そうだったのか! 「卵」と「玉子」の使い分け方

投稿日:2021-08-21 更新日:

「卵かけご飯」は「卵」なのに「玉子丼」は「玉子」――。毎日の食卓に欠かせない「たまご」にはどうして2つの漢字が存在し、どのように使い分けられているのでしょうか。今回は、たまごの「謎」に迫ります。

「卵」と「玉子」はどう使い分ける?

 

毎日の食卓に欠かせない「たまご」ですが、漢字で書くと「卵かけご飯」のように「卵」を使用する場合と、「玉子丼」のように「玉子」を用いる場合の2パターンがあります。この両者は一体、どのように使い分けられているのでしょうか。

オトナンサー編集部では、JA全農たまご経営企画本部の中西沙代さん(管理栄養士)に取材しました。

 

「卵」と「玉子」が存在する理由

そもそも、なぜ「たまご」には2つの漢字があるのでしょうか。

中西さんによると「卵」は平安時代から鶏卵を意味する言葉として使われ始め、当時は「かいご」や「かいこ」と読まれていました。室町時代に入って鶏の飼育が急激に拡大すると、南蛮貿易による文化流入の影響もあり、鶏卵を使った料理(カステラなどの菓子)が広がっていったそうです。

その後、宝石のように美しく丸い殻(=玉)の中に子どもが入っている鶏卵の形状から「玉の子」という言葉が生まれ、江戸時代に「玉子(たまご)」という漢字と読み方が広く使用されるようになりました。一方「卵」もそのまま残ったため、「たまご」には現在も「卵」「玉子」の2つがあるとのこと。

「『卵』が『たまご』と読まれるようになった時期については諸説ありますが、『蚕(かいご)』との紛らわしさを解消するために『たまご』が徐々に広がっていったようです」(中西さん)

 

「卵」と「玉子」の使い分け方は

それでは、同義語と考えられることも多い「卵」と「玉子」ですが、どのように使い分けられているのでしょうか。

「『卵』は孵化(ふか)して育つことを前提としたものを指します。鳥類だけでなく、魚類や虫類のたまごも『卵』と書きます。一方『玉子』は食用のものを指し、鶏のたまごを表すのが一般的です」

つまり「卵」は鳥や魚、虫などの(生命としての)「たまご」全般を指す言葉であり、「玉子」はその中でも、食材として使われる鶏卵を指します。

しかし、食材の鶏卵に限れば、生の状態のものを「卵」、調理されたものを「玉子」とするのが一般的で、たとえば加熱前のものは「生卵」「卵かけご飯」、加熱されたものは「玉子焼き」「玉子丼」といった具合です。

ただし「ゆで卵」「卵焼き」などのように、加熱したものに「卵」を使うことが全くないわけではありません。また、料理名としての「卵」は“生々しい”印象を与えるため、現在では「たまごサンド」のように平仮名を用いることも多くなっています。

「明確な基準はありませんが『卵』の方がより広い概念であり、非常に便利な言葉といえるでしょう。2つの漢字があるのも、たまごが古くから愛され続けていることの証左かもしれません」

(オトナンサー編集部)

 


 

▼家事が楽になる「魔法の家事ノート」アプリはこちら▼
魔法の家事ノート

-家事ノート

関連記事

最近忘れっぽい…原因はスマホのしすぎ? 若者に増加中「スマホ認知症」とは

最近、とっさに人の名前や漢字が思い浮かばない――。その症状、もしかしたら「スマホ認知症」かもしれません。スマホが脳に与える影響について医師に聞きました。 スマホ認知症の若者が急増中? 「スマホ認知症」 …

あなたのお気に入りはどれ? 「野菜炒め」の味付けを紹介!

余った野菜で手軽に作ることができ、一度にたくさんの野菜を取ることができるメニュー「野菜炒め」。今回は、その基本的な作り方と味付けのアレンジについて解説します。 食卓の定番である野菜炒め はじめに  食 …

トイレが近すぎる! 「頻尿」の原因と対処法を徹底解説

「トイレが近い」。ともすれば放置してしまいがちな「頻尿」ですが、そこには深刻な原因が潜んでいることがあります。ここでは、頻尿の背後にあるさまざまな病気や不安時の対処法について、医師の先生と解説します。 …

鉄分に食物繊維、ミネラルも “東洋のスーパーフード”ナツメが魅力的な理由

漢方薬の材料としても使われる植物「ナツメ」。ことわざで「1日3粒食べると老けない」とされる、その魅力はどのようなものでしょうか。おいしい食べ方も合わせて紹介します。 スナック風にした「ナツメチップ」は …

「リンゴを5カ月間保存できる方法」がSNSで話題に 専門家「有効です」

シーズンを迎えた「リンゴ」の保存方法に関する、あるツイートが話題に。「果軸部分に湿らせたキッチンペーパーを乗せて二重にラップに包み、冷蔵庫へ」というものですが、その真偽やいかに――。   こ …