家事ノート

ローンを残して逃げた妻に子を奪われた44歳男性、「面会」実現までの苦悶(下)

投稿日:2019-04-23 更新日:

妻と別居後、子どもとの面会がかなわず、子どもの顔を一度も見たことのない父親たち。妻を説得し、再び「父親」になることはできるのでしょうか。44歳・会社員男性の実例を元に考えます。

別居後、子どもと面会できない父親が多い

カードを取り上げられ、逃げた妻

すでに、別居から10カ月が経過しており、妻のところで生活の基盤(住居、学校、地域など)を築いているのに、親の都合で振り回すようなマネをするのは、子どもたちのためにならないでしょう。もちろん、卓也さんは今でも、子どもに対する愛情を持っており、妻子が出ていく前までは、人並み以上に子育てを手伝ってきたという自負はあります。

しかし、育児に協力するのと育児をすべて担うのは全く別の次元です。卓也さんは平日、朝から晩まで働いているので、子どもたちの面倒を見るのは時間的に不可能ですし、年収700万円では家政婦を雇うことも金銭的に厳しいのですが、それなのに…。

「どうせ引き取れっこないのだから、ガタガタ言わず、言われた通りに金を出せばいいのよ!」

妻のそんな魂胆が見え見えでしたが、さらに、卓也さんの目には妻が自分の足元を見ているように思えたので、完全に頭に血が上ってしまったそうです。

ところで、愛想を尽かして出ていった妻子と取り残された夫という卓也さん夫婦の現状を見れば、妻が被害者、夫が加害者だと決め付けがちですが、実際のところはどうなのでしょうか。

「最初の10年間、妻は専業主婦でしたが、平日には友達と遊ぶことも多かったんです。とにかく見栄っ張りなので、友達に合わせるために家からお金を持ち出すのですが、遊びに行く回数はどんどん増えていき…。日々の生活もあるので、僕の給料ではギリギリで全く余裕はなかったんです」

そのように妻の散在ぶりを明かしてくれましたが、とはいえ、常識的に考えれば、妻が使うことができるのは卓也さんの手取り額が上限です。ない袖は振れないはずですが妻は一体、何をしでかしたのでしょうか。

「妻はお金が足りなくなると、僕に内緒で借金をしていたようなのです」

卓也さんは、当時の記憶を辿ってくれましたが、妻は家族カード(家族なら誰でも利用できるカード)を使い、カードローンを利用していたようで、卓也さんが気付いた時にはローン残高は150万円に達していたのです。卓也さんが妻から家族カードを取り上げると、妻は「もう用なし」とばかりに子ども2人を連れて実家へ逃げ帰ってしまったのです。

完全に冷静さを失ってしまった夫

妻の方から「あの時は悪かったわ。子どもたちも会いたがっているから、予定を決めさせてほしい」と頭を下げに来るはず…この期に及んで卓也さんは妻の誠意に期待していたのですが、謝罪はもちろん、妻からは何の連絡もなく、ただただ時間ばかりが過ぎていったのです。

さすがの卓也さんも、業を煮やして妻のところへ直談判しにいったのですが、話は遅々として進まなかったようです。

「そんなことを言うんだったら(子どもたちに)借金のことを話すぞ!」

卓也さんは、妻に強い物言いで伝えたのですが、金銭問題はあくまで夫婦の話であり、子どもは両親を選んで産まれてくることはできないのだから、関係ないといえば関係ないでしょう。将来的に借金の経緯や理由、原因について知る機会があるかもしれませんが、今はまだ小さいのだから「知らなくてもよいこと」もあるはず。

そのため、「夫が借金の経緯を子どもに話すと言っているから」という理由で、妻に子どもたちとの接触を断られても仕方がありませんし、さすがの私もフォローのしようがなかったのですが、当時の卓也さんは完全に冷静さを失っていました。

「もう関係ないでしょ! 私たちに付きまとわないでほしい」

妻はそのように逆上してきたそうですが、まるで子どもを人質に取るような振る舞いを目の当たりにして、卓也さんは怒りのあまり手の震えが止まらなかったそうです。

「法律上、面接交渉権(面会する権利)が認められており、これは父から子だけでなく、子から父への面会も含まれています。そのため、息子さん、娘さんが辻本さんに会いたいと思っていたら、妻は2人の気持ちを無視しているのではないでしょうか」

