
女性が結婚を契機に退職する「寿退社」。かつては一般的でしたが、現在は結婚後もそのまま働くか専業主婦になるか迷う方が多いようです。
そこで、今回は専業主婦と共働き、それぞれのメリット・デメリットについて見ていきます。
共働き最大のメリットは”余裕のある家計”
専業主婦と共働きで一番差が出るのは「収入」です。
妻の収入がある分、家計に余裕ができるため、生活に余裕がうまれ、貯蓄もしやすくなります。
厚生労働省の『平成28年賃金構造基本統計調査』によれば、女性の平均年収は、
30歳~34歳⇒約292万円
となっており、夫の収入があるとはいえ、結婚を機に退職するとこれだけの収入がなくなってしまうわけですから、結婚後も働いたほうが収入面では断然メリットがあることがわかります。
同調査をもとに、30歳で結婚して退職せずに働いた場合の総収入を計算すると、
55歳まで働いた場合⇒約7,483万円
60歳まで働いた場合⇒約8,957万円
となり、専業主婦になった場合との差は、予想以上に大きいのです。
そして、共働きであれば、夫が事故にあった、夫の会社が倒産したといった不測の事態にも備えられます。
収入源がふたつあることはリスク分散になるのです。
共働きの思わぬ落とし穴
共働きの方が収入面ではメリットが大きいのですが、必ずしもそれが貯蓄にはつながらない部分もあります。
意外に思うかもしれませんが、共働きの家庭では、忙しいため外食が増えたり、お惣菜を買ったりと食費がかさみやすくなります。
さらに、出勤に必要な服やカバンなどの必要経費、会社の付き合いで使う交際費、会社関係の冠婚葬祭など思わぬ出費もかさむものです。
そして、ふたりで働いているという安心感から、家計の管理が適当になってしまう面も見受けられます。
思うように貯蓄できない共働き家庭でありがちなのが「相手が貯めていると思った」というものです。
勝手に安心して高給ブランド品を買ったり、高級レストランで食事をしたりと、ついつい贅沢をしてしまい出費が増えます。
その結果、マイホーム購入を考えて相談したら、どちらも貯金がほとんどなく頭金も用意できなかったといった事態になることも…。
これを防ぐには、夫婦ふたりで話し合って、きちんと家計の管理をすることが大切です。それぞれ毎月の貯蓄額を決めて、給与から天引きされる財形貯蓄などを利用して貯めるのが一番確実な方法です。
出産後の働き方は夫婦ふたりでしっかり話し合って
一方、専業主婦は、時間がある分、子育てや家事もしっかりとでき、家計の管理もきちんと行うことができます。
また、料理にこだわったり、インテリアに凝ったり、ガーデニングを楽しんだり、と結婚生活をより充実したものにすることもできます。
これらは専業主婦の大きなメリットですが、なかなか景気が回復せず、給与水準もあがらない現在では、贅沢な暮らし方といってもよいでしょう。
金銭面だけでいえば、夫に十分な収入がある場合は専業主婦でも問題ありません。
しかし、働くのは収入のためだけではないという方も多いのではないでしょうか。
どう暮らしていくのか?
子育てはどうするのか?
家事分担をどうするのか?
といったことは夫婦でよく相談してください。
また、出産を機に退職し、子育てが落ち着いてから再就職するという方法もあります。
子育ては人生のなかでも一番大変で大切な時期です。
その期間は専業主婦となって家のことに専念し、落ち着いたら再び働くことで収入を補えます。
理想的な働き方のひとつですが、残念ながら女性の再就職はなかなか厳しいのも事実。
そのため、再就職に有利になるよう、子育ての合間を縫って、資格の取得などをしておくとよいでしょう。
結婚後、出産後にどう働き、どう暮らしていくのか? 夫婦ふたりの問題ですので、よく話し合って決めることがとても大切です。
【参考】厚生労働省『平成28年賃金構造基本統計調査』