いますぐできる! 「通勤ラッシュ」をできるだけ楽に乗り越える方法

投稿日:2019-02-13 更新日:

なかなか座ることができない電車の「通勤ラッシュ」。必ず座れるという方法はないものの、ちょっとした工夫で「ぎゅうぎゅう詰め」からは解放される可能性が高くなります。比較的簡単にできる「痛勤」の改善方法をいくつか紹介します。

まずは乗車する車両の選択から

 春は就職や異動の季節。田舎から大きな都市に引っ越し、郊外から都心の会社まで新たに通勤する人が増えます。郷里とは様相が異なる「通勤ラッシュ」に驚いている人も多いかもしれません。

東京の通勤路線のなかでもとくに混雑している東京メトロ東西線。混雑率は200%近い(2017年11月、草町義和撮影)。

 列車に乗っても座れない。それどころか車内はぎゅうぎゅう詰めで、路線によっては身動きがまったくとれないということもあります。座ることは難しくても、せめてぎゅうぎゅう詰めからは解放されたい……そう考えている人もいることでしょう。

最近は乗車券や定期券とは別に座席指定券を購入し、あらかじめ座席を確保することができる有料座席指定列車が増えています。しかし、すべての路線で運転されているわけではありませんし、通勤代もかさみます。

ただ、通常の通勤列車でも、ちょっとした工夫で多少なりとも快適にする方法はあります。比較的簡単にできる「痛勤」の改善方法をみっつ、紹介しましょう。

1.乗る車両を選ぶ
都市部の鉄道路線では8両編成や10両編成など、長い編成の通勤列車が珍しくありません。JRの東海道線などでは15両編成の通勤列車も走っています。車両の長さは1両につき18〜20mくらいですから、20mの車両を15両つなげれば300mになります。編成の端から端まで歩けば、3〜4分くらいはかかります。

ここまで長くなると、車両によって混雑の状況に違いがみられるようになります。一般的には乗り降りや乗り換えが便利な場所、たとえば列車を下りるときに駅の改札口や乗り換え通路が近くなる車両に人が集中します。

15両編成が停車するホームの中央に改札口があるとすれば、先頭から7〜8両目あたりが最も混雑し、編成の端の車両に行けば行くほど人が少なくなります。つまり、できるだけ端の車両に乗るようにすれば、ぎゅうぎゅう詰めの混雑から多少なりとも解放されるはずです。

混雑率のデータから「ずらす時間」を考える

しかし、どの駅でもホームの中央付近に改札口があるわけではありません。駅によっては、ホームの端に改札口や階段、乗り換え用の通路が設けられている場合もあります。そのため、必ず編成中央の車両が混雑していて、端にある車両がすいているとは限らないのです。最初のうちは1日ごとに乗る車両を変えて、比較的すいている車両を確かめてみるのがいいかもしれません。

一部の駅では混雑しやすい列車と車両の情報を提供している(2018年3月、草町義和撮影)。

ちなみに、一部の鉄道会社では混雑しやすい車両を駅で案内していたり、車両ごとの混雑状況をリアルタイムで表示するスマートフォン向けアプリを提供していたりします。こうした情報も活用するのもいいでしょう。

2.混雑する時間を避ける
どの車両の混雑も大きくは変わらないようなら、混雑する時間帯を避けるという手もあります。

国土交通省は毎年夏ころ、東京、名古屋、大阪にあるおもな鉄道路線の混雑率を公表しています。それによると、東京メトロ東西線の混雑率は199%。最も混雑する区間と方向が木場→門前仲町で、その時間帯は7時50分~8時50分となっています。このデータを基に、自宅最寄り駅の混雑時間帯を推測します。

たとえば、木場駅を7時50分~8時50分に門前仲町方面に向けて発車する列車は、行徳駅(千葉県市川市)を約20分前の7時30分~8時30分に発車します。つまり、行徳駅から東京都心へ通勤する場合、この時間帯を避けて列車に乗るようにすればいいわけです。

実際は会社の勤務体系や就業時刻も絡んでくる話ですから、あまり大きくずらすことはできませんが、たまには早起きしてみて、いつもの列車より30分早い列車に乗ってみるのもいいかもしれません。なお、混雑率のデータは国交省のウェブサイトなどで公開されています。

3.列車の始発駅から乗る
さらに快適さを求めるなら、列車の始発駅から乗るということも考えられます。

始発駅までのきっぷは必ず買おう

路線によっては、近くに車両基地や列車の折り返し設備があるなどの理由で、途中の駅から出発する列車が運転されている場合もあります。駅のホームに始発列車が入ってきた段階では、車内の乗客は「ゼロ」。座れる可能性が高くなります。

妙典駅は東西線の途中にある駅だが平日の朝には始発列車がある(2016年1月、草町義和撮影)。

東京メトロ東西線の場合、路線の終点駅である西船橋駅や乗り入れ先の東葉高速線・東葉勝田台駅などから東京都心に向かう列車が多数運転されています。平日の朝ラッシュ時には、途中の行徳駅(千葉県市川市)などから乗っても座れないことが多いです。

ただ、行徳駅のひとつ隣にある妙典駅は車両基地につながっていて、妙典始発の列車も何本か運転されています。行徳駅からいったん反対方向の列車に乗って妙典駅に向かい、始発列車に乗ればいいのです。「始発列車狙い」のお客さんも大勢いるため必ず座れるとはいえませんが、何本か待てば座れることも多いようです。

なお、行徳→妙典→大手町のように本来の通勤経路から外れた始発駅で折り返す場合、通勤経路の定期券とは別に行徳〜妙典間の往復きっぷを購入しておく必要があります。これは妙典駅で改札を出ない場合でも同じです。行徳〜妙典間を利用できるきっぷや定期券を持たずに折り返した場合、不正乗車になりますから注意しましょう。

ちなみに、通勤定期運賃(1か月)は行徳〜大手町間が8440円なのに対し、妙典〜大手町間は180円高い8620円。行徳〜妙典間の往復運賃は340円(ICカードは330円)ですから、1か月に1回でも「妙典折り返し」をすれば元が取れます。最初から始発駅も含めた定期券を買っておくのもいいでしょう。

【了】

【写真】床に大きく「たいへん混雑いたします」

東急田園都市線の三軒茶屋駅。ホームの床に「この付近の車両は大変混雑いたします」と大きく描き、混雑しやすい車両を案内している(2018年3月、草町義和撮影)。

Writer: 草町義和(鉄道ライター)
1969年、新潟県南魚沼市生まれ。鉄道趣味誌で列車の乗車ルポや幻の鉄道(未成線)の散策記などを多数発表してきた。著書に『鉄道計画は変わる。』(交通新聞社)など。趣味はアサガオ、ゴーヤの栽培。

 

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