前回、「つみたてNISA」の特徴を説明しました。では、どのように活用していけばいいかを今回から考えてみたいと思います。
つみたてNISAのメリットとは?
NISAとは「少額投資非課税制度」の愛称だと前回書きました。「非課税制度」と言うくらいですから、配当金や売却益に税金がかりません。この点は「一般NISA」も「つみたてNISA」も共通です。
違いは、非課税運用ができる期間です。
一般NISAが5年なのに対し、つみたてNISAは20年になります。
より長期にわたって運用が続けられるのは30代・40代の人にとっては大きなメリットになるのではないでしょうか。
また税金以外のコストとして、商品は購入時の手数料と運用管理費用(信託報酬)があります。
既存の投資信託では、販売手数料の2.5%、信託報酬は1.2%程度、平均してかかってきます。
しかし、つみたてNISAの対象商品は、購入時の手数料は無料(ノーロード)、信託報酬については一定水準以下(国内株のインデックス投信の場合は0.5%以下)に限定されています。
長期で資産運用をすることを前提に考えると、こうしたコストの積み重ねが大きな違いになってきてしまいます。
「つみたてNISA」には運用のパフォーマンスに大きく影響を与えない投資信託が選ばれていますから、この点で商品選びに悩む必要はなくなります。
つみたてNISAのメリットを活かせる人とは?
これから投資を始めようと考えている人。30代・40代でそう考えている人は、なにより「つみたてNISA」からスタートしましょう。
以前書いたように、将来の資産形成を目的とした投資をしていくなら、コツコツと積み立て投資をしていくことをおすすめしています。
そのつみたて投資を「非課税」で、かつ20年という長期にわたって運用できる制度なわけですから、積み立て投資をする人にとってはこれほどメリットのある制度はありません。利用しない選択はないとすら言えます。
ただ、すでに投資を始めている人の場合、若干の注意が必要になります。
現在持っている商品を「つみたてNISA」に変更することができませんから、月々の投資金額を増やす余裕がない限り、どの投資先を減らして「つみたてNISA」に回すのか、金融資産全体を考えて検討してみる必要があります(この点については次回以降でまた言及します)。
しかし、これから始める人にはそうした制約はありません。始めるデメリットはほぼないと言えます。
また、商品が162本に絞り込まれていることも、これから始める人におすすめできる要因です。
投資信託というと、数が多すぎてなかなか投資先を絞り込めない人が多いでしょう。
ましてこれから始めようとする人にとっては、選択肢が多すぎることが投資開始の敷居を高くしてしまっているのではないでしょうか。
しかし、つみたてNISAで採用される投資信託は、国が定めた基準を満たした商品のみです。
基準を理解しそれに納得してさえいれば、採用された商品の中から投資先を選べばいいことになります。
普通に投資信託を選ぶよりも、労力は少なくて済みますから、結果的に投資を始める敷居を下げることになると思います。
中小企業診断士、ライター。転職を繰り返していたため、他人より退職金が少ないことに不安を覚え、2008年ころより資産形成のために投資信託を活用した金融投資を開始。当初はインデックス投資を中心に運用していたが、徐々に投資哲学に共感できるアクティブファンドに軸足を移す。ただし、積立を基軸とする「コツコツ投資」のスタイルは維持している。
中小企業診断士兼ライターとして多くの経営者にインタビューさせてもらう中で、成長する経営者の「お金に対する哲学」を学ぶことができた。
現在は、経営者の資産形成のアドバイスもできるようになることを目指している。
主な執筆先は、クーリエジャポン、企業診断(同友館)、道経塾(モラロジー研究所)、など