短いようで長い……、“6秒”が人生の分かれ道に!?

投稿日:2021-04-29 更新日:

こじれてしまう前に……(photo by acworks/photoAC)

イライラ、ムカムカ……怒りが、人生を台無しにすることがある

「“6秒”が人生の分かれ道になる」

どういう意味か、想像はつきますか?

実は、「6秒」とは、怒りのMAXの長さです。怒りは6秒で頂点に達し、その後おさまっていくそうです。最長でも6秒と考えれば、怒りが続く時間は意外と短いと思う人もいるでしょう。

しかし、この「6秒」の間にカッとなり、「そういうところが嫌い」「二度と顔もみたくない」などと、まさに「売り言葉に買い言葉」で相手を傷つけてしまう人が多いのです。

「なぜあんなことを言ってしまったのだろう」と、後悔しても手遅れです。このたった数秒の怒りにまかせた行動が、取り返しのつかない結果につながることもあります。

そこで今回は、スポーツ新聞記者として、プロの選手が取り入れている「怒り」をコントロールする現場を取材し、現在はアンガーマネジメントのファシリテーターとして全国で講演、研修を行なっている瀬戸口 仁さんの著書『怒りを味方につける9つの習慣』より、「怒り」をコントロールする手法をみてみましょう。

あのお騒がせ歌手も学んだ、アンガーマネジメントとは?

「アンガーマネジメント」は怒りをコントロールする心理トレーニング法です。怒りに対する理解を深め、うまくつきあっていくための心理学の手法で、「怒り」を否定するのではなく、鎮め、味方につけることを目的としています。

もともとは、1970年代にアメリカの介護の現場で生まれました。利用者からさまざまな文句を言われる介護士たちが募らせた怒りを、少しでも抑えるために考案されました。その後、瞬く間にビジネス、教育、スポーツ界などに広がり、現在では欧米のトップマネジメントの世界では必須のスキルとされ、日本企業においても管理職研修などに取り入れられ注目を集めています。

また最近では2014年に、日本でも人気の高いカナダ出身の歌手ジャスティン・ビーバーが隣人とのトラブルを起こし逮捕された際、裁判所がアンガーマネジメントの受講を命じたことが話題になりました。

では具体的に、怒りを鎮め、味方につけるためにはどうすればいいのでしょう。ここでは、3つのテクニックをご紹介します。

1. 「カウントバック」で怒りのピークをやり過ごす

冒頭で説明したように、人の怒りのピークが維持される時間は「6秒」。この6秒の間に、「何かを言う」「言い返す」「何かをする」といった「反射」をせず、いかにやり過ごすかが、ポイントとなります。

ここで使えるテクニックが「カウントバック」です。

これは、怒りを感じたときに、頭の中で数を数えることで、怒りの感情から意識をそらすテクニックです。意識を目の前の出来事から一瞬だけ違うところに飛ばすことで、相手に対しての衝動にまかせた言動を回避することができます。

方法は頭の中で大きな数字から等間隔で一定の数字を引いていくだけです。

たとえば、100、97、94、91……というように、100から始めて3ずつ引いていく、90から2ずつ、80から6ずつ、など好きな方法でかまいません。また、数字が嫌いであれば、たとえば通勤中に通る駅名を順番にあげてみるのもいいかもしれません。

面倒であればあるほど効果的です。怒りの対象から意識を遠ざけ、「6秒」という怒りのピークをやり過ごすことが大切なのです。

2. 「グラウンディング」で意識を集中する

あとで振り返ると「何であんなに怒ってしまったんだろう」と不思議になるほど、怒りの感情は私たちの意識の全てを支配します。

怒りに意識がいけばいくほど、怒りは膨らみ、やがて爆発することに……。

その場に釘づけにするという意味合いをもつ「グラウンディング」というテクニックは、自分の身の周りにある物に意識を集中して観察することで、頭に上りかけた血を下げ、気持ちを冷静にさせる効果があります。

意識を集中する物は、身の周りのペンや電話、時計など何でもかまいません。たとえば、上司からの理不尽な叱責に腹が立ったとき、相手の後ろの壁に掛け時計があれば、その秒針に意識を集中してみるのです。理不尽な上司から気持ちをそらすことで、想像以上に頭に上っていた血の気が引いていき、冷静になることができるでしょう。

3. 「タイムアウト」で仕切り直す

会議や打合せの場で、怒りに支配されないまでも、議論が白熱し、けんか一歩手前の言い争いになってしまうといった状況下で役に立つテクニックが、「タイムアウト」です。

「タイムアウト」とは、怒りを感じたとき、いったんその場を離れることで冷静になる時間をとることです。バスケットボールの試合で、自分たちが不利な状況に立たされたときにゲームの時間を止め、次の手を探したり、熱くなった選手の頭を冷やしたりするための「タイムアウト」と同じ考え方です。

短い時間のタイムアウトで済む状況なら、「ちょっとトイレに行ってきます」といったん、席を立つ。また、ちょっとした休憩をとったり、会議室の窓を開け、空気を入れ替えることで、気分転換になり流れを変えることができます。

お互いの頭に血が上り「一歩も譲れない」という状況で、長めに時間をとったほうが良い場合は、「申し訳ありませんが、少し頭を冷やしてきたいので、時間をください。○分後に話し合いを再開しませんか?」と提案し、怒りを感じた場所から別の場所へ移動するようにしましょう。

「タイムアウト」のポイントは、とにかく怒りを感じた場所から離れることです。相手との距離を物理的にとることで、エスカレートしそうな怒りの感情を落ち着かせる時間を稼ぐのです。

このテクニックは、仕事に限らず、夫婦げんかや子どものわがままにカッとしたときにも、使えます。

ただし、その場を離れるのは一時的であることを相手に伝え、必ず戻ることやその時間を穏やかに伝えるように気をつけましょう。何も言わずにその場を離れてしまうと、「ふてくされて出て行った!?」と、相手の怒りの火に油を注ぐことになるかもしれません。

***

会社や家庭、さらには公の場など、さまざまな場所で「怒り」が溢れています。人にとって怒りの感情をもつのは当然のことであり、なくすことはできません。しかし、怒りやイライラを軽減することで、きっと私たちの毎日が楽しいものとなるはずです。

「怒り」という、人によって形の違うデリケートな感情を、味方につける習慣を始めてみてはどうでしょう。

書籍引用:怒りを味方につける9つの習慣 著者:瀬戸口仁 価格:¥1,485(税込)
記事提供:日本実業出版社

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