超低金利時代が長く続き、銀行の普通預金は年利約0.01%、定期預金でも約0.1%です。100万円を1年間預けたとしても普通預金では100円、定期預金でも1000円しか利息がつきません(いずれも税引前)。
このような状況のなかで、密かな人気になっている金融商品があります。それが「個人向け国債」です。
今回は、この個人向け国債がなぜ人気になっているのかを検証していきます!
個人向け国債ってどんなもの?
国債というのは、“元本が保証され、利息を払うことも約束する証券を発行して国がお金を借り入れる”こと。
つまり、個人向け国債は、“国が個人からお金を借りる”ということです。
よく、ニュースで流れる“国債の発行残高1000兆円”というニュースは、国債によって国が1000兆円も借金しているということです。
ちょっとビックリする金額ですよね!
このように、国が莫大な借金を抱えていることから、元本を保証するといっても国債は危険だという意見もあります。
しかし、もし国が借金を返せなくなるような経済情勢なら、先に民間の金融機関の経営が傾くでしょう。
いろいろ言われますが、やはり国が保障するのですから、一番安全といってよいのではないでしょうか?
“変動10年”がおすすめ!
さて、国債には以下の3種類があります。
- 固定3年
- 固定5年
- 変動10年
固定、変動というのは金利の決め方、年数は満期までの期間です。固定3年というのは、固定金利で3年満期、変動10年というのは変動金利で10年満期ということになります。
おすすめは変動10年のタイプです。変動金利というのは、半年に1回、長期金利の66%になるように金利が見直される仕組みになっています。現在はマイナス金利のため、下限の0.05%となっていますが、将来、日本の景気が回復し、長期金利が上昇した場合は追随してくれるのです。
一方、固定金利の3年満期、5年満期のものは、満期まで金利が固定されます。仮に1年後に長期金利が上昇しても、下限の0.05%のままですので、損をしてしまいます。
そして、個人向け国債は、どのタイプでも1年分の金利を支払うと元本で償還できる仕組みになっています。つまり、1年以上保有すれば元本割れすることはありませんし、急にお金が必要になったとき、途中解約すると損をするといったこともありません。
初めての資産運用に最適
個人向け国債は、証券会社、銀行、ゆうちょ銀行などの金融機関で、最低1万円から1万円単位で購入することができます。ただし、いつでも買えるわけではなく、申し込み期間が設けられています。
申込期間の情報は、財務省の公式サイトにある「個人向け国債」のページで確認できます。個人向け国債について詳しく解説していますので、興味を持った方はぜひチェックしてみてください。
現在の個人向け国債の金利0.05%は、普通預金と定期預金のちょうど中間です。100万円で購入した場合、金利が変動しなければ1年後に500円(税引前)しかもらえません。それでも、普通預金よりは金利がかなり高く、定期預金よりも自由が効くところは大きなメリットといえるでしょう。また、金利上昇をフォローしてくれる部分も大きな魅力です。
株や投資信託は元本割れのリスクがありますが、個人向け国債は国によって元本が保障されています。資産運用の初心者でもほぼリスクのない運用ができますので、手元の資金の運用先を考えているなら、有力な候補のひとつとなるでしょう。
<参考元>
財務省
小日向 淳(フリー編集・ライター)
家計の節約術から資産運用、老後資金、相続対策などを中心に構成から執筆までを手がける。『法改正対応 バッチリ相続まるわかり 2015-16年版』(学研マーケティング)/『これで安心! 月5000円からはじめる老後資金の作り方』(宝島社)/『親の入院・介護で困らない!)』(宝島社)ほか、書籍、雑誌、ムック、Web記事など多数。