子供と過ごす時、絵本はとても手軽に楽しめます。
たった1冊でも、ほんの数分でも、読んでいる間だけはその絵本の世界に旅をして、再び現実に戻ってくるような満足感があります。子供にとっては発見の連続。
好奇心たっぷりな子供たちは目をキラキラさせて、食い入るように絵本を見ますよね。
そこで、数ある良質な絵本の中から、オススメをご紹介します。
(※何度も読み聞かせたため、破れてしまっています…)
表紙と中面1ページ毎に、直径2cmの小さな丸い穴が開いています。
1ページ目はその穴から虫の顔しか見えないのですが、ページをめくると草の中には生き物たちがたくさん!
子供は、隠れていた生き物を探します。同じように、土の中、池の中、森の中、海の中、空の上、最後には宇宙へ。
宇宙から地球を眺め、人間以外にもたくさんの生き物がいることを学びます。
accototoさんの可愛らしい絵に、耳なじみがよく覚えやすいシンプルな2行の文。
ママが「カエルさんどれ?」と質問したり、「これなーんだ?」と聞いたり、楽しいやりとりもできます。
好きな生き物や会ってみたい動物を訊ねれば、会話も広がりますね。
我が子が1歳の頃は、フクロウの顔を指さしていつも「はーと」と言いました。
フクロウにハートとは、大人がびっくり。子供が穴に指を突っ込んだり、自分でページをめくったり、とても年季が入った1冊になりました。
大好きなパンが乗り物になっちゃった、奇想天外な「そらとぶパン」
パン好きなので、迷わず即買いした1冊。
「駅に焼き立てのパンがやってきて、みんなで乗る」という始まりから、すでにワクワクしませんか?
画面いっぱいに出てくるパンは、どれもこれもこんがりふっくら美味しそう。
パンの紹介ページになると、我が子は突然勢いよく口を挟み、すべてのパンの名前を早口で言って「ぜんぶたべたい!」と、毎回バクバク食べる真似をしていました。
空にゆったりパンが浮かんでいる絵は、幼い頃見上げた青空を思い出します。「雲が綿菓子だったら…ソフトクリームだったら…。雲に乗ってみたいなぁ…」と、子供の頃はあれこれ想像を膨らませるだけで幸せでした。
そんな風に、忘れかけていた気持ちに戻れる本です。
パン、空、田園風景が、のんびりのどかで妙にマッチ。
現実にはあり得ない空想の世界に行って、ふんわりとした温かい気持ちになれます。
ママも少しラクな気持ちになれる、一石二鳥な絵本
絵本タイムは、子供と一緒に過ごせるとても貴重な時間です。
でも、ママだって疲れたり、悩んだりしていることありますよね。
ママの気持ちにもそっと寄り添ってくれる絵本で、子供と一緒に癒されませんか。
お母さんと赤ちゃんのために健気にがんばる姿が涙を誘う「ちょっとだけ」
主人公は2~3歳の女の子。
赤ちゃんの世話で忙しいお母さんを横目に、主人公が自分で牛乳を入れてみたり、髪を結んでみたり、ボタンをとめたり。でも、牛乳はいっぱいこぼれ、髪はぐしゃぐしゃ、ボタンは掛け違っています。
ちょっとだけ成功したり、ちょっとだけがんばったり。
主人公も本当はお母さんに甘えたいけど、自分で何とかしようと奮闘している姿が、何とも切なく、愛くるしい。
最後には、やっぱり大好きなお母さんに抱っこをおねだりし、お母さんもぎゅーっと抱き締めます。
余計な背景はなく、温もりあふれる優しい絵で、子供にもわかりやすく、大人にもダイレクトに響きます。
我が息子の場合は、生まれたばかりの妹を敵視して激しく赤ちゃん返りし、私も随分悩みました。
でも、まだまだ甘えたい年頃。この本の主人公のように我慢してがんばっていたと思うと、涙なしには読めません。
純粋でひたむきな様子と、ちょっとずつ乗り越えて成長している姿に心を打たれる1冊です。
寝る時間なのに寝てくれない子にぴったり!「おやすみ、はたらくくるまたち」
子供の体力がついてくると、夜になってもなかなか寝ません。
まだ眠くない!遊びたい!と、我が子もそうでした。そんな時に見つけた、息子が大好きな工事現場の「働く車」が出てくるおやすみ絵本です。
クレーン車、ミキサー車、ダンプカー、ブルドーザー、ショベルカーが、昼間はせっせと汗水流し、がんがん働きます。でも、夕暮れ時になるとだんだん疲れて眠くなり、夜空に星が浮かぶ頃にはエンジンを切り、ライトを消して、ゆっくり安らかに夢の中へ。
息子や娘に読むと、「もっかいよんでー」とエンドレスなこともありましたが、最後のシーンで部屋の電気も消すようにすると、つられていつの間にか寝ていました。
工事現場の土の色、夕暮れの赤、星空のブルーなど、メリハリのある色使いも魅力の一つ。
働く車が大好きで興奮して寝ない子供をもつアメリカの作家の作品で、パワフルな工事現場の車たちを寝かせてしまうアイデアから、ママにはとてもありがたい1冊になりました。
以上、ママに贈るオススメ絵本をご紹介しました。
午後のひとときや、寝る前のリラックスタイムに、お子さんとの素敵な時間をお過ごしくださいね。
毎日一生懸命がんばっているママの気持ちが、ほんの少しでもほぐれたら嬉しいです。
<出典>
「おやすみ、はたらくくるまたち」 作・シェリー ダスキー リンカー、絵・トム リヒテンヘルド、訳・福本友美子/ひさかたチャイルド
「ちょっとだけ」 作・瀧村有子、絵・鈴木永子/福音館書店
「のぞいてごらん」 accototo/イースト・プレス
「そらとぶパン」 深見春夫/PHP研究所
執筆:カサンド蘭子
7歳男児、3歳女児、44歳夫と4人家族で、育児・家事に翻弄される毎日。13年勤めた会社を退職後、現在は月刊誌の取材・執筆・撮影に携わる。一方で子供に関わる社会問題にも関心を寄せる。好きな食べ物はマカロン。