私たちにとって、「美容」は大きな関心事です。しかし、間違った情報が多く、私たち消費者が知っておくべきものが届いているとはいえません。今回は、美容皮膚科医の菅原由香子さんに、「肌とストレスの関係」について伺います。近著に「化粧いらずの美肌になれる3つのビューティケア」(三笠書房)があります。
ストレスが肌に与える影響は
適度なストレスはプラスに働くこともありますが、ストレスがたまりすぎると、肌にも影響を与えるのはもちろん、健康をも害してしまうことはよく知られています。
「私たちの体はストレスを感じると、ストレスホルモンである副腎皮質ホルモンや男性ホルモンが多く分泌し、ストレスに対抗しようとします。これらのホルモンは皮脂の分泌を過剰にさせ、毛穴のつまりやニキビの原因になります。また、ストレスにより体内に大量の活性酸素が発生し、体の細胞が攻撃され、お肌の老化も加速します」(菅原さん)
「現代社会に生きる私たちが、ストレスを全く感じない生活をするのは難しいでしょう。従って、どのようにストレスを解消するかが大切です。ストレスを感じたら、ゆったりとお風呂に入る、好きな音楽を聴くなど自分に合った解消法を実践しましょう」
美容で我慢しすぎると、かえってストレスがかかりそうです。
「美肌になるために我慢することが、ストレスになることもあるかもしれません。好きな食べ物を制限したり、紫外線を避けたりする生活をしたり、タバコをやめたり。患者さんからも言われることがあります。『こんなに我慢したら、ストレスでもっとニキビが出てくる』と」
「そう思う方は、我慢しないでください。心と体はつながっています。あなたにとって、ストレスのない範囲で美肌になるための生活をしましょう」
一番大切なことは何か
菅原さんは、正しい知識を持ち、適切な努力をすれば、体は必ず応えてくれると指摘します。さらに、一番大事なことは、自分自身が肌をいたわることだといいます。
「お肌のケアではありませんが、私は毎朝『幸せだな』と言ってベッドから出ます。何か大変なことが起こっても、『ありがとうございます。人生の勉強になります』と前向きに考えます。大変なことでイライラするのはお肌にも良くありませんし、その人の持つ魅力を半減させます」
「同様に、どんなにイライラしたり、落ち込んだりしたときも、プラスの言葉を使うようにしています。全ての出来事に対して前向きに感謝の心を持って生活していれば、あまりストレスを感じない人間になれると実感しています。そして、それが心の健康につながり、美肌にもつながっていくのです」
「人の肌には『美しくなる力』が元々備わっています。多くの人が、知らないうちにその力を弱めてしまっています」と菅原さんは強調します。肌荒れに悩んでいる方は、何が原因なのか、今の生活を振り返ってみるとヒントが見つかるかもしれません。今回、取材にご協力いただいた菅原由香子医師に御礼申し上げます。
(コラムニスト、明治大学サービス創新研究所研究員 尾藤克之)
尾藤克之(びとう・かつゆき)
コラムニスト、明治大学サービス創新研究所研究員
東京都出身。代議士秘書、大手コンサルティングファームにて、経営・事業開発支援、組織人事問題に関する業務に従事、IT系上場企業などの役員を経て現職。現在は障害者支援団体のアスカ王国(橋本久美子会長/橋本龍太郎首相夫人)をライフワークとしている。NHKや民放各社のテレビ出演や、経済誌などからの取材・掲載多数。著書も多く、近著に「3行で人を動かす文章術」(WAVE出版)がある。埼玉大学大学院経済学研究博士課程前期(経済学修士、経営学修士)。
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