家事ノート

ローンを残して逃げた妻に子を奪われた44歳男性、「面会」実現までの苦悶(上)

投稿日:2019-04-20 更新日:

妻と別居後、子どもとの面会がかなわず、子どもの顔を一度も見たことのない父親たち。妻を説得し、再び「父親」になることはできるのでしょうか。44歳・会社員男性の実例を元に考えます。

別居後、子どもと面会できない父親が多い

父と子が「面会」全体の30%

「息子には『パパは死んじゃったの』、娘には『パパはお星様になったの』。風のうわさじゃ、そんなことを吹き込んでいるらしいですよ! 本当にもう踏んだり蹴ったりです。これじゃ本当に『ムダ金』ですよ。僕の財布はアイツの打ち出の小槌じゃないんですよ! 僕のことを銀行のATMか何かと勘違いしているんじゃないか!」

夫婦にとって子どもは人質なので、勝手に連れ去る「誘拐犯」、養育費目的に金をせびる「詐欺師」、そして養育費の使い道を明らかにしない「守銭奴」…そんな悪妻に丸め込まれれば、弱腰の夫はどうしようもないのですが、妻と子、そして金を失ってようやく我に返り、私のところへ相談しに来る男性は後を絶ちません。妻に子どもを連れていかれ、妻の言い値を渡しているのに、妻は子どもに会わせてくれないという三重苦が相談の定番です。

統計(厚生労働省「平成28年度 全国ひとり親世帯等調査」)によると、母子世帯(別居中、母が子を引き取っている)のうち、父と子が「現在も面会している」のは全体のわずか30%に過ぎず、我が子の顔を見ることすらかなわない父が70%に達しているのが現実ですが、それもそのはず。

父と母との間で面会の約束(頻度や時間、場所、送迎方法など)を取り決めたのは全体の24%にとどまり、76%は再会の約束をすることなく、子どもと引き離されてしまったのだから。面会の約束を取り決めない理由で最も多いのは「相手と関わりたくない」(25%)です。実際のところ、妻が子どもを連れて勝手に出ていった場合、前もって面会の約束を取り決めるのは不可能です。

「もう限界です。実家に帰らせてもらいます。さようなら」

たった一枚の置き手紙を残し、ある日突然、妻子が自宅から姿を消してしまった……。そんな信じがたい事実を目の当たりにすれば、激しく落ち込むのも無理はありませんが、本当の地獄はこれからです。

なぜなら、何の前触れもなく別居に踏み切るような妻が「誠実」に対応してくれるわけもなく、「子どもに会わせてほしい」と頼んでも、無視されるに決まっているのだから。妻が子どもに夫の悪口を吹き込み、子どもが夫のことを毛嫌いし、「パパ大っ嫌い!」と拒絶するようになってからでは手遅れです。

このように、別居から現在まで子どもの顔を一度も見たことのない父親は決して珍しくありませんが、どうすれば妻を説得し、いったん途切れてしまった子どもとの接点を取り戻して関係を修復し、もう一度「子の父親」として復活することができるでしょうか。

別居中の子どもと面会する6つのテクニック(1~3)

1.洗脳される前にくぎを刺すことが最優先
よほどの事情がない限り、別居したばかりの段階で、子どもは父親(夫)のことを恨んでいないので、妻が子どもに夫の悪口や不満、愚痴などを吹き込むと、父親と母親のどちらが正しいのかを判断することができず、精神的に混乱し、取り乱すことが多いです。

妻のせいで、子どもが熱を出して寝込んだり、食事がのどを通らずにやせ細ったり、夜も眠れないため、朝起きられず学校に通えなくなったり…人格形成や情緒安定、そして、学業に悪影響を及ぼすような事態を防がなければなりません。

突然、妻子に出ていかれても落ち込んでいる暇はなく、できるだけ早く、妻に「両親がいがみ合い、傷つけ合い、ののしり合うことを子どもは望んではいないのだから、お互いに子どもの前で誹謗中傷するのをやめよう」と一報を入れておくことが大事です。

