定義はありません。
乳成分の量を考えてアイスクリームを選びたい人は、ぜひ参考にしてみましょう。
(オトナンサー編集部)