めまい、立ちくらみ、吐き気…その体調不良、原因は「水分不足」かも? 医師に聞く

投稿日:2021-02-09 更新日:

頭痛やめまいといった体調不良の原因が「水分不足」だとされるケースが、SNS上などで話題になっています。水分不足による体調不良とその対処法を解説します。

体調不良の原因は水分不足かも?

 水分不足による体調不良について先日、SNS上などで話題になりました。頭痛やめまい、立ちくらみ、吐き気、腹痛、精神状態の悪化などの不調が続いた場合、その原因は「水分不足」だと診断されるケースがあるようです。水分不足が「内臓機能の低下」「ガスの発生による圧迫」「血液濃度の上昇」などを引き起こすことによるものといい、SNS上では「心当たりある」「水分補給しづらい仕事の人は要注意」「どのくらい飲めばいいの」など、さまざまな声が上がっています。

水分不足による体調不良とその対処法とは、どのようなものでしょうか。オトナンサー編集部では、医師の市原由美江さんに聞きました。

体の60%は水分でできている

Q.水分不足によって体の不調が現れるメカニズムについて教えてください。市原さん「私たちの体の約60%は水分(体液)です。体液は『細胞内液』『細胞外液』に大別されます。水分の摂取不足により細胞外液が減少し、血液が濃くなる状態を『高張性脱水』といいます。脱水で血液の量が減ると血圧が下がるため、立ちくらみやめまい、吐き気などの症状が出ることがあります。この低血圧を補おうとして脈拍数が増えるため、動悸(どうき)を自覚することもあります。また、脱水の程度がひどい場合は意識障害を起こすこともあります。そのほかの症状として口渇(こうかつ)があり、体が自然と水分摂取を促しますが、高齢者はこの口渇の症状が出ないことがあるため、普段からこまめに水分摂取することが大切です」

Q.水分不足による不調であると見極めるためのポイントはありますか。

市原さん「水分不足以外にも、脱水は発熱や発汗過多、下痢などによって体の水分が失われた時にも起こります。まずは、これらの症状があるかどうかを確認しましょう。発熱や発汗過多、下痢などが見られる時は尿量が減り、いつもよりもトイレの回数が少なくなるため、水分不足による脱水かどうかを見極めるポイントになります。水分不足の場合は、口渇を自覚することが多いので、口渇を感じたら早めに水分摂取しましょう」

Q.不調を予防するための水分補給について教えてください。

市原さん「健康な人は、1日の水分摂取の目安を1500ミリリットル程度にするとよいでしょう。一気に摂取するのではなく、コップ1杯程度でこまめに飲むのが理想的です。また運動をして汗をかいた後、お風呂上がりなどは意識して水分を摂取しましょう」

Q.水以外の飲み物でも同様の効果が得られますか。

市原さん「清涼飲料水はカロリーが高いものが多いため、これを中心に飲むことは控えましょう。お茶やコーヒーにはカフェインが含まれています。カフェインには弱い利尿作用があり、水と比べると水分補給の効果は弱いでしょう。麦茶などカフェインフリーのお茶やカフェインレスコーヒーなどを利用してください」

(ライフスタイルチーム)


市原由美江(いちはら・ゆみえ)
医師(内科・糖尿病専門医)
横浜鶴ヶ峰病院付属予防医療クリニック副院長。自身が11歳の時に1型糖尿病(年間10万人に約2人が発症)を発症したことをきっかけに糖尿病専門医に。病気のことを周囲に理解してもらえず苦しんだ子ども時代の経験から、1型糖尿病の正しい理解の普及・啓発のために患者会や企業での講演活動を行っている。また、医師と患者両方の立場から患者の気持ちに寄り添い、「病気を個性として前向きに付き合ってほしい」との思いで日々診療している。糖尿病専門医として、患者としての経験から、ダイエットや食事療法、糖質管理などの食に関する知識が豊富。1児の母として子育てをしながら仕事や家事をパワフルにこなしている。オフィシャルブログ(https://ameblo.jp/yumie6822/)。

 

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