子どもが妻から何回、何十回と父親(夫)の罵詈雑言を聞かされ、本当に毛嫌いされてからでは手遅れです。なぜなら、いくら「子どもに会わせてほしい」と頼んでも、子どもは自分の意思で断るようになるからです。

2.養育費以外の貢献を買って出る
父親の子どもに対する責任というのは本来、お金だけでなく、育児やしつけ、遊び相手など多岐に渡ります。別居先で妻は「父親不在の子育て」に苦戦しているので、夫の方から、養育費以外の責任も果たさせてほしい、そのために直接、子どもと会うことが必要なのだと投げかけることで妻の心を開きましょう。

3.面会は「子どものため」だと発想を転換させる
法律上、面接交渉権(面会する権利)が認められているのですが、これは父から子だけでなく、子から父への面会も含まれています。そこで、夫の方から「子どもたちとの面会を求めても頑なに拒もうとするのは、子どもの権利をないがしろにするのと同じでは?」と問いただしましょう。

別居中の子どもと面会する6つのテクニック(4~6)

4.夫ではなく「子の父親」として考えるように伝える
別居した夫婦が「もう顔も見たくない」のは仕方ありませんが、一方、親子はどうでしょうか。子どもたちの唯一の父親であり、血のつながった肉親であり、代えのきかない存在ですが、そのことは出産からずっと、そして別居後も何ら変わることはなく、親子関係は永遠に続いていくのです。

だからこそ、父親が子どもたちにどのように接し、どのように関わり、どのような影響を与えていくのかが、子どもたちの人生において極めて大事だということを踏まえた上で「自分目線ではなく『子ども目線』で、そして相手が夫ではなく『父親』と思って考えてほしい」と伝えましょう。

5.裁判所で発行した書面を元に妻に面会を求める
妻が子どもを連れていく、という形で夫婦が別居状態に発展した場合、別居する前のタイミングで具体的な面会の条件(具体的な回数、時間、場所、面会方法、送迎方法など)を決め、書面化することは困難です。

しかし、別居後、夫婦間の話し合いで面会の可否について折り合いがつかなかった場合、家庭裁判所へ面接交渉の調停を申し立てるという手もあります。示談ではなく調停に発展した場合、面会の条件を決めるだけでなく、合意内容を裁判所が書面化してくれるので、裁判所が発行した書面(調停調書)を元に、妻に面会を取り次ぐように強く言うことができるようになります。

6.裁判所で決定した面会条件に協力しない場合は罰金の対象なので、「面会させる+罰金なし」「面会させない+罰金あり」という二択を示すのが効果的
裁判所で面会条件が決まったにもかかわらず、妻が協力しない場合はどうなるのでしょうか。平成25年3月に制度が変わり(平成25年3月28日最高裁判決)、裁判所の決定に違反すると間接強制(裁判所からの罰金命令)の対象になったため、妻が面会を断るたびに、罰金を支払わなければならない可能性もあるのです。

「子どもたちに会せないと罰金を払わせるぞ」という切り口は、少し過激すぎるかもしれませんが、ここまで言わないとまともに話を聞こうとしない妻にも、相応の非はあるはずです。

特に、妻が金に汚いタイプで、興味関心はお金だけという場合は効果的でしょう。子どものことを「金ズル」としか思っておらず、夫と子どもとの面会を取り次ぐことで養育費の増額が期待できるのならともかく、面会させてもさせなくても養育費が変わらなければ「面会させない方」を選ぶのは至極当然です。

逆に言えば、「面会させる+罰金なし」「面会させない+罰金あり」という二択を示せば、妻は「罰金あり(なし)」の部分しか目に入らないので、お金の損得勘定だけで「面会させる」を選びます。

「鬼の形相」で相談に来た男性

今回紹介する、辻本卓也さんは別居後、妻への対応を誤ったせいで我が子と完全に引き離され、子どもの顔を見て安心したり、手をにぎって成長の跡を感じたり、相談に乗って励ましてあげたりすることを一切禁止されて途方に暮れていたところ、私のところへ相談に来たのですが、一体何があったのでしょうか。

