家事ノート

「わかる」「実践する」ストレスと上手に付き合う方法

投稿日:2019-11-04 更新日:

ストレス過多の現代社会。日常生活を送る上で誰しもストレスから逃れることはできません。では、どうしたらストレスと上手に付き合って、日々をより健やかに過ごすことができるのでしょうか。その疑問に答えます。

ストレスとは

「ストレス」はうつ病の引き金となることがわかっていますが、突然、うつ病を発症するものではありません。うつ病になる前には必ず、何らかの「ストレス反応」が見られます。この“うつ病のサイン”であるストレス反応を見逃さないことが大切です。

ストレスの定義は「何らかの外部の刺激(ストレスの原因)によって引き起こされる変化」とされています。例えば、目の前に風船があるとしましょう。指で表面を押すとします。この時の指の圧力が「外部刺激(ストレスの原因)」で、押されて形が変わることが「ストレス」、戻ろうとする状況が「ストレス反応」に例えられます。

具体的には、自分の周囲に大きな環境の変化を生じさせる出来事に直面した時、また、想像もしていなかったような状況になった時などに起こる全身の反応です。「イライラ」などと表されますが、感情(心)だけではなく、体(身)にも影響を与えるもので、本人がさほど意識していないことや“一見すると”望ましい変化も引き金となります。

「ストレス=悪いもの、なくさなくてはいけないもの」と見られがちですが、一概にそうとは言えません。心身に不調をきたさない範囲であれば、ストレスは「人生のスパイス」ともなります。

心理学者のロバート・ヤーキーズとJ.D.ドットソンの実験結果(ヤーキーズ・ドットソンの法則)によると、ストレスは多すぎても少なすぎてもパフォーマンスを下げる、つまり適度なストレスが、生活する上での刺激となり、働きを良くするとされています。「ストレス=悪」とするのではなく、まずは自分のストレスの状態を把握して効果的に活用すれば、よい刺激(スパイス)となり、生きていく上での潤滑油ともなり得るのです。

ストレスが生まれる原因

ストレスを与える要因は「ストレッサー」と呼ばれます。ストレスの定義にある「何らかの外部の刺激」がストレッサーで、それに適応しようと心や体に現れるものがストレス反応です。ストレッサーには大きく分けて、「物理的ストレッサー」「化学的ストレッサー」「心理・社会的ストレッサー」があります。

ストレスを引き起こす要因の一例

一般的にストレス社会と呼ばれる昨今において、最も問題となりやすいのは「心理・社会的ストレッサー」のようです。また、気温や騒音など、自分の力ではどうしても回避できない要因もあります。つまり、生きていく以上、ストレッサーを私たちの生活から完全に排除することは難しいとも言えます。

ストレスのサインに気付くには

ストレッサーによって起こる変化をストレス反応と呼びます。

さまざまな部分に起こるストレス反応

このようにストレスのサインは、普通に生活を送っていれば、誰もが一度は経験したことがあるものばかりです。さらに、個人やその時の状況によって大きく異なりますので、一般的なサインとして捉えることが難しいもの。そこで見極めのポイントとなるのが「普段との違い」です。

「イライラや気分の落ち込みがいつもよりひどい」「いつも飲んでいる薬でも頭痛が治まらない」「楽しみにしていたはずなのに出かけるのが億劫(おっくう)で起きられない」など、普段の自分とのちょっとした違いに気付くことが何よりも重要になります。早期に発見できることで、うつ病など心の病気になることを予防できたり、病気になった場合でも回復が早くなったりと、メリットが大きいのです。

多くのストレスは、原因となるストレッサーから離れ、適切に対処されることで解消されます。例えば、職場でのストレッサーによるものであれば、会社を出てきちんと仕事から離れ、ある程度規則正しい生活を送ることで回復することがほとんどです。その際、きちんと解消されずに、ストレス反応が続いてしまうと、うつ病など心の病気にかかってしまうことがあります。

