運を引き寄せるルーティンで「最高の結果」を出す

投稿日:2020-05-03 更新日:

できずに落ち込む験担ぎはしない


Akiko Yazawa ,Professional Backgammon Player . Satoko Kawasaki .

テレビ朝日「激レアさんを連れてきた。」で話題沸騰した、バックギャモン世界王者の矢澤亜希子さん。

バックギャモンというボードゲーム競技で戦い続ける彼女は「運だけでは絶対に勝てない。大切なのは、勝つための準備。」と語ります。

世界を相手に圧倒的な結果を残し続ける彼女の強さの秘訣とは?

矢澤さんの新刊『運を加速させる習慣』から運を味方につける方法について聞いてみました。

※本稿は『運を加速させる習慣』の一部を再編集したものです。

ルーティンは精神安定剤になる

メジャーリーガーとしても大成功したイチロー選手が、毎朝カレーを必ず食べていたというのは、よく知られたエピソードです。

彼は、他にもスケジュールや道具類に関してもかなり細かいこだわりを持っていたそうですが、そうしたルーティンを自分に課しているアスリートは少なくないようです。

おそらく、ルーティンにはさまざまな意味があって、毎日、同じ行動をすることで本業以外のことに頭を使わずにすみ、体調をはじめ小さな変化にも気づきやすくなるといった効果があるのでしょう。

なかには、一種の「験担ぎ」の意味でルーティンを続けている人もいるかもしれません。「験担ぎ」とは、運を逃したくないという願望が託された日常的な行動のことといえるでしょうか。

大事な勝負の前にカツ丼を食べたり、新品の下着を身につけたりといった話を聞いたことがありますが、たいていは、たまたまいいことが起こったときの行動を踏襲したもので、科学的な根拠は何もありません。まあ根拠がないから、験担ぎなのでしょう。

験担ぎの意味も込めてするルーティンは、一種の精神安定剤といえます。

それで集中力が維持できたり、緊張がほぐれたりするのなら、基本的にはどんなことをしても結構かとは思いますが、あえてアドバイスをするなら、それができなかったときでもマイナス思考にならずにすむように工夫するといいと思います。

できなくて落ち込むルーティンはつくらない

たとえば、雑誌の占いに今日のラッキーカラーは「ピンク」と書いてあったとして、その日ピンクの何かを見かけなかったとしても「今日はダメだ」とは思わないでしょう。

しかし、いつも同じ道を歩けば悪いことが起きない、というような「○○をしなければならないもの」や、「カツ丼を食べると勝てる」といったように、「○○をすればプラスの結果に結びつく」という設定は、もしそれをしようとしたのにできなかった場合、「今日はダメだ」と落ち込むリスクがあるので、避けたほうがよさそうです。

コンビニでふだん買わないような新商品のスイーツを買った日にいいことがあったので、それ以来、ここぞというときにはそのスイーツを買っているとしましょう。

でも、大事な日にそのスイーツを買おうとしたら、じつは売れ行きが悪く、違う新商品に替わっていた、といった事態もありえます。

このように、マイナスになるような事態を招く験担ぎは、その結果に影響を受けやすいネガティブ思考の人は、なるべくはじめからしないほうがいいのです。

しかし、「験担ぎ自体が悪い」ということではありません。
占いでも験担ぎでも、それでその人のモチベーションが上がるのであれば、それは利用したほうがいいと思います。

ただ、その利用の仕方として、マイナスになるような方法は避けたほうが無難ということです。

悪い占いは信じないにつきる

私の場合、悪い占いは信じません。
いいことが書かれていたときだけ信じる、というような感じで使い分けています。

要は、気持ちの問題なので、占いや験担ぎを信じることで安心できたり、モチベーションが上がったり、プラスの効果が得られるなら、そのときは利用するというスタンスです。

ちなみに、ふだん私はルーティンを決めていなければ、意識的に験担ぎもしていないのですが、唯一、世界選手権大会や主要な大会の決勝に臨むときには、いつも同じ紫色のスカーフを身につけていました。

それは好きなものを身につけているという安心感を得られるからなのですが、それも一種の験担ぎといえるのかもしれません。

マイナス思考になる験担ぎはしない

ネガティブ思考は自分を守ってくれる

気持ちが落ち込んでしまうことはモチベーションの上下に関わります。
だからといって、ネガティブ思考になることは決して悪いことではありません。

一般的に、年齢や立場を問わず、ポジティブ思考は「善」でネガティブ思考は「悪」ととらえられているように感じます。
しかし、ネガティブ思考は、ときに私たちを「最悪の展開」から救ってくれることもあります。

バックギャモンの試合では、サイコロの出目次第で展開が変わるため、最善を尽くしても結果がともなわないことがよくあります。

それどころか、自分では最善手を選択したはずなのに、最悪の展開になってしまうことさえあります。

したがって、私の場合、先々の展開を読むときには、必ず自分に有利な展開(a)、有利でも不利でもない展開(b)、不利な展開(c)という3つのパターンを想定して、それぞれの場合の対応策を考えるようにしています。

このとき大切なのは、現実的に起こる確率の高い平均的な展開がbだったとしても、最も有利な展開(aの最大値)と最も不利な展開(cの最小値)を「こういう感じかな」という程度に想定しておくことです。

最悪の事態と最善の事態をイメージしておけば、たとえ実際にそういう展開になったとしても、あわてずに対応策を打つことができるからです。

なかには、自分がネガティブ思考で悩んでいる人も少なくないと思います。

ネガティブ思考の原因は、自分が経験したことのないことへの不安であったり、逆に、悪い経験によるトラウマだったりするものです。

しかし、ネガティブ思考を持ち合わせていることは、一概にマイナスの側面だけではありません。

ネガティブに考えられるということは、最悪の事態を想定する力があり、そのため思慮深く行動できるからです。

逆に、ポジティブ思考の人は、最善のことをイメージできるので、行動力に優れますが、その分、失敗も増えるでしょう。

つまり、どちらの思考も長所と短所を持ち合わせているわけですから、両方の思考を使い分けられるようになると万能です。

もし、自分のネガティブ思考が嫌いだと悩んでいる人がいたら、「自分はすでに大事な2つのうちのひとつであるネガティブを持っている」と考えるようにできると、少し自分が好きになれるかもしれません。

現実の日常生活でも、私はものごとをポジティブにとらえるだけではすませず、必ずネガティブにもとらえるようにしています。ポジティブに考えたら、それを裏返してネガティブにもとらえてみるというクセをつけてみてはいかがでしょうか。

ポジティブと同時に、ネガティブも大事


著者:矢澤 亜希子(やざわ あきこ)

1980生まれ。明治学院大学卒業。プロのバックギャモンプレイヤー。日本人3人目の世界チャンピオン。国内、海外のトーナメントを転戦し、数多くの優勝を果たす。2014、2018年の世界選手権(モナコ公国・モンテカルロ)のメイン種目で優勝し、日本人初、国籍を問わず女性初となる2度の世界チャンピオンになった。2012年に「ステージⅢC」の末期の子宮体がんの診断を受け、医師からは「手術しなければ1年もたない」と宣告された(その後、奇跡的に克服)。手術と抗がん剤治療による手のしびれ、全身の痛みといった副作用と戦いながら14年に世界選手権を制したという経験を持つ。世界中の大会で活躍するとともに、バックギャモンの普及活動に尽力。また、がんサポートの社会貢献活動も行っている。新聞、テレビ等メディア出演多数。

記事提供:日本実業出版社

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