いくら稼ぐのがベスト?パート主婦が知るべき「収入の壁」

投稿日:2017-10-10 更新日:

給料

パートで働く主婦が「税金が取られる」「夫の控除から外れる」といった理由で、働く時間を減らして収入を調整することがあります。

これが「収入の壁」とよばれるもので、ある金額を境に、所得税や住民税、社会保険料の負担が増えたり、所得控除が減ったりするのです。

パート主婦が知るべき収入の壁

この「収入の壁」のせいで、パートを頑張りすぎたために世帯年収が減ってしまったという「とほほ…」な話も…。

そんな残念な経験をしないよう、収入の壁についてしっかり学んでおきましょう!

103万円の壁とは?

夫がサラリーマン、妻がパートで年収103万円(税込)以下の場合、「配偶者控除」として夫の年間所得から38万円が控除されます。

また、妻も給与所得控除として65万円、基礎控除として38万円が控除されるため、所得税の対象となる課税所得がゼロになり、所得税がかかりません。

そのため、パートで働く主婦の多くが、年収103万円(税込)以下をひとつの目安としており、これを「103万円の壁」と呼びます。

壁を超えて年収103万円(税込)以上になると何が起きる?

まず、妻の年収が103万円~141万円(税込)の場合、夫の「配偶者控除」が「配偶者特別控除」に変わり、38万円から2万円まで控除額が段階的に減っていきます。つまり、夫の所得税が増えることになります。

さらに、妻に対しても所得税・住民税が課されるようになり、世帯全体の税負担が増加します。

とはいえ、この壁は夫の税込年収が500万円前後であれば、税負担がわずかに増えるだけですので、手取りの世帯年収に大きな影響はありません(図1参照)。

パート主婦が知るべき収入の壁

※税率など詳細な算出条件はページ下部に記載

つまり、103万円の壁は実は存在しないのです。

夫の会社から配偶者手当が出ているなら妻の収入条件に注意

たとえば、配偶者手当支給の条件が「妻の年収103万円(税込)以下」で、夫が毎月2万円の配偶者手当をもらっている場合、対象から外れると年間24万円も減収になります(図2参照)。

パート主婦が知るべき収入の壁
かなり手痛い金額ですので、配偶者手当支給の条件は必ず確認してください。

健康保険と厚生年金にある「130万円の壁」も注意

「103万円の壁」は税制上の壁ですが、健康保険と厚生年金の壁もあります。

まず、妻のパートの年収が130万円(税込)以上の場合、健康保険と国民年金への加入が義務付けられ、社会保険料を負担することになります。

この場合、概算ではありますが、所得税・住民税と合わせて年間約30万円の負担増となるため、「130万円の壁」と呼ばれています。年金の納付は、将来の年金支給額が増えるのでムダになるわけではありませんが、負担が重いのは事実です。

さらに、夫の所得税・住民税も数万円の負担増となるため、年収130万(税込)をわずかに超える程度の働き方では、手取り額が大きく減ってしまいます(図3参照)。

パート主婦が知るべき収入の壁

※税率など詳細な算出条件はページ下部に記載

たとえば、夫の年収が500万円(税込)で家族手当てを考慮しない場合、妻の年収が129万9,999円(税込)なら手取りの世帯年収は約537万円になりますが、妻の年収が130万円(税込)だと、手取りの世帯年収は約520万円になってしまいます。

その差はなんと17万円にもなりますので、「130万円の壁」は、強く意識しておいた方がいいでしょう。

そして、2016年10月に社会保険制度が改正され、年収106万(税込)以上から健康保険と厚生年金に加入しなければならないケースが出てきました。

その条件は…

・従業員数が501名以上の企業
・労働時間が週20時間以上
・1年以上働くことが見込まれる
・月額の賃金が8万8000円(年収106万[税込])以上
・学生ではない

です。

これが新たに生まれた「106万円の壁」で、130万円の壁と同様に、手取り額が大きく減ってしまいます(図4参照)。

パート主婦が知るべき収入の壁

※税率など詳細な算出条件はページ下部に記載

妻の年収105万9,999円(税込)と106万円(税込)では、なんと手取りの世帯年収に約14万円もの差が出てしまうのです。そのため、勤務先が上記の条件に当てはまるかどうか、いまいちど確認しておきましょう。

結局、パートで働く場合いくら稼ぐのがベスト?

給料

もし、「130万の壁」を超えてしまう場合は、年収160万円(税込)上になるように働くのが、収入的にはベストの選択となります。

また、「106万円の壁」の対象となる場合、年収106万円(税込)をわずかに超えてしまうようであれば、106万円(税込)未満に収まるように調整した方が、手取りの世帯年収は多くなります

家計の状況を考えて判断しよう!

家庭家計

ここまで見てきたように、パートで働く場合、年収によって3つの壁があります。

働くことの意味・価値はお金がすべてではありませんが、働ける時間、家計の状況などをよく考え、「働きすぎて世帯年収が減ってしまった…」といったことにならないように注意してください。

なお、2017年12月の『税制改正大綱』によれば、2018年(平成30年)には、夫の税込年収に制限を設けたうえで、配偶者控除の金額が150万円(税込)に引き上げられる改正案が成立する見込みです。

年収1000万円(税込)以下の一般的なサラリーマン世帯の場合、妻の年収が105万円~201万円(税込)なら減税になりますので、改正案の成立に期待しましょう!

【サンプル算出条件】
・住民税の均等割は5000円
・翌年課税される住民税も計算に含む
・健康保険料自己負担率5.0%
・厚生年金保険料自己負担率8.914%

【参考】
国税庁HP,厚生労働省HP,ママニティ

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この記事を書いたライター
35style編集部
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