前回、iDeCoの特徴のメリットについて考えてみました。
デメリットだと言われている60歳まで資産が引き出せないことも、iDeCoの本来の目的を考えれば決してデメリットとは言えないことも説明しました。
こうしたメリットを踏まえて、iDeCoに加入する際に、注意しておくことに触れてみたいと思います。
デメリットというわけではありませんが、あとで気がついて「そんな話は聞いてない!」とならないように、確認しておきましょう。
iDeCo加入留意点1:口座管理手数料の件
前回、運用する金融商品のコストが低いと書きました。
金融商品にかかる信託報酬や購入手数料は確かに安いのですが、これとは別に、加入時および毎月継続的に手数料が発生します。
手数料0円をうたう金融機関がありますが、あくまで「受付金融機関へ払う手数料が0円」ということであって、受付金融機関以外への手数料は発生するのです。
具体的に言うと、加入時に国民年金基金連合会への手数料として2,777円が必要となり、運用期間中も、国民年金基金連合会へ103円、事務委託先金融機関(信託銀行)へ64円、計167円を手数料として毎月払わなければなりません。
金融機関によっては、更にプラスで手数料を払う場合もあります。
※参考:手数料比較(iDeCoナビHP)
通常であれば、所得控除による減税効果でこの程度のコストは十分吸収できてしまいます。
気をつけて欲しいのは、専業主婦や所得税の課税限度内で働いている方(パートタイマーの方)です。
所得控除というiDeCo最大のメリットが活かされないため、口座管理手数料が直接的なコストになってきます。
こうした状況で、定期預金のようなリターンが少ない商品で運用していると、手数料が原因となって実質的に元本割れを起こす可能性もあるのです。
一生働くつもりでいても、子育てなどの都合で一時的に専業主婦になったり、所得税の課税限度内のパートタイマーとして働いたりすることがあるかもしれません。
そうした場合も考慮に入れ、手数料のことも踏まえて、利用する金融機関や商品を選ぶようにしましょう。
iDeCo加入留意点2:加入時期によって受給時期が60歳以降になる点
iDeCoは60歳まで引き出しができない、と書いてきました。では60歳になれば無条件で引き出せるかというとそうではありません。60歳になっても引き出せないことがあります。
それは、加入時期が大きく関わってきます。
60歳を迎えた時点でイデコの加入時期が10年を満たしていない場合は、加入時期に合わせて年齢が繰り上げられてしまうのです。
具体的にいうと、
6年以上8年未満の加入なら62歳
4年以上6年未満の加入なら63歳
2年以上4年未満の加入なら62歳
1カ月2年未満の加入なら65歳
が受給開始時期になります。
ただ、加入年数が少なくても、65歳であれば受け取れます。
iDeCoは全体としてはを通してみると、メリットが大きな制度です。ぜひ活用して自分で自分の年金を作るようにして欲しいです。そのためにも、iDeCoの特徴をよく押さえて、自分にとってベターな運用はどのような形か、じっくり考えてみてください。
中小企業診断士、ライター。転職を繰り返していたため、他人より退職金が少ないことに不安を覚え、2008年ころより資産形成のために投資信託を活用した金融投資を開始。当初はインデックス投資を中心に運用していたが、徐々に投資哲学に共感できるアクティブファンドに軸足を移す。ただし、積立を基軸とする「コツコツ投資」のスタイルは維持している。
中小企業診断士兼ライターとして多くの経営者にインタビューさせてもらう中で、成長する経営者の「お金に対する哲学」を学ぶことができた。
現在は、経営者の資産形成のアドバイスもできるようになることを目指している。
主な執筆先は、クーリエジャポン、企業診断(同友館)、道経塾(モラロジー研究所)、など