ストレスと上手に付き合うには

適度なストレスと共存しながら、健やかに過ごすためにはどうすればよいのでしょうか。まず、「適度なストレス」とはどの程度なのかを知りましょう。ストレスは自分自身だけが感じる主観的なもので、客観的に判断することが難しいものです。しかし、原因となるストレッサーを可視化することによって、ある程度の判断は可能です。

以下は、米国の心理学者T.H.ホームズらによって開発された「社会的再適応評価尺度(Social Readjustment Rating Scale : SRRS)」と呼ばれるもので、誰にでも起こり得るライフイベント43項目と、そのことによって受けるストレスの重みを点数で表したものです。

「社会的再適応評価尺度(Social Readjustment Rating Scale : SRRS)」を基に作成

この尺度が提唱されたのは1960年代の米国で、時代や環境は現代の日本とは全く同じではありませんが、大まかなストレスを知るきっかけにはなります。計算方法は以下の通りです。

過去1年間を振り返って、当てはまるライフイベントを書き出し、点数を合計してください。合計点数が150点を超えると約50%、300点を超えると約80%の人が、その後1年以内に心身に何らかの不調をきたすとされています。

生きていると、どうしてもストレッサーを重ねてしまうものです。避けられないストレッサーもありますが、中には調整できるものもあります。1~2カ月に1度は、自分のライフスタイルを振り返って大きな変化がないかを確認してください。急激な変化が重なり続けるのはよくありません。負担が大きくなっていると感じたら、意識的にコントロール可能なライフイベントを調整しながらストレスと上手に付き合っていきましょう。

すぐにできるストレス解消法「自律訓練法」

自宅や職場、外出先などでも簡単にできるストレス解消法の1つに「自律訓練法」があります。1930年代にドイツの精神医学者J.H.シュルツによって提唱されたもので、現在も心療内科や精神科で使われている一種の「自己催眠法」です。

自律訓練法には、数分で心と体をリラックスさせ、疲れを取り除く効果があるとされています。1日に2~3回、1回2~3分を目安に試してみましょう。椅子に座ったり、横になったりしてもできるため、状況に合わせて選びましょう。

・自律訓練法の準備
トイレは済ませておき、体を締めつける小物類(ネクタイやベルト、腕時計、アクセサリー)は外しておきます。最初は明るすぎない、静かで落ち着ける部屋で行うと、より効果的です。

・自律訓練法の基本姿勢(背景公式)
椅子に座って行う場合は、足の裏を地面につけた状態で深く腰かけ、両手両足を楽にしてください。頭から吊られているようなイメージで、自然にスッと背中を伸ばした状態を。全身の力を抜き、背中や腰、肩などを緊張させない姿勢が基本です。

寝る場所があれば、背中を地面につけて仰向けに。両手両足を軽く開き、力を抜いて全身を楽な状態にしましょう。

何も考えずに軽く目を閉じ、「気持ちが落ち着いている」と心の中で数回繰り返し、落ち着くのを感じましょう。草原や海、大空、川の流れなど、リラックスできるような風景を想像するとスムーズにできます。

・自律訓練法「6つの公式」
自律訓練法には6つの公式があります。まず慣れるまでは第1公式と第2公式から始め、できるようになれば、次のステップに挑戦してください。

第1公式(重感練習)

落ち着いてきたのを感じたら、次に右手(利き手)を意識します。右手に重みを感じるように集中してください。「右手が重い」「気持ちが落ち着いている」「右手が重い」と心の中で繰り返し、これを「右手→左手→右足→左足」の順に行います。意識しすぎてはいけません。リラックスして余分な力が抜ければ、自然に重さを感じるようになります。「両手→両足」の順に行っても構いません。

第2公式(温感練習)

右手(利き手)を意識して、右手の温かさを感じるようにします。「右手が温かい」「気持ちが落ち着いている」「右手が温かい」と心の中で繰り返し、「右手→左手→右足→左足」の順に行います。「両手→両足」の順に行っても構いません。

第3公式(心臓調整)

心臓が脈打っているのを感じるようにします。

第4公式(呼吸調整)

楽な状態で深く呼吸していることを感じます。

第5公式(腹部温感)