私は前もって、卓也さんへ助言しておきました。そこで卓也さんは妻に対して「子どもたちとの面会を求めても頑なに拒もうとするのは、子どもの権利をないがしろにするのと同じでは」と言い返したのですが…。

「興味関心はお金のみ」の妻

「何ができるって言うの? あんたは子どものことを何にも分かってないでしょ! 金さえ払えばいいのよ!!」

妻はそれでも首を縦に振ることなく、さらに畳み掛けてきたのです。本来、父親の子どもに対する責任はお金だけでしょうか。いや、育児やしつけ、遊び相手など多岐に渡るでしょう。

「『お金を払うだけでは、全ての責任をまっとうしていない』と下手に出るのはどうでしょうか。妻が辻本さんと子どもたちを直接会わせようとしないのなら、父親に褒めてもらったり、怒ってもらったり、教えてもらったりする『権利』を妻が自分の都合で放棄するようなものですよ」

私は、卓也さんへ事前に入れ知恵をしておきました。そこで、卓也さんは「お金以外の面でも、父親の役割を担わせてほしいんだ」と訴えかけたのですが、残念ながら、妻は卓也さんの存在が「子どものため」だとは思っておらず、もはや「いない方がいい存在」と化していたのです。「子の福祉」という発想は完全に抜け落ちていました。

「もう頭に来た! 出るところ出てもいいんだからね!!」

あの手この手で、妻を説得できそうな手応えをつかみかけた矢先、妻は話をすり替えてきたそうです。結局、別居から現在までの10カ月間、父子の面会は一度たりとも実現していませんが、もし妻の言う通り、本当に家庭裁判所へ面接交渉の調停を申し立てた場合、どうなるでしょうか。

別居当時は成り行き上、具体的な面会条件を書面に残すことがかなわなかったのですが、示談ではなく調停に発展した場合、今度は具体的な回数、時間、場所、面会方法(食事、買い物、映画など)、送迎方法などを裁判所が決定し、書面化してくれる可能性が高いのですが、それだけではありません。

「妻が、裁判所で面会条件が決まったにもかかわらず、それでも協力しない場合は大変なことになります。平成25年3月から制度が変わり、裁判所の決定に違反すると、間接強制(裁判所からの罰金命令)の対象になったので、妻が面会を断るたびに、罰金を支払わなければならない可能性もあるんですよ」

そのように、私は先んじて卓也さんへ有利な情報を与えておいたのです。

「子どもたちに会わせないと罰金を払わなくちゃいけないんだぞ! それでもいいのか!!」

卓也さんは妻に突きつけたのですが、さすがに「やりすぎではないか」と思われる方も多いでしょう。しかし、ここまで言わないと、まともに話を聞こうとしない妻にも相応の非はあるはずです。もし、妻が過去の過ちを振り返り、心を入れ替え、言動を改めようとしているのならば、今回のようなトラブルは起こらなかったでしょう。きっと妻の性根は今も変わっていないはず。

結局のところ、妻は金に汚いタイプで興味関心はお金のみ。しかも、もうけ話にすぐに引っかかる性分なので、子どものことを「金ズル」としか思っておらず、卓也さんと子どもとの面会を取り次ぐことで養育費の増額が期待できるのならともかく、面会させてもさせなくても養育費が変わらないのなら、「面会させない方」を選ぶことは妻の行動パターンからは分かりきったことです。

逆に言えば、「面会させる+罰金なし」「面会させない+罰金あり」という二択を提示すれば、妻は「罰金あり(なし)」の部分しか目に入らないので、お金の損得勘定だけで「面会させる」を選ぶだろうと。少し厳しすぎるかもしれませんが、妻の性格を踏まえた上で、このようなやり方をせざるをえなかったというのが実情です。

面会を果たすも、妻の姿はなく…

それから1週間。最終的には妻の方が根負けしたようで「場所はショッピングモール」「時間は1時間」という条件付きで面会の約束を取り付けることができたのです。しかし、当日、卓也さんがショッピングモールの入り口で待っていると、息子さん、娘さんを連れてきたのは義父と義母で、そこに妻の姿はありませんでした。

卓也さんがそのことを尋ねると、義母は「あの子は私のコピーなの! だから、あの子のことは私が全部知っているわ!!」と応酬してきたので、卓也さんは思わず苦笑いするしかなかったようです。さらに義父は「写真は1枚しかダメだ」「体調が悪いから20分で帰るぞ」「ここまでの交通費を払え」と無理難題を押し付けてきたのですが、とにかく、子どもたちと10カ月ぶりの再会を果たしたのです。空白の時間は、これから少しずつ取り戻していくしかないでしょう。

