断捨離が流行っても、子育て世帯はすぐ物で溢れます。子どもが嫌がって捨てられず、こっそり捨てたり(笑)。
しかし、親目線ではつまらないオモチャや壊れかけた制作物でも、「大事にとっておく」という行為が、もしかしたら子供に「自己肯定感」を与えるかも?!
周りと違うものが好きでもOK
自己肯定感とは、「自分が価値のある存在である」と感じる気持ち。物事に取り組む意欲がアップするため、低いよりは高い方が良いとされます。
唐突ですが、ゆるキャラブームを巻き起こしたイラストレーター、みうらじゅんさん(60)のフェスでは、幼少期から現在までの作品が展示されています。
尋常でない数の自作漫画、手作り新聞、エッセイ、日記、スクラップブック、作詞作曲テープ等々、驚くほど昔のものでも綺麗に残っていました。
彼が小学生の頃は、「恐竜」の切り抜きや、自分で撮った「仏像」写真、寺の入場券、記事、詳細なコメントも書き込んだスクラップブックを何冊も制作。
その後も実にさまざまなマイブームが誕生しますが、「好きなものに対する半端ない執着心」と、「人と違うものが好きでも気にしない」という芯のスタンスが幼い頃からあります。
愛と肯定と子どもの自由
(※こちらはイメージです。みうらじゅんさんの展示とは異なります。)
まだ活躍するかどうかもわからない子供時代の作品。
家の広さにもよりますが、たいていの親は「いつまでも置いておいても邪魔だし」とか、「そんな古いの処分しちゃえば」などと言ってしまいそうです。
でも、じゅんさんの作品が良い状態で全部捨てずにとってあるのは、本人の希望はもちろん、ご両親が、幼い頃からじゅんさんの考えや感覚、行動を尊重し、信じ、認めていたからこそたくさん残っているのではないか、と私は思っています。
2016年のインタビューで、じゅんさんはこう語っていました。
「親父は孫ができた今でも、じゅんが可愛い、じゅんが一番可愛いと言うんです。もう孫でいいだろって思うんですけど(笑)」。
さらに、NHK制作の書籍「わたしが子供だったころ‐2」には、ご両親について「いつも肯定してくれるというか、最高にほめてくれた」とあります。
認められている感覚が幼な心にもわかり、自由に好きなことに没頭できたのでしょう。
筆者の友人の子は、「折り紙はママに捨てられて悲しいから、もう折らないの」と言っていました。
ママの気持ちもわかるのですが、じゅんさんの膨大な展示を見ると、「子供が作った物、好きな物、捨ててほしくない物は、捨てずにとっておく」という親の行為に、何か意味がある気がします。
子供が熱中して好きなものに打ち込んだら、人と違うものでも全部丸ごと認めて応援する姿勢でいる――
その一つが「逆断捨離」。
自己肯定感を育む一助になるなら、本人が納得してから処分しても遅くはないかもしれないですよ。
【参考】
「みうらじゅんフェス」 川崎市市民ミュージアムにて(2018/3/25まで開催)
エンタメ特化型情報メディア「スパイス」
みうらじゅん公式
国立青少年教育振興機構
<出典>
ほぼ日刊イトイ インタビュー 親バカ子バカ編動画
書籍「わたしが子供だったころ‐2」NHK制作グループ/ポプラ社
7歳男児、3歳女児、44歳夫と4人家族で、育児・家事に翻弄される毎日。13年勤めた会社を退職後、現在は月刊誌の取材・執筆・撮影に携わる。一方で子供に関わる社会問題にも関心を寄せる。好きな食べ物はマカロン。