恋愛やビジネスでの交渉術、催眠療法にも用いられる「ダブルバインド」とは、「二重に拘束する」という意味です。
簡単に言うと「矛盾したメッセージで相手を縛る」ことですが、子育てに当てはめてみるとどういうことなのでしょうか。
子どもに対するダブルバインドって?
子育て中に陥りやすいのは、「矛盾した命令」や「脅し」のパターン。
ダブルバインドによるしつけは、子どもを脅して従わせるように誘導するため、混乱や恐怖がストレスになって精神的なダメージにつながります。
子どもが真似すると、「いま遊んでくれないなら、もう遊んであげない!」など、「脅し」によって友達を従わせるようなやり方をしてしまう危険もはらんでいます。
無意識のうちにダブルバインドがどんどんエスカレートすることもあるようですが、具体的にどんな場面だと思いますか?
日常に潜むダブルバインドは、「子育てあるある」
振り返ってみると、筆者もたくさんやっていることに気づきました。
怒らないから全部話して」と言ったのに、話を聞いて怒った。
「何が食べたい?何でもいいよ」と言ったのに、都合の悪い提案はダメ出しした。
「洗濯カゴに入れないと洗わない!」と宣言しているのに、洗っている。
「片付けないと全部捨てる!」と宣言しているのに、捨てない。
「もう勝手にしなさい!」と言いつつ、本当に勝手にされるともっと怒る。
加えて、言葉と表情が合わない場合も該当。
何かをしてもらって「ありがとう」と言っている表情が冷たかったら、2つの異なるメッセージが相手に伝わり、困惑します。
「矛盾した命令・脅し」を避けるために
まずは自分の言動を振り返り、「こんな時にしているな」と気づくことが大事です。
そして、「怒らないから話して」「何でもいいよ」などと言った時は、矛盾しないよう言ったことを守りましょう。または、最初から「怒らない」「何でもいい」と言わないようにします。
「片付けないと捨てる!」ではなく、「つまづいて転んだら、痛いし危ないよ。片付けようね」とか、「洗濯カゴに入れないと洗わない!」ではなく、「汚れ物の置きっぱなしはみんなが嫌な気分になるし、洗わないと着る物が無くなるよ」など、相手の気持ちに寄り添って根気よく促すことが大切だそうです。
脅してやらせても本人が納得してやっているわけではないし、恐怖心でいつかひずみが出てしまうのが心配。
絶対に服従せざるを得ないような「脅し」で心理的にコントロールすることは、良いしつけとは呼べませんよね。
冷静にシンプルに、子どもに伝えたいですね。
7歳男児、3歳女児、44歳夫と4人家族で、育児・家事に翻弄される毎日。13年勤めた会社を退職後、現在は月刊誌の取材・執筆・撮影に携わる。一方で子供に関わる社会問題にも関心を寄せる。好きな食べ物はマカロン。