このように、別居した夫婦が「もう顔も見たくない」のは仕方ありませんが、一方で、親子はどうでしょうか。子どもたちの唯一の父親であり、血がつながった肉親であり、代えのきかない存在ですが、そのことは出産からずっと、そして別居後も何ら変わることはなく、親子関係は永遠に続いていくのです。

だからこそ、父親が子どもたちにどのように接し、どのように関わり、どのような影響を与えていくのかが、子どもたちの人生において極めて大事なのですが、妻は自分目線ではなく「子ども目線」で、そして相手を夫ではなく「子の父親」と思って、見てほしいところです。

(露木行政書士事務所代表 露木幸彦)


露木幸彦(つゆき・ゆきひこ)
露木行政書士事務所代表

1980年12月24日生まれ。いわゆる松坂世代。国学院大学法学部卒。行政書士・ファイナンシャルプランナー(FP)。金融機関の融資担当時代は住宅ローンのトップセールス。男の離婚に特化し行政書士事務所を開業。開業から6年間で有料相談件数7000件、公式サイト「離婚サポートnet」の会員数は6300人を突破し、業界最大規模に成長させる。他で断られた「相談難民」を積極的に引き受けている。自己破産した相手から慰謝料を回収する、行方不明になった相手に手切れ金を支払わせるなど、数々の難題に取り組み、「不可能を可能」にしてきた。朝日新聞、日本経済新聞、ダイヤモンドオンライン、プレジデントオンラインで連載を担当。星海社の新人賞(特別賞)を受賞するなど執筆力も高く評価されている。また「情報格差の解消」に熱心で、積極的にメディアに登場。心理学、交渉術、法律に関する著書を数多く出版し「男のための最強離婚術」(7刷)「男の離婚」(4刷、いずれもメタモル出版)「婚活貧乏」(中央公論新社、1万2000部)「みんなの不倫」(宝島社、1万部)など根強い人気がある。仕事では全国を飛び回るなど多忙を極めるが、私生活では30年以上にわたり「田舎暮らし」(神奈川県大磯町)を自ら実践し「ロハス」「地産地消」「食育」の普及に努めている。公式ブログ(https://ameblo.jp/yukihiko55/)。

 

▼家事が楽になる「魔法の家事ノート」アプリはこちら▼
魔法の家事ノート

結婚相手の顔、生まれる子どもの数、将来の家族構成も分かる占い
⇒無料鑑定中
【無料占い】2020年の結婚運勢
さらに!2021年、2022年…と
この先あなたがたどる運命まで細密未来予言!

-家事ノート

関連記事

夫が娘の「パパ嫌いママがいい」に8年間耐えた結果、娘が夫になついた…“パパ嫌い”はなぜ起きる?

夫が娘3人の「パパ嫌いママがいい」に8年間耐え、娘たちが夫になつくようになったとの投稿がSNS上で話題に。「長い8年だったね」と祝福する声が上がっていますが、子どもの「パパ嫌いママがいい」はどうして起 …

目上の人に食事をごちそうになった…スマートな“お礼”はどんな言葉?

3月6日放送のMBS・TBS系「教えてもらう前と後」は、「世界一美しい食べ方のマナー」の著者・小倉朋子さんが、目上の人に食事をごちそうになった場合のお礼をレクチャー。   「教えてもらう前と …

老舗メーカー直伝“タイツをきれいに履く方法”が意外すぎて話題に「知らなかった」

老舗メーカー直伝“タイツをきれいに履く方法”が意外すぎて話題に「知らなかった」 ストッキングなどの製造販売を行う「福助」が紹介した「タイツをきれいに履く方法」がSNS上で話題に。驚きの方法について「知 …

優柔不断なO型夫に愛想が尽きた34歳女性、性格を利用して離婚に成功した方法(下)

離婚しようとする夫婦にとって、「血液型別の傾向と対策」とはどのようなものでしょうか。今回は「A型妻とO型夫」のケースを紹介します。 離婚における「血液型別の傾向と対策」とは   離婚しようと …

「卵」は冷蔵庫に入れるべき? それとも、常温保存すべき?

日々の料理に欠かせない「卵」。皆さんは、冷蔵庫の専用ポケットで保存していますか、それとも常温保存していますか。スーパーなどでは、常温に置かれているのをよく目にしますが、そもそも卵は常温保存できるのでし …