「つみたてNISA」を利用するには、どこかの金融機関でNISA専用口座を開設する必要があります。
口座を開設できる金融機関は、証券会社(ネット証券を含む)、銀行、信用金庫、投資信託を直売している運用会社などです。
ただし、開設できるのは一人一口座のみ。
つまり1つの金融機関に絞らなくてはいけません。変更は可能ですが、1年に一度に限りですし、一度でも口座を利用するとその年は金融機関を変更できなくなります。
ですから、金融機関選びは、慎重に行うことが大切です。
では、どんな基準で「つみたてNISA」口座を開設する金融機関を選べばよいでしょうか?
今回は、金融機関選択のポイントについて、3点ほど説明していきます。
つみたてNISAの選び方ポイント1:対象商品の品揃え
前回、前々回で説明したように、つみたてNISA対象商品は一定の基準を満たしたものに限定されます。
そのためか「どの金融機関でもすべての対象商品が買える」と思われている方が多いようですが、実際は違います。
金融機関によって取り扱う商品や本数は大きく違います。
ネット証券は、100本以上の取り扱いをしてところがほとんどです。
一方、対面販売が主軸の銀行や証券会社は、1本から20本程度に絞り込んで販売をしています。
*各金融機関の取り扱い商品本数については、「モーニングスター つみたてNISA (積立NISA) 総合ガイド | 対象商品数一覧」を参照してください。
つみたてNISAの選び方ポイント2:引き落とし方法
積み立てていく資金はどこから引き落とすのでしょうか。考えられるのは、証券総合口座、銀行口座、クレジットカード引き落の3つの方法です。
すでに投資の経験があり、証券会社に口座を持っている方なら、証券総合口座からの引き落としでも面倒は感じないでしょう。
しかし、つみたてNISAをきっかけに投資を始めようとする方にとってはそのたびごとに銀行口座から証券総合口座にお金を移動させるのは面倒かもしれません。
なお、クレジットカードの引き落としに対応している金融機関は、現状、ごく一部に限られています。
つみたてNISAの選び方ポイント3:最低積立金額と積み立て頻度
銀行は1万円からのところがほとんどです。一方、ネット証券の多くは100円から積み立て可能です。
また購入の頻度ですが、一般的には毎月(月1回)になります。
しかし、毎日、毎週、隔月、年2回(賞与時)など、設定可能な頻度は金融機関ごとに違います。賞与時に自動で積み立て額が増やせるか、といった対応も異なります。
自分なりのスタイルで選ぶ
「それで結局、どこの金融機関がお薦めなの?」
と思われる方がいるかもしれません。しかし、個人差があるため一概に薦めることはできないのです。
たとえば、銀行がいいのかネット証券がいいのかは、つみたてNISA以外の投資をどう考えているかによって変わってきます。
取り扱い商品本数が多い方がいいのか少ない方がいいのかは、たくさんの選択肢があったほうがいいと考えるか、それは大変だから少ない本数から選ぶ方がいいと考えるかで、変わってきます。
自分がどんなスタイルで投資に取り組んでいくかによって選択は変わります。ですから、まずは自分のスタイルをどうするかを決めていく方が大事です。
次回は、スタイルを作っていくためのポイントを考えていくようにします。
中小企業診断士、ライター。転職を繰り返していたため、他人より退職金が少ないことに不安を覚え、2008年ころより資産形成のために投資信託を活用した金融投資を開始。当初はインデックス投資を中心に運用していたが、徐々に投資哲学に共感できるアクティブファンドに軸足を移す。ただし、積立を基軸とする「コツコツ投資」のスタイルは維持している。
中小企業診断士兼ライターとして多くの経営者にインタビューさせてもらう中で、成長する経営者の「お金に対する哲学」を学ぶことができた。
現在は、経営者の資産形成のアドバイスもできるようになることを目指している。
主な執筆先は、クーリエジャポン、企業診断(同友館)、道経塾(モラロジー研究所)、など