つい抜いてしまう…「白髪」を抜くと、さらに増えるって本当? 毛髪診断士に聞く

投稿日:2020-02-08 更新日:

「白髪を抜くと増える」といううわさを聞いたことがある人は多いと思いますが、このうわさ、本当なのでしょうか。毛髪診断士に聞きました。

白髪を抜くと増えるのは本当?

「白髪を抜くと増える」といううわさを聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。

男女ともに悩む人が多い加齢現象である白髪は「一気に老けた印象になる」「目立たせたくない」などの理由から、白髪染めをしたり、抜いたり切ったりする人も多くいます。特に、白髪を抜く行為については「見つけるとつい抜いてしまう」「抜きたいけど増えたら嫌だ」「1~2本程度なら抜いてもよいのでは」など、疑問を持つ人も少なくないようです。

白髪を抜くと増えてしまうというのは、本当なのでしょうか。毛髪診断士(美容コンサルタント・韓方薬膳料理専門家)の余慶尚美さんに聞きました。

抜くと毛根は痛むものの…

Q.そもそも、白髪とは何でしょうか。

余慶さん「髪はもともとは白く、メラニン色素によって黒褐色になります。髪の元となる毛母細胞が、隣り合って存在する『メラノサイト』(色素形成細胞)から作り出されたメラニン色素を受け取り、分裂を繰り返して角化することで黒髪となるのです。

しかし、加齢によりメラノサイト自体が枯渇したり、メラノサイトの働きが鈍くなったり、メラニン色素を生成するために必要な酵素『チロシナーゼ』の働きが弱くなったりすると、メラニン色素量が減少し、結果として白髪になります。また、メラニン色素が生成されても毛母細胞が取り込む力を失う場合もあり、これも白髪の原因になります。

白髪は黒髪よりも太く、また成長スピードも速いといわれています。そういう意味でも、目立ちやすい存在といえます」

Q.白髪の原因について、もう少し詳しく教えてください。

余慶さん「白髪には『若白髪』と『加齢による白髪』があります。若白髪はさらに2種類に分かれ、一つは遺伝による先天的なもの、もう一つは栄養障害や内分泌障害といった後天的な原因によるものです。

そして、最も多いのが加齢による白髪です。日本人の白髪の発生年齢は男女とも30代半ばで、40代ごろから目立ち始めます。中国医学の三大古典の一つといわれる『黄帝内経(こうていだいけい)』には、『女性は7の倍数、男性は8の倍数の年齢を節目に、体に変化が訪れる』『(6周期目)女性は42歳に、男性は48歳で白髪が目立ち始める』という旨の記述があります。これは、現代でも変わらないのではないでしょうか」

Q.ずばり「白髪を抜くと増える」のは事実でしょうか。

余慶さん「髪は基本的に1本ずつ独立して生えているので、白髪を抜くと増えるということはありません。ただし、白髪を抜いても、次に生えてくる髪も白髪という場合が多いです。一般的に、毛髪は1つの毛穴から2~3本生えており、そのうち1本が白髪である場合もあります。無理に抜いてしまうと毛根を傷め、他の健康な髪にも影響を与えます。抜け毛や細毛の原因になるなど、次に生えてくる髪の成長にもよくないので、なるべく抜くことは避けましょう」

Q.白髪を見つけたときに、最も推奨される対処法とは。

余慶さん「まだ数える程度の本数であれば『根元から白髪のみを切る』ことをおすすめします。白髪が生える順序として、生え際→側頭毛→頭頂毛→後頭毛、その後、ひげ→体毛となる場合がほとんどです。

束になって目立ってきたものの、まだヘアマニキュアやヘアカラートリートメントで時間と手間をかけて染める程度ではないという人は、一時的に白髪を隠せて、シャンプー時に落とせるスティックタイプやファンデーションタイプなどの白髪染めもあります。個人的には、テカリがなく自然な仕上がりのファンデーションタイプがおすすめです」

白髪染めの際のポイントは?

