摂りすぎの脂肪、糖質、コレステロールを「帳消し」にする方法

投稿日:2020-07-12 更新日:

ハーバード大学医学部元准教授が実践している魔法の食べ方

暴飲暴食で、増えた体重にため息……。体に悪いのは知っているけれど、ラーメンや焼き肉など好きなものを食べることはやめられない……。人は“食”に対する誘惑に弱いものです。

そこで注目なのが、ハーバード大学医学部元准教授で、現在は「ダイエット外来」があることでも有名な麻布医院院長の髙橋弘先生が編み出した、好きなものを食べても脂肪や糖質を「なかったこと」にする食べ方=「帳消しメソッド」です。

高橋先生の著書『好きなものを食べても 太らない・病気にならない 帳消しメソッド』より、メソッドの基本と、具体的な食事別帳消し法をみてみましょう。

「帳消しメソッド」とは?

帳消しメソッドのポイントは「食べる順番」と「一緒に食べるもの」を工夫すること。

「食べる順番」とは、具体的には以下の通りです。

1. 食物繊維(野菜などにふくまれる食物中の繊維)
2. タンパク質(肉や魚などの主菜の栄養素)
3. 糖質(ご飯やパンなどの主食とお菓子などの甘い物の栄養素)

ここでの大きなポイントは「ベジファースト」です。
野菜、豆類、海藻類、キノコ類といった食物繊維の多い「植物性食品」を先に食べることで、消化吸収の速度がゆっくりになり、血糖値の急上昇や糖質の過剰摂取を防ぐことができます。

また、余計なコレステロールや糖質を繊維質がからめとることで、体へのダメージが「帳消し」されるのです。

さらに「肉にはきのこ」といった、医学的に正しい理論に基づいた「一緒に食べるもの」の組み合わせを実践することで、好きなものを食べても、体への影響を最小限に抑えることができると髙橋先生は本書の中で述べています。

やせるためには、カロリーよりも「血糖値」のコントロール

日本人男性の3人に1人、女性の5人に1人は肥満と推定されています。

肥満予防やメタボ解消のために、多くの人は「カロリーのコントロール」を行なおうとしますが、髙橋先生によると、まず手をつけるべきは「血糖値」のコントロールだとか。

食品中に含まれる「糖質」は体内でブドウ糖(グルコース)に分解された後、血液中に入り、この血液中のブドウ糖の濃度が「血糖値」と呼ばれます。

この血糖値を一定範囲内に収まるようにコントロールするために働いているホルモンの1つが、すい臓から分泌されている「インスリン」です。

インスリンは、筋肉や心臓といった活発に活動して糖質を消費するところに血糖を取り込ませ、上がりすぎた血糖値を下げようとします。ところが、動かない時間が多い現代人では、どこの組織も糖質を持て余すため、インスリンは糖質の在庫を一手に引き受けてくれる組織「脂肪細胞」に頼ることになります。

こうしてインスリンの働きで脂肪細胞に送られた糖質は、お腹や二の腕など気になる部分のぜい肉「中性脂肪(体脂肪)」として蓄えられるのです。そのため、カロリーを抑えることも大切ですが、「血糖値」のコントロールが重要となります。

この血糖値のコントロールを行なうときに目を向けたいのが、冒頭に述べた「ベジファースト」と、食品の「GI値」です。GIとは「グリセミック・インデックス」の略で、食品の血糖値の上がりやすさを示す指数です。

GI値が、低いほど血糖値が上がりにくく、高くなるほど血糖値が上がりやすくなります。GI値が高いのは、白いご飯、食パン、うどん、砂糖などです。

玄米、全粒粉のパンやそばといったGI値が低い食べ物ほど体にゆっくり吸収されるので、腹持ちがよくてダイエットをする上でもすすめられています。

では、具体的に「帳消しメソッド」を使った食事法をみてみましょう。

コンビニ弁当を10倍ヘルシーに食べる方法

仕事で忙しく、ランチや晩ご飯をコンビニ弁当で手早く済ませてしまうという人も少なくないはずです。
コンビニ食は不健康な食事の代名詞のように扱われますが、最近のコンビニ食の進化には目を見張るものがあります。

栄養バランスに配慮したお弁当や種類豊富なサラダなど、コンビニを上手に活用することで、ヘルシーな食生活を実践することも可能です。

コンビニ弁当を買うときは、次のような帳消しメソッドを実践しましょう。
まず、必ず一緒に野菜やヒジキやモズクなどの海藻を使ったサラダを買います。さ
らに弁当の種類は、唐揚げ弁当やトンカツ弁当などのがっつり系を避け、野菜などのおかずの品数が多く、ご飯が少なめの幕の内弁当などを選びます。

また、コンビニの定番である海苔弁であれば、おかずは白身魚やチクワなどが多いので、飽和脂肪酸の摂取がセーブされます。

さらに海苔はとても栄養価が高く、β-カロテン、ビタミンCとE、コレステロール値を下げるEPA、食物繊維、カルシウムなどが含まれています。

そして、あとは「ベジファースト」でサラダから先に食べ始め、次は弁当のおかず、そしてご飯を最後に回します。この食べ方だと、ご飯にたどりつくまでにお腹が相当ふくらみ、ご飯をたくさん食べなくても満足できます。

ステーキの脂は野菜やキノコで絡めとる!


