最近、週1ペースで報じられている芸能人のゲス不倫によって、不倫の「負の部分」が世の中に知れ渡ったはずなのに、私のところへ不倫の相談に来る20代女性がいまだに後を絶ちません。まだ若いのだから、わざわざ年上のオジサンではなく同年代の彼と付き合えばいいのに…私は思わず首をかしげてしまいます。
彼女たちは「恋愛は危険な方が楽しい」「尊敬する人に愛されるなんて夢みたい」「(不倫を)やめようとするといつも彼の優しさで思いとどまる」「かわいそうな彼を救ってあげたい」「こんな関係を続けても誰も幸せにならないけど彼が好き」などと平気な顔で言うのです。ここで、5人の不倫女性の声を紹介しましょう(すべて仮名)。
制約の多い恋愛を楽しんでいる
「同じ会社、同じ部署にいる、妻子持ちの彼と付き合っています。はじめのうちは奥さんにバレないように、いろいろ気を使っていました。例えば、うちの会社はガラケーを支給されているので、デートの約束は勤務時間内にガラケーを使ってしていました。もちろん、奥さんはガラケーの存在を知りません。でも、付き合い始めて3カ月が過ぎる頃には、関係がマンネリ化してきて、彼の気持ちが私から離れていったのです。
先週、彼がデートの約束に大幅に遅刻してきたので、私は彼を試すために、ガラケーではなくプライベートのスマホにメールを送ってみたのです。『25分も待っちゃった。先にビール飲んでもいい?』と。すると『今日どこで会うんだっけ』と返事が返ってきました。彼は待ち合わせの場所を知っているはずなのに。私は直観で分かりました。奥さんが彼のスマホを使ってメールをよこしてきたのだと。
このことを彼に話すと、彼は一瞬で真っ青になりました。彼は思い知ったでしょう。私を大事にしないとどうなるのか。彼との恋愛はいろいろと制約が多いですが、今ではそれも含めて楽しんでいます」
2人目は「尊敬する人(妻帯者)に愛されるなんて夢みたい」と幸せそうな顔で語る、井崎杏さん(26歳、総合病院勤務の看護師)。不倫相手は、同じ病院、同じ科の男性医師(52歳)です。
「私は病院の先生とお付き合いしています。先生は尊敬できる医師の一人でした。でも、はじめは既婚の人と付き合うつもりなんて全くなかったし、こんなに長い間、関係が続くとは思っていませんでした。私も先生も24時間、緊迫した中で仕事をする日々で、共通の話題といっても、だいたいは仕事の話です。一日を振り返って、『あれでよかったのか』『こうすればよかったのではないか』と。
お互いに愚痴をこぼしているうちに恋愛感情が生まれました。緊迫した空気から抜け出した時にホッとできる時間が欲しかったのです。少なくとも私はそうでした。先生もきっと同じです。
先生にとって私は『彼女』なのか、それとも『愛人』なのか。先生の気持ちはよく分かりません。ただ、私は少なくとも先生の『彼女』だと思っています。だって、仕事の愚痴を嫌な顔をせず聞いてくれるし、体力的・精神的につらい時は、いつも優しい言葉をかけてくれるので『心の支え』だったのです。
もちろん、先生に奥さんがいる以上、この関係を断ち切りたいと何度も考えました。でも私だって一人の女性です。できることなら、先生と結婚して家庭を持ち、幸せになりたいです。だって、今までの貴重な時間を先生のために使ってきたのだから」
車に口紅のついたペットボトルを…
「上司との不倫関係を1年近く続けていますが、けんかが絶えません。私は彼のことを愛していますが、今まで何度も私の方から別れようとしました。なぜなら、彼が『将来のこと』について煮え切らない態度を取るからです。だから、私は彼を問いただしたのです。『私への思いは本当なの?』と。すると『優しい彼』が戻ってきます。『無理して別れることはない。お互い好きなんだから傍にいろ』と。
先月も私が爆発してしまいました。『私が望んでいるのは奥さんとの離婚なんだよ』と。すると彼は怒った口調でこう言ってくれました。『分かった。それなら、行動に移すよ』と。私は彼が家庭を捨てる覚悟があることを知り、彼に付いていこうと決心しました。
最近、彼はしきりに『あなたのおなかに子どもがいたなら、また話は違う』と言います。私だって内心、彼の子どもは欲しいです。ただ、実家の両親に迷惑をかけたくないから、しばらくは避妊します」
