軽い頭痛で運良くCTを受けたら“くも膜下出血”だった…「めっちゃ怖い」「見極め難しい」、医師に聞く

投稿日:2020-04-02 更新日:

50代の投稿者が、軽度の頭痛で頭部CTを受けたら「くも膜下出血」と診断された、というエピソードがSNS上で話題に。軽い頭痛でも甘く見ることはできないかもしれません。

軽い頭痛でもくも膜下出血の可能性あり?

SNS上で先日「くも膜下出血」に関する投稿が話題となりました。基礎疾患のない50代の投稿者は頭痛と寒気を訴え、家族とともに歩いて救急外来を受診。その時点で、症状は「だいぶマシ」になっており、診察でもこれといった症状はなかったそうですが、初めての頭痛ということで頭部CTを受けると「くも膜下出血」と診断されたそうです。投稿者は「診察時点では症状のない『2時間前に頭痛と寒気があった人』に頭部CTをオーダーするだろうか……と考えると、こちらが寒気のするケース。初発の頭痛は頭部CT。これをデフォルトくらいに考えておこう」としました。

これを受けてSNS上では「めっちゃ怖いです」「頭痛もいろいろあるから、お医者様も診断が大変」「前兆を見極めるの難しい」など、さまざまな声が上がっています。軽度の頭痛でも甘く見ることはできないのでしょうか。医師の市原由美江さんに聞きました。

「バットで殴られたような頭痛」

Q.そもそも、くも膜下出血とはどのような病気でしょうか。

市原さん「くも膜下出血の典型的な症状は『突然の激しい頭痛』『吐き気、おう吐』です。多くの場合、今まで経験したことのない頭痛を自覚し、その痛みは“バットで殴られたような痛み”と表現されることもあります。前兆として、軽度の頭痛や目の見えにくさを感じることがあります。原因として最も多いのが脳動脈瘤(りゅう)の破裂で、ほかに、脳動静脈奇形やもやもや病などがあります。これらの脳の異常やくも膜下出血の家族歴を有する人が発症しやすいと言えます。また、喫煙や高血圧などで発症のリスクが上がります。出血部位によって意識障害の程度が異なり、意識障害が強いほど予後が悪いとされ、約30%の患者さんが亡くなっています。救命できても後遺症が残ることが多く、その症状は出血部位によって麻痺(まひ)や言語障害などさまざまです」

Q.今回のケースのように“運良く”くも膜下出血が見つかるケースはあるのですか。

市原さん「頭痛が軽度であれば、くも膜下出血を積極的に疑うことはあまりありません。また、今回のケースでは悪寒も伴っているので、風邪の初期症状と間違われてしまう可能性があります。今回のケースのように、初発の頭痛を理由に頭部CT検査を受けたことは、大変幸運と言えるでしょう。つまり“運良く”くも膜下出血が見つかるケースは少ないと考えられます」

Q.「初発の頭痛は頭部CT。これをデフォルトくらいに考えておこう」という投稿者の意見は一理ありますか。

市原さん「初発の頭痛で、くも膜下出血の可能性を考慮することは重要であり、投稿者の意見は一理あると考えます。受診の際、診察の医師に初発の頭痛であることを伝えてください。前述したように、くも膜下出血の発症前に前兆が起きる場合もありますが頻度は少なく、多くは突然の頭痛です。経験のない突然の頭痛を感じたらすぐに救急車を呼ぶことが大切です。また、家族にくも膜下出血を起こした人がいると本人の発症リスクも上がります。画像検査で脳動脈瘤などの異常がないか確認し、未然に防ぎましょう」

(オトナンサー編集部)

市原由美江(いちはら・ゆみえ)
医師(内科・糖尿病専門医)

横浜鶴ヶ峰病院付属予防医療クリニック副院長。自身が11歳の時に1型糖尿病(年間10万人に約2人が発症)を発症したことをきっかけに糖尿病専門医に。病気のことを周囲に理解してもらえず苦しんだ子ども時代の経験から、1型糖尿病の正しい理解の普及・啓発のために患者会や企業での講演活動を行っている。また、医師と患者両方の立場から患者の気持ちに寄り添い、「病気を個性として前向きに付き合ってほしい」との思いで日々診療している。糖尿病専門医として、患者としての経験から、ダイエットや食事療法、糖質管理などの食に関する知識が豊富。1児の母として子育てをしながら仕事や家事をパワフルにこなしている。オフィシャルブログ(https://ameblo.jp/yumie6822/)。

 

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