Q.その他、白髪染めを行う際のポイントや注意点を教えてください。

余慶さん「市販の白髪染め専用ホームカラーを用いている人も多いと思います。ホームカラーは美容院に行く手間が省ける上、経済的なメリットも大きい半面、デメリットもあります。

一般的に、ホームカラー剤のタイプには『酸性』『弱酸性』『弱アルカリ性』『アルカリ性』などがあります。アルカリ性が強いほどキューティクルを開き、染料を髪の内部まで届かせて、自分が望む色に染めることができますが、その分、髪が傷みやすいです。ドラッグストアなどで気軽に購入できるホームカラーの場合は、誰でも満遍なく染められることを基準にしているため、アルカリ性のものが多く、染料の含有量が多いのでダメージヘアを招きやすいです。

白髪染めの場合は、いかにも『白髪を染めた』という不自然さを感じたり、色もあまり選べなかったりするので、普通のヘアカラーを用いる人もいると思います。その場合、元々の髪の色を抜くという工程がある分、白髪染め専用カラーよりも傷みやすくなるので気を付けましょう。

ホームカラーを使用する場合は、必ず規定の量・時間を守り、頭皮につかないよう丁寧に染めることが何よりも大切です。生え際に、プロテクトクリームやワセリンなどの保護剤を忘れずに付けましょう。サロンでも家でも、断続的に白髪染めをしている人やダメージヘアの人は、ヘアマニキュアをおすすめします。髪の表面をコーティングするだけなので、洗うたびに落ちていくというデメリットはありますが、髪のことを考えるとつやも出て、ダメージ軽減にもつながります」

Q.白髪を増やしにくくするための生活習慣とは。

余慶さん「最も大事なのは、その日のうちに洗髪をして頭皮を清潔に健やかに保つこと、就寝前にきちんと髪を乾かすことです。そして、何よりも睡眠が大事です。質の良い十分な睡眠は毛細血管の血流をスムーズにし、栄養を髪に届けます。質の良い睡眠のためにも、ストレスをため込まないことや適度な運動を心掛けましょう」

Q.白髪に悩む人は男女問わず多いようですが、白髪が生え始めた自分の髪と上手に向き合っていくために、毛髪診断士としてアドバイスをお願いします。

余慶さん「白髪が生えるのは自然なこと、仕方のないことと大きく構えましょう。現時点では、根本的に白髪をなくすことはできませんが、上手に隠す方法は多くあります。自分にとって負担にならない、ふさわしい方法を選びましょう。もちろん、グレーヘアという選択もありだと思います。

女性の場合は白髪よりも、髪につやがあるかどうかが大事だと思います。パサついた髪はどうしても老けて見えるだけでなく、その人のライフスタイルの在り方を映します。男性の場合はフケに注意です。乾燥肌や脂性肌など、さまざまな原因があると思いますが、『土壌(頭皮)が荒れるとよい植物(髪)は育たない』と考え、睡眠・食・運動といったインナーケアもきちんと行うことが大事です」

(オトナンサー編集部)

余慶尚美(よけい・なおみ)
美容コンサルタント・韓方薬膳料理専門家

1970年鹿児島県生まれ。上智短期大学英語学科卒。広告代理店、外資系企業に勤務当時、自身が重い体調不良に悩んだことから、ココロとカラダの両面をケアする「巡り」に着目。2007年から、リンパドレナージュサロン「Flow」を経て、美巡和漢サロンを白金高輪で主宰。また「毛髪診断士」や「漢方薬膳」の専門知識を生かし、講演セミナーや執筆活動、美容や健康に関する製品・サービスの企画監修、プロデュースなどを手掛ける美容コンサルタントとしても幅広く活躍中。毎日数時間、韓国ドラマに没頭するほどの韓国エンターテインメント通でもある。余慶尚美オフィシャルブログ「美巡ライフスタイル」(http://ameblo.jp/yokeinaoko)。

 

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