4人目は「かわいそうな彼を救ってあげたい」と語気を強める、葉山莉子さん(28歳、文房具メーカーの派遣社員)。莉子さんは取引先の営業マン(38歳)に引かれました。
「私は今、既婚者の彼と付き合っていますが、そもそもの始まりは、彼が奥さんの愚痴をこぼしたことがきっかけです。彼と奥さんとの間に子どもはいませんが、奥さんはだらしない性格で引きこもり状態。四六時中、家にいるのに、家事をろくにやらないそうなんです。例えば、彼が魚を食べられないのに平気で食卓に魚料理を出され、彼が文句を言うと『もう作らない』と逆ギレする始末。本当に彼がかわいそうです。
私は、彼が家で居場所を取り戻すには、奥さんに『自分のしていること』を自覚させないといけないと思いました。例えば、彼のワイシャツを少し引きちぎって家に帰らせたり、彼へのメールをわざと奥さんに送ったり、車中に口紅のついたペットボトルを入れたり、いろいろやってみました。しかし、奥さんは私の存在に気付かず、彼を問い詰めませんでした。
奥さんは7カ月も彼に抱かれていないそうですが、おかしいと思わないのでしょうか。私の方が妻にふさわしいに決まっています。そんなわけで彼との交際が始まりました」
やっぱり、彼のことが好き
「彼の方から『付き合って』と言われ、彼女になりました。その時は、まさか彼が結婚しているなんて知りませんでした。だって、毎日のようにデートをしていたし、クリスマスや誕生日は一緒に旅行していたから。
付き合い始めて半年後、彼はすべてを白状してくれました。寝たきりのお母さんがいて、奥さんが家で面倒をみていること。そしてお父さんに食道がんが見つかり、余命3カ月と宣告されていること。さらに、彼が家を放り出して、漫画喫茶や友人宅を渡り歩いていること。
私は悟りました。彼が奥さんと離婚するなんて無理だと。だから、私は彼との関係を断ち切ろうと努力しました。縁切り神社に何度も通ったり、彼を忘れるために、仲良くできそうな男性を見つけたり。もう、できることは何でもやりました。
はっきりと別れたわけではありませんが、彼と会う回数もだんだんと減っていきました。ようやく、彼との関係を抜け出せてホッとしていたはずでしたが、彼との距離を取ろうとすればするほど、私は精神的に不安定になり、体調の優れない日が続きました。やっぱり彼のことが好きなんです。結局、また彼に連絡してしまいました。
私だって一人の女性です。結婚して幸せな家庭を築きたいです。こんな関係を続けても、誰も幸せにならないのは分かっています。でも、この気持ちはどうしようもないです」
※「下」に続く
(露木行政書士事務所代表 露木幸彦)
露木幸彦(つゆき・ゆきひこ)
露木行政書士事務所代表
1980年12月24日生まれ。いわゆる松坂世代。国学院大学法学部卒。行政書士・ファイナンシャルプランナー(FP)。金融機関の融資担当時代は住宅ローンのトップセールス。男の離婚に特化し行政書士事務所を開業。開業から6年間で有料相談件数7000件、公式サイト「離婚サポートnet」の会員数は6300人を突破し、業界最大規模に成長させる。他で断られた「相談難民」を積極的に引き受けている。自己破産した相手から慰謝料を回収する、行方不明になった相手に手切れ金を支払わせるなど、数々の難題に取り組み、「不可能を可能」にしてきた。朝日新聞、日本経済新聞、ダイヤモンドオンライン、プレジデントオンラインで連載を担当。星海社の新人賞(特別賞)を受賞するなど執筆力も高く評価されている。また「情報格差の解消」に熱心で、積極的にメディアに登場。心理学、交渉術、法律に関する著書を数多く出版し「男のための最強離婚術」(7刷)「男の離婚」(4刷、いずれもメタモル出版)「婚活貧乏」(中央公論新社、1万2000部)「みんなの不倫」(宝島社、1万部)など根強い人気がある。仕事では全国を飛び回るなど多忙を極めるが、私生活では30年以上にわたり「田舎暮らし」(神奈川県大磯町)を自ら実践し「ロハス」「地産地消」「食育」の普及に努めている。公式ブログ(https://ameblo.jp/yukihiko55/)。