生産量が過去最高に! 「サバ缶」のメリット・種類ごとの特徴・効果的な食べ方

投稿日:2019-03-27 更新日:

昨年、生産量が過去最高を記録するなど、お財布にも体にもうれしい食材として人気の「サバ缶」。その種類ごとの特徴や食べ方について、栄養士に聞きました。

水煮、みそ煮、味付きと種類も豊富な「サバ缶」、どれを選ぶべき?
 近年「サバ缶」が人気です。他の魚に比べて量や価格が安定している点や、栄養価の高さが注目され、2017年には、生産量がツナ缶を逆転し過去最高を記録しました(公益社団法人日本缶詰びん詰レトルト食品協会調べ)。サバ缶といえば水煮とみそ煮がポピュラーですが、最近ではオイル漬けや、しょうゆやバジルの味付きなど種類も豊富に。SNS上では「栄養価が高いのはどれだろう」「塩分が気になる」「ダイエット効果が高い食べ方は?」などの声が上がっています。

 オトナンサー編集部では、サバ缶の栄養価や、よりおいしく健康的に食べる方法について、管理栄養士の川村郁子さんに聞きました。

生より缶詰の方がカルシウム豊富

Q.サバにはどんな栄養がありますか。

川村さん「サバには、筋肉や皮膚の原材料となるタンパク質、代謝に必要なビタミンB群、必須脂肪酸であるDHAやEPAが含まれています。DHAやEPAは現代人が不足しやすい脂肪酸の一つで、コレステロールや中性脂肪を低下させる効果があると言われています」

 川村さんによると、サバ缶が未加工のサバに比べて優れている点は次の通りです。

【すぐに食べられる】
缶詰の良い点は何といっても、開けたらすぐにそのまま食べられること。しっかりと味付けしてあるのでそのまま食べてもよいですし、ご飯のおかずとしても合います。手軽に栄養が取れるので、忙しい時にも便利です。

【骨まで食べられる】
未加工のサバは骨を取りながら食べる必要がありますが、サバ缶は骨まで柔らかく調理してあるので、骨が苦手な方も食べやすいです。また、骨を丸ごと食べられるのでカルシウムも摂取することができます。例えば、生のサバ200グラムに含まれるカルシウムは約12ミリグラムですが、サバ水煮缶200グラム(1缶)には約520ミリグラムも含まれています。骨まで食べることで多くのカルシウムを摂取できるのです。

【長期保存ができる】
生のサバは非常に鮮度が落ちやすい食材の一つですが、サバ缶は、開封しなければ賞味期限までおいしく食べることができます。保存食としても便利です。

 一方、サバ缶には以下のような注意点もあります。

【塩分が高い】
サバ缶は加工調理してあるので、未加工のサバに比べて塩分含有量が多いです。例えば、生のサバ200グラムには0.6グラムの食塩相当量が含まれていますが、水煮缶200グラム(1缶)の食塩相当量は1.8グラムで、約3倍です。

【一部のビタミン類が減少する】
水溶性のビタミンであるビタミンB群の一部は、缶詰にすることによって減少してしまいます。例えば、ビタミンB6は生のサバ200グラムに約1.18ミリグラム含まれていますが、サバ水煮缶200グラム(1缶)は約0.72ミリグラムです。

水煮v.s.みそ煮、栄養効果が高いのは?

Q.栄養価の観点からは、水煮とみそ煮のどちらが優れていますか。

川村さん「次の2点から、水煮のサバ缶の方が優れています。ダイエット中の場合も、水煮の方がお勧めです。ただし、いつも水煮缶ばかりでは飽きると思いますので、時々みそ煮を食べるなどして、頻度で調整するとよいでしょう。メーカーや商品によって含まれる糖質量や塩分が変わるので、裏の栄養成分をチェックしながら選ぶとよいでしょう」

1.みそ煮の方が糖質を多く含む
砂糖などで甘辛く調理するので、みそ煮の方が糖質の含有量が増えます。サバ缶と一緒にご飯を食べることを想定すると、水煮缶の方が糖質の取り過ぎを防ぎ、バランスを調整できると考えられます。

2.みそ煮の方が食塩相当量が多い
みそで味付けをしているため、みそ煮の方が塩分を多く含んでいます。例えば、サバの水煮缶(1缶200グラム)の食塩相当量1.8グラムに対し、同量のみそ煮缶は2.2グラムで、0.4グラムほど多く含んでいます。これはだいたい薄味の小鉢1品分の塩分量に相当するので、塩分量を気にしている人は水煮缶の方がよいでしょう。

Q.最近、オイル漬けや味付きのサバ缶も増えていますが、栄養価の観点からは、水煮やみそ煮とはどのような違いがありますか。

川村さん「通常の水煮缶にも加工の段階で味が付けられています(主に食塩)。『味付き』として売られているサバ缶は、それよりさらに味を付けているため塩分は増えます。オイル漬けもその分脂質が増えます。

サバ自体、もともと脂質を多く含む食材なので、栄養価としては水煮缶の方がバランスよいと言えるでしょう。ただ、オイル漬けはコクがありますし、最近は味付きも種類が豊富で、シンプルな水煮とはまた別のおいしさがあることも事実です。上手に使い分けてそれぞれの良さを楽しむのがお勧めです」

Q.サバ缶の栄養を効果的に摂取できる食べ方と調理法を教えてください。

川村さん「サバ缶は水煮にしても、みそ煮にしても塩分が多いので、カリウムを含む食品(ナトリウムの排出を促す)と一緒に食べるとよいでしょう。カリウムは生野菜や豆類などに多く含まれています。生のレタスやキャベツ、お豆腐の上に缶詰のサバをのせて『サバ缶サラダ』にするのもよいですね。また、サバ缶を食べる際は、他のメニューを薄味にして塩分を調整しましょう。

サバ缶は、ビタミンKやビタミンAをあまり含んでいないので、ブロッコリーや小松菜などと一緒に組み合わせると、不足している栄養素を補うことができます」

(ライフスタイルチーム)


川村郁子(かわむら・いくこ)
管理栄養士、元気ごはん研究家
福岡県出身。自身が太っていたことからダイエットに興味を持ち管理栄養士の道へ。病院管理栄養士を経験した後、2012年に独立。服部栄養専門学校講師、発酵食の研究、飲食店のメニュー監修、ラジオパーソナリティーなどを行いながら、忙しい現代人向けの「カンタンにできる元気ご飯」を提案している。メディアには、自身の名前を一部使った“食育子(しょくいくこ)”として出演。公式ブログ(http://shokuikuko.net/)。

 

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