子どもが生まれて半年くらい経った時の話です。
知人と会話中「産後、体力も落ちるし、なんだか疲れが溜まっている」と、私が話をした時、その場にいた知人が言いました。
この場所、時間、言葉にならなかった感情。
今でも凄くよく覚えています。
「確かに、まだ赤ちゃんかもしれないけど、でもね…」の後が続きませんでした。
私の、心情や置かれている環境や、感じているこのモヤモヤな気持ちを、どう言葉にしたら良いのか分からなかったのです。
Today(今日)という本に出会い、救われた
それから8年経ち、わたしはある詩に出会いました。
『今日』 (伊藤比呂美 訳)
今日、わたしはお皿を洗わなかった
ベッドはぐちゃぐちゃ
浸けといたおむつは
だんだんくさくなってきた
きのうこぼした食べかすが
床の上からわたしを見ている
窓ガラスはよごれすぎてアートみたい
雨が降るまでこのままだとおもう人に見られたら、なんていわれるか
ひどいねえとか、だらしないとか
今日一日、何をしてたの? とか
わたしは、この子が眠るまで、
おっぱいをやっていた
わたしは、この子が泣きやむまで、
ずっとだっこしていた
わたしは、この子とかくれんぼした。
わたしは、この子のためにおもちゃを鳴らした、
それはきゅうっと鳴った
わたしは、ぶらんこをゆすり、歌をうたった
わたしは、この子に、
していいこととわるいことを、教えたほんとにいったい一日何をしていたのかな
たいしたことはしなかったね、
たぶん、それはほんと
でもこう考えれば、いいんじゃない?
今日一日、わたしは
澄んだ目をした、髪のふわふわな、
この子のために
すごく大切なことをしていたんだってそしてもし、そっちのほうがほんとなら、
わたしはちゃーんとやったわけだ
引用書籍:今日 / 伊藤 比呂美 (翻訳) 福音館書店 ¥1,540
大切なことは見えない所に隠れている
この詩を読んだ時、涙が止まりませんでした。
そして、8年前に言われた、知人からの言葉に対する「でもね…」の後に続かなかったモヤモヤな感情を、この詩がすべて解決してくれたように感じました。
育児は楽しいけど、そればかりじゃない。
子育てには正解がない分、ママ達には悩みがつきもの。
大切なことは目に見える事実ではなく、目に見えないものだ。
そう思えたのです。
ちなみに、うちの旦那にこの詩を読ませたらナイスな返事が!
「部屋が汚いといつも文句言っていることが申し訳なくなった。ママ達は、自分達の見えない時間の中で、こんなにも子どものためにしてくれているんだね。」
部屋が汚いのは揺るぎない事実ですが…。
内心、いつも部屋が汚くて申し訳ないと思っているのですよ。ごめんなさい。
子育ての正解は子どもの満面な笑み!
私は、それで良いと思います。
執筆/まゆみ
二児のママ。子育て応援ZEROSAI代表。