新型コロナか、風邪か…判断つかぬまま市販の「風邪薬」服用、問題ない?

投稿日:2020-05-02 更新日:

新型コロナウイルス感染症の脅威が続いていますが、症状が風邪と見分けがつきにくいケースも多いようです。判断がつかぬまま、市販の風邪薬を服用してもよいのでしょうか。

判断がつかぬまま、風邪薬を飲んでもいい?

 

新型コロナウイルスによる感染症の脅威が続いています。感染すると、発熱や咳(せき)、喉の痛みなど風邪のような症状が出ることが確認されていますが、風邪と判別がつかず、こうした症状が出て「風邪かコロナか分からない」「もしコロナだったらどうしよう」と不安に思う人も多いようです。

現時点で新型コロナウイルスの治療法や薬は試験段階ですが、ネット上では、風邪のような症状が現れたとき、「コロナか風邪か分からないけど、市販の風邪薬を飲んでもいいの?」という疑問の声も多くあります。

新型コロナウイルス感染症か風邪かの判断がつかぬまま、市販の風邪薬を服用しても問題ないのでしょうか。内科医の市原由美江さんに聞きました。

解熱剤含む薬は、しっかり症状把握を

Q.まず、風邪とはどのような病気か教えてください。

市原さん「医学的には『風邪症候群』あるいは『急性上気道炎』といいます。風邪の主な原因はウイルスです。ウイルスが鼻や喉の粘膜に付着し、そこから感染することで、喉の痛みや鼻汁、鼻詰まり、咳、痰(たん)、発熱などの症状を引き起こします。

ウイルスは寒さや乾燥に強いので、冬場に流行しやすい傾向にあります。高齢者、糖尿病や心臓病、呼吸器疾患などの持病がある人、透析を受けている人、ステロイドや免疫抑制剤、抗がん剤を使用している人は免疫力が低いので感染しやすくなります」

Q.新型コロナウイルスによる感染症は風邪とよく似た症状が出るようですが、こうした症状が現れた場合、コロナか風邪かの判断がつかぬまま、市販の風邪薬を服用してもよいのでしょうか。

市原さん「新型コロナウイルスによる感染症の症状は風邪と似ているので、検査をしない限り医師でも判断できません。ただし、新型コロナウイルスによる感染症はほとんどの場合、通常の風邪と同様、自然に治っています。肺炎にまで重症化した場合に検査をされているのが現状です。

どちらであっても風邪の症状がある場合、市販の風邪薬を飲んでも問題はありません。ただ、解熱剤が含まれている風邪薬の場合は熱が下がってしまうので、肺炎など重症になっている可能性があっても判別しにくくなります。解熱剤を飲むのであれば、薬が切れる時間帯に再度高熱になるのか、息苦しさなど熱以外の症状はどうなのかをしっかり把握しておく必要があります。

風邪の症状でも、新型コロナウイルスの感染は否定できません。感染拡大防止のためにも、すぐに病院へは行かず、症状が軽い場合は市販薬を飲むなどして自宅で安静にしましょう」

Q.しばらく市販の風邪薬を飲んでも症状が改善しない場合、どうするのがよいでしょうか。

市原さん「現時点では厚生労働省により、風邪の症状や37.5度以上の発熱が4日以上続いた場合は、帰国者・接触者相談センターに問い合わせることになっています。高齢者や基礎疾患のある人は、2日以上続いた場合は問い合わせてください」

Q.新型コロナかもしれない風邪の症状がある場合、悪化させないためにはどのような過ごし方をするとよいですか。

市原さん「基本的には自分の免疫力で治していくしかないので、栄養や睡眠をしっかり取って安静にしましょう。他の人に感染を広げないためにも、風邪の症状があるときは自宅で療養するのが基本です。先述のように発熱が続く場合や、強い倦怠(けんたい)感、呼吸困難がある場合、早めに帰国者・接触者相談センターに問い合わせましょう」

(オトナンサー編集部)

市原由美江(いちはら・ゆみえ)
医師(内科・糖尿病専門医)

横浜鶴ヶ峰病院付属予防医療クリニック副院長。自身が11歳の時に1型糖尿病(年間10万人に約2人が発症)を発症したことをきっかけに糖尿病専門医に。病気のことを周囲に理解してもらえず苦しんだ子ども時代の経験から、1型糖尿病の正しい理解の普及・啓発のために患者会や企業での講演活動を行っている。また、医師と患者両方の立場から患者の気持ちに寄り添い、「病気を個性として前向きに付き合ってほしい」との思いで日々診療している。糖尿病専門医として、患者としての経験から、ダイエットや食事療法、糖質管理などの食に関する知識が豊富。1児の母として子育てをしながら仕事や家事をパワフルにこなしている。オフィシャルブログ(https://ameblo.jp/yumie6822/)。

 

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