おなかが温かくなってくるのを感じます。

第6公式(頭部調整)

額がすっきりと涼しくなるのを感じます。

※消去動作

訓練が終わったら必ずこの「消去動作」を行ってください(ただし、寝る前に布団の中で行った場合はそのまま寝ましょう)。両手をゆっくりと握って、ゆっくりと開きます。その後、大きく背伸びをしたり、首や肩を回したりして体をほぐします。だるさがなくなったら立ち上がりましょう。

ストレスを和らげる快眠術

ストレスを貯めない方法の1つに睡眠があります。毎日のことですので、少し気を付けるだけでも積み重ねによって大きな差がつくところです。睡眠の質は「長さ」と「深さ」によって決まると言われています。そのためには、眠りに就く前のリラックスが重要です。

POINT1.お風呂
眠気は、体温が上昇した後、低下していくタイミングで訪れます。そのため、入浴は寝る1~2時間前がベスト。38~40度のぬるめのお湯に15分ほど浸かりましょう。湯船の中で軽くマッサージをして全身のコリをほぐしたり、気に入った香りの入浴剤で気持ちを落ち着けたりするのも効果的です。長時間入ってのぼせないよう気を付けてください。シャワーだけでは体の芯から温まることが難しいので、よい睡眠を得るためには湯船に浸かることがポイントです。

POINT2.眠りに入りやすい環境を整える
寝る前には照明を消して、余計な光を入れないようにしましょう。携帯電話やスマートフォン、タブレットなどの光は不眠につながるので、ベッドに入ったらお休みモードに。

快適な室温も重要なポイントです。事前にエアコンで適切な温度に設定しておくと眠りに就きやすくなります。夏26~28度、冬18~23度、湿度は50%を目安に。湿気や乾燥が気になる季節は、エアコンのドライ機能や加湿器を併用するとよいでしょう。

POINT3.ストレッチやヨガで体をほぐす
お風呂上りにストレッチやヨガなど負担の少ない運動を行うことによって、副交感神経の働きが活発になり、リラックス効果が期待できます。テレビを見ながら、またお手入れの合間などに、数分行うだけでOKです。

POINT4.食事は2~3時間前までに済ませる
食後は、食べた物を消化しようと内臓が働き始めます。消化するには2~3時間かかるため、寝る直前の食事は睡眠の妨げに。とくに脂っこいものは消化に時間がかかるので、食べ過ぎには気を付けましょう。また、食事をすることによって脳が興奮状態となり、眠りに入っても寝つきが悪くなります。一方、夜ご飯を食べずに寝てしまうのも問題です。空腹のために目が覚めたり、血液が脳に集中して寝付けなくなったりする可能性があります。

POINT5.朝起きたら日光を浴びる
朝、目が覚めたらカーテンを開けて日光を浴びましょう。人間には1日周期でリズムを刻む「体内時計」の機能が備わっており、朝の光を浴びることでリセットされます。きちんとリセットすることによってメラトニンが整えられ、夜になると自然な眠りがやって来るのです。

(オトナンサー編集部)

吉野聡(よしの・さとし)
新宿ゲートウェイクリニック医師

1978年神奈川県生まれ。筑波大学医学専門学群を卒業後、精神科病院勤務、東京都知事部局健康管理医(精神科担当)、筑波大学医学医療系助教を経て、2012年7月に吉野聡産業医事務所を開設。また、2015年4月には、働く人のメンタルヘルス問題を解決するため、新宿ゲートウェイクリニックを開院。専門は労働者のメンタルヘルスとその関連法規で、現在は、大企業からベンチャー企業まで幅広く、予防的メンタルヘルス活動と、困難事例への実践的対応に取り組んでいる。著書は「『職場のメンタルヘルス』を強化する」(ダイヤモンド社)、「『現代型うつ』はさぼりなのか」(平凡社新書)など多数。博士(医学)、法務博士、精神保健指定医、精神科専門医、日本医師会認定産業医、 労働衛生コンサルタント(保健衛生)。新宿ゲートウェイクリニック(http://shinjuku-gateway.com/)。

 

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