人生を整える「瞑想」の習慣
瞑想には、頭と心を休ませて集中力を高める効能があるとされ、一流のアスリートやグーグルなどの世界的企業がパフォーマンス向上のために取り入れています。
一方で、興味はあっても「難しそう」「時間がないからできない」などの理由でなかなか始められない人がいることも事実。
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プロスポーツ選手やビジネスパーソンを顧客に持つメンタルトレーナーの加藤史子さんは、著書『人生を整える「瞑想」の習慣』の中で、誰でも簡単にできる瞑想法を多数紹介しています。
いずれも、加藤さん自身が悩みを抱えていたときに出会い、試してみた結果とても効果的だった方法だそうです。
ここでは、そんな瞑想法の中でもとくに短時間で手軽に試せる方法を、本書の「PART2 かんたんな瞑想法から実践してみよう」からピックアップしてみました。
「1分間」瞑想法
この瞑想法に特別な環境は必要ありません。会議や商談の前後や移動中の電車の中でも、トイレの中でだってできます。「気持ちを切り替えたい」「頭の中をリセットしたい」と思ったときはいつでも、次のような手順で試してください。
息を吸い込んだとき、その息が身体のどのあたりに入ったのか、胸なのかお腹なのか、その量はどれくらいなのかに意識を向けながら、楽なペースで3回呼吸をしてみましょう。
自分の呼吸がどのようになっているのかを観察するだけでいいのです。
3回の呼吸が終わったら、そのまま呼吸を観察し続けます。1分から3分、時間が許す範囲で自分の呼吸に目を向け続けます。(48ページ)
呼吸は浅いでしょうか。深いでしょうか。もしくは、だんだんと深くなっているでしょうか。
20分間の「ソーハム」瞑想法
息を吸うときに「ソー」、吐くときに「ハム」と心の中で唱える瞑想法です。ただ唱えるだけでもいいのですが、言葉の意味を理解すると少し違う感覚を味わえるかもしれません。
「ソー」はサンスクリット語(梵語)で「彼」、「ハム」は「私」という意味だそうです。ここでの「彼」は森羅万象を意味していて、つまり「ソーハム」は「すべては私です」という意味です。自分が太陽や月、海や山、木々や生き物たちと繋がり、一体になるようなイメージです。
自分と他を隔てる境界線が曖昧になっていき、すべてと繋がっているという感覚になる。人はそんなときに幸福を感じるのだそうです。
ただし、こうした感覚を無理に意識しないようにしましょう。あるがまままの気持ちを受け入れて、ただひたすらに、呼吸に合わせて「ソー」「ハム」と繰り返します。毎日続けていけば、心も体をリセットされていくでしょう。
この瞑想法を試すときは、まず、誰にも話しかけられない集中できる場所を確保します。長時間移動する電車やバスの中でもできます。次のような手順です。
吸う息とともに「ソー」、吐く息とともに「ハム」と心の中で唱えることを繰り返します。優しく、楽に唱えていきましょう。
途中で考えが浮かんだり、意識が他にそれたりしても、それに気づいたら、また吸う息とともに「ソー」、吐く息とともに「ハム」と心の中で唱えていくことで、意識を戻すきっかけになります。
20分たったら、2~3分間、瞑想の余韻を味わいます。意識が徐々に戻ってくるこの時間がとても大切です。このわずかな時間に不要な感情が浄化されていきます。(57ページ)
「うまくできた」「できない」を評価しない
『人生を整える「瞑想」の習慣』にはこの他にも、身体や心の不調を癒すいろいろな瞑想法が紹介されています。「1分間瞑想法」「ソーハム瞑想法」を気に入ったら、ぜひ試してみてください。
ところで、これらを試してたとえ「うまくできなかった」と感じたとしても、がっかりしないようにしましょう。というのも、瞑想がうまくいっているかどうかは瞑想の最中にはわからないものだからです。
瞑想による効果と変化は、瞑想がうまくできたかどうかではなくて、瞑想後の日常でしか確認することができません。瞑想の目的は瞑想後の日常を充実させることなのです。(62ページ)
加藤さんは、「瞑想の結果やその後の変化に期待し過ぎないほうがうまくいく」ともいいます。結果に過度に執着することは、私たちがとらわれる雑多な考えと一緒で、「手放すべきもの」なのでしょう。
瞑想は、自分自身を観察し、はまりがちな「思考のループ」に気づき、それを手放す練習なのです。
1日3分で成果につながる! 「頭がすっきり冴える」「感情に振り回されなくなる」「身体が疲れにくくなる」「ぐっすり眠れる」「夢が叶う」……多くの企業、教育機関で指導し、スポーツ選手も実践している「誰でもすぐに取り組める瞑想メソッド」を紹介。
記事提供:日本実業出版社