息を吸って息を吐く――。たったこれだけの行為ですが、質の良い呼吸法を身につけると健康に良いばかりでなく、緊張や不安を解きほぐし、ストレスを和らげる効果も期待できます。
オトナンサー編集部では、NPO法人安らぎ呼吸プロジェクト理事長で東京有明医療大学副学長の本間生夫博士(呼吸生理学)に話を聞きました。
呼吸は感情によって変化する
本間さんによると、人間は通常、不安を感じると呼吸の回数が多く、浅くなり、逆にゆったりと落ち着いた気分の時は少なく、深くなります。これを「情動呼吸」といい、脳の奥深くにある扁桃体でさまざまな感情が生まれることで呼吸が変化する仕組みです。
呼吸が速くなると、扁桃体がマイナスの感情を認識する回数も増えて、結果的に不安は増幅します。そこで、呼吸が速いと感じた時は、あえて深く呼吸をしてペースを落とすと、このマイナスの感情を軽減させることができます。ここでのポイントは「呼吸を変えれば感情を変えられる」(本間さん)です。
また質の良い呼吸をするには、肺の周りの胸郭を動かしている「呼吸筋」をストレッチすることも大切で、本間さんのオススメは「呼吸筋ストレッチ体操」です。
ポイントはまず、鼻から息をゆっくりと吸い、口からゆっくりと吐き出すこと。また、ストレッチする部位を意識しながら、なるべくメリハリをつけて体操することが大切です。苦しい体勢を取らず、力を入れ過ぎず、痛みが出ないように注意しましょう。
2つの代表的なストレッチ体操
ここでは代表的な2つの体操を紹介します。
【胸・背中の呼吸筋ストレッチ体操】
- 胸の前で両手を組み、ゆっくりと呼吸します。息をゆっくり吸いながら、背中を丸め、腕を前に伸ばしていきます。
- 息をゆっくりと吐きながら、元の姿勢に戻します。
【肩の呼吸筋ストレッチ体操】
- 息をゆっくりと吸いながら、肩を上げていきます。
- 息をゆっくりと吐きながら、肩を後ろに回しておろします。
「質の良い呼吸法を身につけると、上手に心身をリラックスさせ、ストレスを和らげることができるようになりますよ」(本間さん)
(オトナンサー編集部)