コロナで「体温」身近に 「低体温」気にする声も…体にどんな影響がある?

投稿日:2021-05-17 更新日:

コロナ禍で、現在の「体温」を知る機会が増えましたが、中には「体温が低い」と心配になる人もいるようです。「体温が低い」とは何度くらいのことで、どのような影響があるのでしょうか。

体温が低いとどうなる?

コロナ禍で、自宅や商業施設、病院などでの検温が日常的な行為として定着し、自分の現在の「体温」を知る機会も増えたと思います。そんな中、ネット上では「自分の体温が低すぎて驚くことがある」「37.5度を下回っていると一安心するけど、たまに35度を切ることがあって心配」など、「体温が低い」ことを気にする声も少なくありません。また、「体温が低すぎるのも体によくなさそう」「平熱が35度台でも問題ない?」「どうやったら体温を上げられる?」といった疑問の声も上がっています。

普段の体温が低い場合、体にどのような影響が考えられるのでしょうか。内科医の市原由美江さんに聞きました。

平熱が36度未満だと…

Q.まず、「体温」について教えてください。

市原さん「体温は加齢とともに下がってきます。これは、年を取ると一般的に、体温を維持する働きがある筋肉の量が減少していくからです。そのため、子どもは平熱が高く、逆に高齢者は平熱が低くなります。体温は一日の中でも変化しており、日中に高く、夜間に低くなります。また、気温にも影響されるため、暑い季節は高く、寒い季節は低くなります。

体温は測る部位によっても異なります。温度は本来、口の中や直腸の方が安定していますが、それぞれ特殊な体温計を用いるため、体温を知る方法としてあまり現実的とはいえません。そのため、一般的には脇の下で測るのがよいでしょう」

Q.「平熱」とは何でしょうか。

市原さん「平熱は一般的に『36.0度以上37.0度未満』のことをいいます。人種や性別、年齢、筋肉量など、さまざまな要素で平熱は変わります。ちなみに『微熱は37.0度以上38.0度未満』です」

Q.「体温がいつも低い」「平熱が35度台」という人もいるようですが、これはどのような状態なのでしょうか。

市原さん「一般的に、平熱が36度未満の状態を『低体温』といいます。近年、低体温の人は増えており、過度なダイエットや運動不足などで筋肉量が減っていることが原因の一つと考えられます。筋肉量が少ない場合、冷え症を自覚する可能性も高いです。低体温の状態では免疫力が低下すると考えられており、感染症にかかりやすくなります。また、基礎代謝やエネルギー代謝が減るので太りやすくなります。

ちなみに、よく似た言葉に『低体温症』がありますが、これは体の中の温度(深部体温)が35度以下に低下した状態のことをいい、山岳事故や水難事故などの寒い環境下で起こるものです。そのため、単に体温が低い低体温の状態とは異なります」

Q.低体温になりやすい人の特徴はありますか。

市原さん「子どもや高齢者、痩せて筋肉量が少ない人、不規則な生活をしている人、運動をしない人、甲状腺機能低下症の人などが挙げられます」

Q.低体温が日常的に続くと、どうなるのでしょうか。

市原さん「免疫力の低下により、感染症やがんにかかりやすくなると考えられます。女性の場合は低体温でホルモンバランスが乱れ、生理不順も起こりやすくなります。逆に、甲状腺ホルモンの値などが低下している場合に低体温になることがあり、この場合は内分泌の病気が隠れていることがあるので注意です」

Q.低体温を改善するための方法や、日常生活で意識するとよいポイントはありますか。

市原さん「低体温の改善に踏み切った方がよい目安は『平熱が35度台(日常的に36度未満の体温が続いている状態)』です。冷え症のように手足の冷えを必ずしも感じるわけではありませんが、疲れやすかったり、風邪をひきやすかったりする自覚があれば、低体温のサインと考えてよいと思います。

改善にはまず、運動をして筋肉を鍛えることが大切です。運動をする時間がない人も『エスカレーターやエレベーターではなく階段を使う』『1駅分歩く』などの工夫やストレッチなどで、筋肉を適度に動かすようにしてみてください。運動以外には、バランスの取れた食生活も大切です。冷たい飲み物を控えて、温かい飲み物を飲むようにしたり、ショウガやシナモン、コショウなど体を温める食材を取り入れたりするのも効果的です。

また、ゆっくりと湯船に漬かって入浴する習慣を付けるのもよいでしょう。寒いときに薄着でいたり、汗をかいて、そのままにしておいたりすると体温が下がります。汗をかいたときには汗をしっかり拭き取ることも大切です」

(オトナンサー編集部)


市原由美江(いちはら・ゆみえ)
医師(内科・糖尿病専門医)

横浜鶴ヶ峰病院付属予防医療クリニック副院長。自身が11歳の時に1型糖尿病(年間10万人に約2人が発症)を発症したことをきっかけに糖尿病専門医に。病気のことを周囲に理解してもらえず苦しんだ子ども時代の経験から、1型糖尿病の正しい理解の普及・啓発のために患者会や企業での講演活動を行っている。また、医師と患者両方の立場から患者の気持ちに寄り添い、「病気を個性として前向きに付き合ってほしい」との思いで日々診療している。糖尿病専門医として、患者としての経験から、ダイエットや食事療法、糖質管理などの食に関する知識が豊富。1児の母として子育てをしながら仕事や家事をパワフルにこなしている。オフィシャルブログ(https://ameblo.jp/yumie6822/)。

 

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