<家族構成と登場人物、属性(すべて仮名。年齢は現在)>

辻本卓也(44歳)  会社員で年収700万円(今回の相談者)
辻本りょう(40歳) 専業主婦
辻本陸(9歳)    長男
辻本梨花(6歳) 長女

「これじゃ、まるで生き地獄ですよ!」

卓也さんは現在44歳。大学人事課の課長職で年収は約700万円。言ってみれば、どこにでもいる普通のサラリーマンです。卓也さんの顔はまさに「鬼の形相」で、烈火のごとく私に迫ってきました。顔の表面には脂汗がにじみ出て、両目の下には大きなクマができており、尋常ではない顔つきでした。

卓也さんの妻が出ていったのは7カ月前。卓也さんは「子どものために」という思いで、妻に言われるがまま毎月16万円を妻の口座へ送金し続けてきたのですが、毎月の手取りがわずか30万円の卓也さんにとっては収入の半分以上を占めており、財布の中身はいつもスッカラカン。

「だいたい、金をちゃんと払ったって、もう半年近く息子や娘に会えていないんです! こんな感じで、働いても働いても妻に仕送りするばかりで、貯金なんてろくにできやしない。何のために働いているのか、ばかばかしいですよ! もう払うのをやめようと思っています!」

卓也さんは身銭を削って、毎月欠かさず援助を続けているのだから、何かしら見返りがなければやっていられないでしょう。良くも悪くも養育費と面会は別です。「養育費を払うから子どもと会える」「養育費をもらっているから子どもと会わせなければならない」のいずれも間違っており、養育費の有無に関係なく、面会させるかどうかは「子どものため」かどうかで判断するのですが、あくまで妻次第。

「忙しい」「迷惑だ」「全部お前のせいなのに、何様のつもりだ」。妻は卓也さんと言葉のキャッチボールをする気はなく、ほとんど門前払いのような形で子どもから遠ざけようとしたのです。結局のところ、面会させてもさせなくても月16万円は変わらないのだから、「面会させない方」を選ぶのも当然といえば当然。下手すると、面会と引き換えに養育費の増額を求められても不思議ではない状況でした。子どもを連れていった妻が強く、連れていかれた夫の方が弱いという構図です。

「たった8万で子どもが育つと思っているの! だったら、お前が引き取ってよ!!」

妻はメールの返事の中で、そんなふうに暴言をはいたようです。とはいえ、卓也さんは妻の言うことを真に受けることができるでしょうか。

※「下」に続く

(露木行政書士事務所代表 露木幸彦)


露木幸彦(つゆき・ゆきひこ)
露木行政書士事務所代表

1980年12月24日生まれ。いわゆる松坂世代。国学院大学法学部卒。行政書士・ファイナンシャルプランナー(FP)。金融機関の融資担当時代は住宅ローンのトップセールス。男の離婚に特化し行政書士事務所を開業。開業から6年間で有料相談件数7000件、公式サイト「離婚サポートnet」の会員数は6300人を突破し、業界最大規模に成長させる。他で断られた「相談難民」を積極的に引き受けている。自己破産した相手から慰謝料を回収する、行方不明になった相手に手切れ金を支払わせるなど、数々の難題に取り組み、「不可能を可能」にしてきた。朝日新聞、日本経済新聞、ダイヤモンドオンライン、プレジデントオンラインで連載を担当。星海社の新人賞(特別賞)を受賞するなど執筆力も高く評価されている。また「情報格差の解消」に熱心で、積極的にメディアに登場。心理学、交渉術、法律に関する著書を数多く出版し「男のための最強離婚術」(7刷)「男の離婚」(4刷、いずれもメタモル出版)「婚活貧乏」(中央公論新社、1万2000部)「みんなの不倫」(宝島社、1万部)など根強い人気がある。仕事では全国を飛び回るなど多忙を極めるが、私生活では30年以上にわたり「田舎暮らし」(神奈川県大磯町)を自ら実践し「ロハス」「地産地消」「食育」の普及に努めている。公式ブログ(https://ameblo.jp/yukihiko55/)。

 

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