「長生きの高齢者を調べてみると、ステーキや唐揚げなどの肉類をよく食べている人が多かった」 
こんな研究結果をテレビで目にした人もいるかもしれません。

私たちの体は数万種類のタンパク質でつくられています。タンパク質は20種類のアミノ酸からなり、このうち9種類は体内では合成できない「必須アミノ酸」です。この必須アミノ酸は毎日の食事から摂るしかないため、必須アミノ酸をバランスよく含む肉類を食べるのはとても重要なことです。

そのため、ダイエットを意識しすぎるあまり、肉を食べることをやめタンパク質不足が進むと、「筋肉量の減少」「肌や髪のトラブル」「集中力・思考力の低下」など、かえって不健康になることもありえます。

その一方で、肉類には飽和脂肪酸とコレステロールなどの脂質が多く含まれており、食べ過ぎると肥満や動脈硬化、心臓病などのリスクを増大させることも知られています。

では、肉類の「帳消し」はどうすればいいのでしょうか?

実は簡単で、肉類と一緒に野菜やキノコ類、海藻類などの食物繊維が豊富な食品を食べれば良いのです。なぜなら、食物繊維が余分な脂質を絡め取り体外に排出してくれるからです。

とくに積極的に摂りたいのは、シイタケ、マイタケ、エリンギ、シメジなどのキノコ類です。キノコ類の食物繊維はスポンジのように脂質を吸着してくれます。理想的なタンパク源である肉料理にはキノコを忘れないようにすることで、体のために大切な栄養素を摂りつつ、脂質をカットすることが可能になります。

「帳消しメソッド」を活用して、良質な肉類を適度に楽しむ、それが健康的で長生きの秘訣になるはずです。

「GI値の低いお酒」で肥満予防

ご飯とともに、やめられないのがお酒。ビール腹という言葉もあるように、お酒によって太ってしまう人も多くいます。
といっても、人と飲むお酒は楽しいし、仕事で飲む必要もあるでしょう。

また適度な飲酒は食卓を豊かにしてくれますし、日中のストレスを解消してくれます。そこで太らないためのお酒の飲み方のコツを2つ紹介します。

1. 低GI値のお酒を選ぶこと

具体的には焼酎、ジン、ウォッカ、ウイスキー、ブランデーなどの蒸留酒です。蒸留酒は発酵させたあとにアルコール成分だけを蒸留させて作るので、原理的に糖質を含みません。

一方でビールや日本酒のような醸造酒は蒸留しないので、糖質の含有量が多く、GI値も高めです。最近はビールや日本酒にも糖質をカットしたタイプもでているので、ビールや日本酒が好きな方はそちらを試してください。

2. お酒の割り方で、結果はかわる

GI値が低い蒸留酒も果物などのジュースで割ると高GI値になり、カロリーも跳ね上がります。たとえば、焼酎の水割りは約140キロカロリーですが、巨峰サワーにすると約200キロカロリーになってしまいます。

同じようにウィスキーやウォッカ、ジンを飲むときは水割りか無糖のソーダ(炭酸水)割りにしてください。甘くて糖質が多いトニックウォーターやジンジャーエールなどでは割らないようにしましょう。

***

ハーバード大学医学部内科元准教授であり、免疫栄養学の第一人者の髙橋先生が、いままでの研究から導き出した「体にいい食べ物・食べ方・食習慣」をコンパクトに凝縮した1冊が『好きなものを食べても 太らない・病気にならない 帳消しメソッド』です。健康的で無理のないダイエットとしても効果のある「帳消しメソッド」、ぜひ一度試してみてはいかがでしょう。



引用書籍:好きなものを食べても 太らない・病気にならない帳消しメソッド
著者:髙橋弘

肉、ラーメン、揚げ物、甘いもの、お酒……どれも体によくないのはわかっているけれど、ついつい手が伸びてしまいがちです。そこで免疫栄養学の第一人者が、好きなものを食べても、その悪影響を「なかったこと」にし、健康寿命を延ばす魔法の食べ方を紹介。

記事提供:日本実業出版社

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