え、その指で触るの!? お札を数えるときにしがちな「指なめ」、原因と対策は?

投稿日:2020-02-17 更新日:

本のページをめくるときや、お札を数えるとき、指先をペロッとなめて湿らせる人がいます。「指なめ」が必要になる原因と防止策を聞きました。

指をなめてしまう原因は…

本のページをめくるときや、お札を数えるとき、指先をペロッとなめて湿らせる人がいます。自分の本や、そのまましまうお札なら自由ですが、図書館の本や新聞、こちら側が受け取るお札だと、「なめた指で触るのはやめて!」と叫びたくなる人もいることでしょう。こうした「指なめ」は特に高齢者に多いように思えますが、肌が乾燥しがちな冬場は高齢者以外もひとごとではないかもしれません。

指なめが必要になる原因とその防止策について、アヴェニュー表参道クリニックの佐藤卓士医師に聞きました。

 

高齢になると発汗量低下、乾燥しやすく…

Q.そもそも、紙をめくったり、レジ袋を広げたりできるのは、指先のどういう働きによるものでしょうか。

佐藤さん「指先を物に押し当てたまま指をずらすと、指先に摩擦力が生じ、物は指先と連動してずれます。指と物との摩擦力が、紙同士や袋同士の摩擦力よりも強くなると、重なった紙やレジ袋から1枚だけずらすことができます。

これができるのは、指先に生じる摩擦力があるからです。指先の押し当てる力・湿り気具合・接地面積などが大きいほど摩擦力が強くなります。逆に指先が乾燥していたり、皮膚が硬くなって弾力を失ったりすると、摩擦力が弱くなり、紙めくりやレジ袋を広げる行為が困難になります」

Q.高齢になると、皮膚にどういう変化が起きるのでしょうか。特に指先の皮膚について教えてください。

佐藤さん「人の皮膚の構造自体は、若い人も高齢者も基本的には変わりません。しかし、年齢とともに皮膚の組織量や水分量、天然保湿成分が減少するとともに、皮脂分泌や発汗量も減少するため乾燥しやすくなります。また長年、日光や摩擦などの機械的刺激にさらされるため、角層(角質層)は厚く、皮膚は硬くなり、弾力を失っていきます。指先や手のひらの皮膚は他の部位より角層が厚い構造で、皮脂腺はなく、汗腺は発達しています。

高齢になると、指先も他の部位の皮膚と同様の変化が起こります。他の部位よりも角層が厚くなり、皮脂分泌がなく発汗量も低下するため、より乾燥しやすくなり、硬く弾力を失い、ゴワゴワしてきます」

Q.加齢による指先の変化は何歳くらいから起きるのでしょうか。

佐藤さん「体が成熟する20~30代ぐらいから、肌の乾燥を自覚する人が多いと思います。指先の乾燥も同様です。もちろん個人差はあります」

Q.一般に、冬は肌が乾燥しやすいといわれます。若い人の指先も冬場は乾燥しやすいのでしょうか。

佐藤さん「冬は空気が乾燥しており、気温が低いため発汗量も低下します。若い人でも冬は乾燥しやすくなります」

Q.加齢や冬場の乾燥による指先の乾燥を防ぐ方法があれば、教えてください。

佐藤さん「保湿力の高いハンドクリームや保湿剤などを塗布する▽過度に手洗いをしない▽手や指先を保護する、などです。手や指先を保護するには、炊事のときはゴム手袋をする▽冬の外出時には手袋をする▽エアコンの風に直接ずっと当たらないようにする、といったことに気を付けるべきでしょう」

Q.指先が乾燥しているとき、つばで湿らせること以外に適度な湿気を持たせる方法があれば教えてください。

佐藤さん「手指を温める▽グーパーの動作を繰り返す▽手もみする▽息を吹きかける▽保湿剤をつける、などです。指先の温度を上げて発汗を促すような動きをするのがよいでしょう」

(オトナンサー編集部)

佐藤卓士(さとう・たかし)
医師(皮膚科・形成外科)・医学博士

アヴェニュー表参道クリニック院長。京都大学農学部卒業。九州大学医学部卒業。岡山大学医学部、杏林大学医学部、都立大塚病院形成外科にて研鑽(けんさん)を積み、現在に至る。日本形成外科学会認定専門医、日本レーザー医学会認定レーザー専門医。日本形成外科学会、日本皮膚科学会、日本美容外科学会、日本レーザー医学会、日本手外科学会、日本創傷外科学会所属。アヴェニュー表参道クリニック(https://www.a6-clinic.com)。

 

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